地域保健の人的リソース量をみるための3統計

はじめに

 先の新型コロナウイルス禍において、地方自治体、とりわけ地域保健・公衆衛生部門の人的リソース不足が繰り返し取り沙汰されたことは記憶に新しいでしょう。しかしそれを伝えるメディアの報道や識者の言説の中には、誤った認識に基づくものが多くみられました。その一因と考えられるのが、「地域保健の人的リソース量をみるための統計」が複数存在しており、そこから実態を読み取るのが非常に難しいという点です。
 (少なくとも社会的には) 収束したかに見える新型コロナウイルス禍ですが、地域保健の担う役割は新興感染症対策に止まりません。1997年の地域保健法施行や2度の母子保健法改正、2014年の医療介護総合確保推進法に基づく地域包括ケアシステムの構築、インバウンド拡大との関連も疑われる再興感染症への対応など、近年地域保健に求められる役割は複雑かつ高度化。その中心に立つ行政保健師を始め、地域保健の人的リソース需要が今後も高まっていくのは自明であり、国も近年地方交付税措置によって自治体保健師の増員を後押ししています。
 そのような趨勢にありながら、「うちの地域の保健師さんは足りているのか?」「他の地域と比べて多いのか、少ないのか?」といった基本的なことが、住民はおろかマスメディアや識者にもよく分からない (分かったつもりで論じている者の多くも間違えている) というような現状は、とてもまずいなあ・・・と。

 そんなわけで。都道府県、政令指定都市、特別区、中核市、保健所政令市、及び都道府県内のその他市町村の地域保健に係る人的リソース量 (保健所・保健センター等の職員数、地域保健事業に関わる職員数、自治体の行政保健師数等) について、総務省「地方公共団体定員管理調査」、厚生労働省「地域保健・健康増進事業報告」、及び同「保健師活動領域調査」を集計した (私の知る限り恐らく) 初めてのExcelファイルを以下に公開します。


地域保健の人的リソース量をみるための3統計

 「地域保健の人的リソース量をみるための3統計」と書きましたが、実はその統計は3つではなく4つあります。その4統計の違いを以下の表に示しました。
 ここで取り扱う (上にExcelファイルを置いている) のは表のうち上から3番目までで、4番目の「衛生行政報告例」は除外しています。その理由は後ほど説明します。
 とりあえず今日はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?