ディミーアリアニメイト(パイオニア)調整録


挨拶

初めまして。前に記事を見た方はお久しぶりです。

関東でゆるりとMTGのパイオニアを中心にプレイしているみやむーです。青黒のデッキが好きでそればっかり使っています。情100%でデッキ選択をしてしまう男ですが、自分の好きなデッキを練り込んで勝つのが好きなのでそのスタイルでずっとやっています。神奈川で活動しているPHCなる調整チームに入ったりもしています。ブログを書いたり青黒好きを集めてDiscordサーバーを運営したり(Twitterで常時メンバー募集してます)もしています。

今回は自分で作って調整したデッキを半分メモ書きのような形で公開して備忘録としつつ、他の人々に「こんなデッキあるよ」って共有できたらなという具合で書いています。殆ど一人で作って調整している(よく言えば一匹狼、悪く言えばぼっち)ので、ここで広く公開する事で何かインターネットの集合知によって発展していかないかなという希望もあります。

本当は何かしらの実績を残してからこの記事を書きたかったですが、店舗予選の権利が取れず(※前シーズンのエリア予選がしんどすぎた為店舗予選からサボり気味でした)、エリア予選に参加していないためそもそも実績もクソも無く、もうすぐ予選シーズンのフォーマットがパイオニアじゃなくなるのもあって永遠に夏休みの宿題に手を付けられない夏休み最終日の小学生のような状態になってしまったので自分の整理も兼ねて記事を書くことにしました。俗に言う見切り発車というやつです。

デッキリスト

このデッキの開発に至るまで

ディミーアフラッシュとの別れ

ディミーアリアニメイトを開発する以前はディミーアフラッシュなるデッキを使用していました。過去に自分で調整したディミーアフラッシュなるデッキの記事をnoteに公開して上げるぐらいには使い込んで愛着のあるデッキでした。

一時期ラクドスミッドレンジ、アゾリウスコントロール、グルール機体が三強みたいなメタゲームの時は乗りに乗っていてこの三つ全てにそれなりの解答策を用意したデッキと自負していました。(過去のメタゲームの話なのでここでは深追いしません)

しかしそこは祇園精舎の鐘の声、という事で、時流の波に流されてメタゲームが合わなくなってきたのです。具体的には、ボロス召集等の高速アグロデッキの登場です。

それまでのパイオニア環境にはラクドスミッドレンジというアグロデッキに基本的に強いデッキが跋扈していた為、アグロデッキが押さえつけられていたのであまり重視しなくてもアグロデッキにエンカウントする事自体がそもそも少なかったように感じていましたが、ついにアグロデッキも新カードの追加でチラホラ出てくるようになってきました。ボロス召集が彗星のように現れたかと思えばボロスピアナラーなんてのも出てきました。最近ではゴブリンなんてのも静かな、しかし熱い火を灯しています。

そんな中ディミーアフラッシュは構造上アグロデッキに対しては大量の不要牌を抱えてしまう事が足を引っ張り、アグロに対してとても不利が付くデッキでした。メタゲームの変遷に合わせて形を変える事も色々模索しましたが中々上手くいかず、「もしかしてこのデッキが不要牌なのでは?」という悲しい疑問すら湧いてしまう始末で、とてもじゃないですがアグロデッキが増えてきつつあったパイオニア環境にマッチしているとは思えなくなりました。この頃から別のデッキを開発する事を考えていました。

新デッキに必要と考えた要素

現在の環境を考えた時に、新デッキを開発する上で必要(と、俺が考えた)な要素は幾つかありました。これらは主にディミーアフラッシュが抱えていた弱い点への反省から得ています。俺が考えた点は以下の通りです。

①タフネス3以上のクリーチャーを使う
②ラクドスミッドレンジとのカードの叩きつけ合いで勝てるプランがある
③思考囲いを使う
④食肉鈎虐殺事件を使う

順に見ていくと、

①タフネス3以上のクリーチャーを使う
タフネス2以下のクリーチャーはラクドスミッドレンジを初めとした赤いデッキが繰り出してくる砕骨の巨人の出来事に弱いと言う環境的な欠点を抱えているだけでなく、前述したようにそれまで増えてきていたアグロに対するブロッカーの確保という点でも役に立ちません。しっかりタフネス3以上のクリーチャーを用いる構築にする事がアグロ環境、ひいてはラクドス環境を戦う上で重要だと考えました。

