幻獣搏兎 -Toglietemi la vita ancor-
「やめた方がいいよ」
隣を歩く少女は、そう言って顔を覗き込んできた。長い金髪が揺れる。
クリスマスの