②ラクドスミッドレンジとのカードの叩きつけ合いで勝てるプランがある
結局環境がちょっとやそっと変わったぐらいじゃ環境はそんなに変わることは無く、ラクドスミッドレンジはパイオニアTier1デッキです。当然そこに対するゲームプランが前もって立つデッキである必要があります。シンプルに考えればここを解消するには相手より重く、スケールの大きいカードを使う事が簡単な方法として昨今よく言われている所です。その為スケールの大きいカードを素直に採用して対ラクドスを立ち回ろう、という方針がここで決まりました。

③思考囲いを使う

個人的には使わない逆張りをしていた時期もありましたが何だかんだ思考囲いに強いバリューデッキ以外ほぼ全てのデッキに対して強いので使う方がいいと思いました。思考囲いについては他にも色々ありますが、ここに理由だらだら書いても他の人がそんなの知ってるよって感じで居眠りを始めそうなのでこの辺にします。

④食肉鈎虐殺事件を使う

単純にカードが強く、増えつつあるアグロデッキに対してのキーになるだけでなくラクドスミッドレンジ等にも撃つ可能性があるカードで、現在のメタゲームを勝ち抜くに当たり重要だと考えました。

更にこのカードを使う為に、このカードと噛み合いが良いデッキ(=タフネスが高いクリーチャーが多い)で強く使えると都合が良いと考えました。ここは①の条件と繋がってくる所です。

これらを満たすデッキを作りたいなと漠然と構想して、何かないかとネタ探しをしていました。

アモンケットへの侵攻

今回のデッキを作り出す直接の決め手となったのはアモンケットへの侵攻です。

このカードが出てすぐには自分で使っていませんでしたが、スタンダードで偉大なる統一者、アトラクサのコピーを裏面で出していたデッキが登場していたのを見てこのカードのポテンシャルに気付いて使ってみることにしました。

表面がさながら切削の付いた虚報活動でありリソース面で優秀で、裏面で墓地の強力なETB能力持ちのクリーチャーをコピーする事で簡単にゲームを破壊する可能性のあるカードでした。

この動き自体は一段下のフォーマットであるパイオニアと言えどアンフェアな破壊力を存分に発揮できる動きであり、これが前述したラクドスミッドレンジに勝つプランとして有り得ると考えました。そしてこのギミックを使う以上リアニメイトを軸としたデッキになる事が決定しました。

釣竿の選択

リアニメイトデッキにする事が決定したのでアモンケットへの侵攻以外にも何枚かリアニメイト用の釣竿を用意する必要がありますが、パイオニア環境では4~5マナが相場です。その中で使う事にしたのはまず死の権威、リリアナ。

このカードならリアニメイトした後も脅威として場に残り続けてトークンを出せますし、色々な選択肢を検討した結果、5マナの単色の釣竿の中では一番カードパワーが高いかなと思いました。墓地対策の上からトークンを出し続ける動きも強いので、サイド後に相手が墓地対策を使ってきても無理にサイドアウトしなくても良いのも利点です。

ただリリアナは伝説のパーマネントで何枚も重ね引きしたくないカードである為、サブの釣竿も少量用意する事にしました。リリアナ以外の釣竿は5マナの釣竿の中でどれをサブとして選択するかという事になりますが、現在はギックスの残虐を使用しています。ただしこの枠はこのカードでなければいけない強い理由はありません。一章~三章を自由に選ぶことができて二章でシルバーバレットが可能なので柔軟性を買ってこれにしています。

リアニメイト先の選択

リアニメイト先として挙がったのはまずはスタンダードでも使われている偉大なる統一者、アトラクサでした。しかしこのカードは手札からハードキャストする手段に乏しく、可能ならデッキの構成上無理せずハードキャストできるクリーチャーの方が望ましいと考えました。なぜならミッドレンジ~コントロールのレンジでの対戦においては重量級クリーチャーを素出しするのも視野に入れた方が良いと考えていたのです。

まずすぐにメインの候補として決めたのは裏切りの工作員です。ミッドレンジ~コントロールに対して強く、アグロデッキに対しても悪くない。全ての釣竿と齟齬が起きない性能でアモンケットへの侵攻の裏面と相性が良く、更にハードキャストも視野に入る性能と言う事でこのカードを使う事に。

このデッキの試作品を回していた時にチームメイトのみくす君が「リアニメイトは異形化とかと違って墓地から出すものを選べるから出すものを複数用意しておいても良い」と言っていたのを聞き、「確かにそうだな」と考えたので別のリアニ先も投入する事に。

そこで投入したのがファイレクシアの肉体喰らいと黙示録、シェオルドレッド。

ファイレクシアの肉体喰らいは3マナで試作能力でキャストできるので事故要因になり辛く、適当に相手が除去を切ってきてからこちらがリアニメイトした後は7/5絆魂に護法付きという十分フィニッシャー級のサイズのクリーチャーに化けます。黙示録、シェオルドレッドはサブのリアニメイト先として及第点でありながら、サイド後の墓地対策に強いフィニッシャーを兼ねています。どちらもライフ回復を備えているのでアグロに対して強く、裏切りの工作員で手薄になりがちな仮想敵をカバーしてくれるカードです。

ルーターの選択

リアニメイトデッキですから出すクリーチャーを能動的に墓地に送り込む必要があります。アモンケットへの侵攻の切削以外にもある程度のルーティングするカードは必要でしょう。

今回は統合の福音者と染み付いた耽溺の2枚をメインのルーティング手段に据える事にしました。

統合の福音者は前述したタフネス3以上のクリーチャーに当てはまる優秀なルーティング持ちクリーチャーです。威迫になって殴れるのでアモンケットへの侵攻を裏返すのに役に立つので、攻防に活躍するカードとなっています。またアグロ相手のブロッカーとしても優秀です。

染み付いた耽溺はインスタントで使いやすく手札が減らないルーティング手段です。墓地が肥えたゲーム後半では2ドローに化けてアドバンテージ源にもなったりします。

空を放浪するもの、ヨーリオン

当初この相棒カードは採用せずにデッキを構築していましたが、デッキの調整過程で、ここまでやっててリアニメイト先のカードが3枚ずつ、釣り竿も3枚ずつ・・・というような形になっていました。これだったら3枚入ってるカードを4枚ずつ入れて相棒にヨーリオンまで取ってもあまり変わらなさそうと感じました。

しかもヨーリオンは裏切りの工作員やアモンケットへの侵攻をブリンクして使いまわしたり、試作で出したファイレクシアの肉体喰らいをブリンクして元のサイズに戻したりと言ったシナジーがあります。消耗戦にも強くなるし取るメリットは大きいと考えました。

と言う訳で空を放浪するもの、ヨーリオンを相棒に据えて80枚構築にしました。アモンケットへの侵攻が引きにくくなる所だけ目に見えたデメリットですが、総合的にはメリットの方が大きいと判断しました。そんなこんなでデッキの大部分ができました。

デッキ内容について

マナベース

二色であることでユーティリティランドは様々な候補から選択できます。ここではあると致命的な一押しの紛争を達成しやすく、相手のミシュラランドを睨める廃墟の地をフル投入。青黒で使えるミシュラランド、目玉の暴君の住処とストーム・ジャイアントの聖堂は1ターン目には黒の方が欲しい事から目玉の暴君の住処を多めに。また土地兼追加のスペル枠としてリアニメイトができるカーフェルの港を1枚。

正直80枚なのもあってマナベースはふんわり作ったので細部は適当になっている気はします。土地の構築論に造詣が深くないのでこの辺はよく分かっていない部分が多いです。

その他メインボードの細かいカード

思考囲い

黒入りなら何でも使われる汎用カードなのであまり言う事はありませんが、このカードの存在のおかげでリアニメイトと言う大振りなアクションを通していくのに役立っている点がポイントです。

致命的な一押し

当初このデッキではあまり強くないなと思っていましたが、廃墟の地を投入してからは紛争を一応自力で達成する事ができると言う事で4枚投入も肯定されるかと思っています。

呪文貫き

奇怪な具現、緑単信心、青白ロータス等のバリューデッキに比較的勝率が悪かったので投入した調整枠。かき消しは構えている余裕が無いと判断し軽くて構えやすいこのカードにしました。

無情な行動、喉首狙い

「パイオニアにおける2マナの黒い除去はどれも一長一短なので散らした方がいい」とはチームメイトの黒単使いの黒紫亜さんの言です。そして最近は新生化アトラクサをあまり見なくなったことや独創力オパスをよく見るようになったことから無情な行動を多めに採用しました。

ジェイスの誓い 

追加のルーティング手段です。単体ではあまり強くないカードですがヨーリオンでブリンクするとアドバンテージが稼げるのでこのカードにしています。リリアナがいるとアップキープに占術のおまけがついてきます。

食肉鉤虐殺事件

主にアグロやミッドレンジとの対決で使うカードです。1枚でも引けたら嬉しいマッチが多いのと、サイドボードの枠が足りないので1枚メインに入れて、残りをサイドボードに用意しています。

蝕むもの、トクスリル

裏切りの工作員が横並びに弱いカードなので、横並びに強いリアニメイト先クリーチャーとして1枚採用。除去に弱いし役に立たないマッチアップも多いのでこれに頼り切りな構築には出来ませんが、メインの食肉鉤虐殺事件と同じで1枚入れておくことによって選択肢を生み出すカードです。横並びしたクリーチャーを壊滅させるのにはそれなりに役立ちます。

主なゲームプラン

作戦プランA:大型クリーチャーをリアニメイトする
ルーターやアモンケットへの侵攻による切削によって大型クリーチャーを墓地に落とし、死の権威リリアナ等で釣り上げます。適切にインパクトのあるクリーチャーを釣り上げられればそれだけで勝つ事も可能です。

作戦プランB:アモンケットへの侵攻を裏返す
「作戦プランBに移行する!!」と言えます
主に統合の福音者や試作で出したファイレクシアの肉体喰らい等によって、アモンケットへの侵攻の表面を攻撃して耐久度4を削り切ります。統合の福音者は2枚目のドローを達成するとパワーが上がり威迫が付くのでこのプランを取る際に役に立ちます。裏返ってしまえば墓地のクリーチャーのコピーになるのでリアニメイトと同様の効果が得られます。

作戦プランC:ミッドレンジ
特にサイド後は相手が墓地対策を投入してくる可能性が高くなる為、このプランにシフトし易いです。統合の福音者や試作で出したファイレクシアの肉体喰らいでビートダウンをかけたり、黙示録、シェオルドレッドを普通に出して蓋をしたりします。死の権威リリアナもリアニメイト戦術が相手の墓地対策で封じられていてもプラス能力でトークンを出す事は普通にできるのでミッドレンジプランに貢献します。

作戦プランD:コントロール
主にアグロ相手ではこのプランを取ります。サイド後は食肉鈎虐殺事件を投入して、墓地対策を無視しつつ流して試作のファイレクシアの肉体喰らいや黙示録、シェオルドレッド、相棒で手札に加えたヨーリオン等で蓋をして勝つと言った流れになります。

サイドボード

レイ・オヴ・エンフィーブルメント

主に白単ホモ・サピエンス人間とパルへリオン系列のデッキ用。半端な枚数だと80枚デッキである事もあってサイドカードを引きにくいであろうと思ったのと、この二つはしっかり対策カード引かないと負けそうだと考えたので4枚しっかり採用してこれらのアグロ系のデッキへのガードは高めにしています。

方程式の改変

主に緑単信心、創案の火、独創力、異形化系デッキ等。ボロスピアナラーにもスカルドの決戦をカウンターする為にサイドインします。霊気の疾風はこのデッキだと上に戻されてまた唱えられてしまうのでこちらを採用しました。打ち消されない呪文がやばいみたいなデッキではないのでそういうカードはあまり気にしていません。

軽蔑的な一撃

主に青白コントロール、緑単信心、創案の火、独創力、異形化系デッキ等。役割やサイドインするデッキは方程式の改変と近いですが、青白コントロールに入れたり等微妙に差があるので分けています。

食肉鉤虐殺事件

アグロ系全般とラクドスミッドレンジに追加でサイドインします。高速アグロには是非とも引きたい1枚ですし、ラクドスに対してもキキジキと他のクリーチャーをさっと流せるので有効であると考えています。

勢団の銀行破り

主に対ミッドレンジ~コントロール用。思考囲いに対するバックアップとなるリソース源が必要なアブザンパルへリオン等に対してもサイドインします。単体で相手のカードを裁いてからリソースを稼いで攻めに転ずるというゲームプランとなるほか、ヨーリオンと相性が良いのも嬉しいポイントです。

夢を引き裂くもの、アショク

奇怪な具現の能力やロータスコンボの森の占術等を妨害したり、墓地対策になったりしつつ、こちらの墓地を肥やすカード。2つ以上の役割を兼ねているのでサイドボードの圧縮になっています。

終わりに

いかがでしたでしょうか?有料部分ではこのデッキを使いたくなった奇特な方に向けてマッチアップごとのゲームプランとサイドボーディングのあれこれを載せておきます。

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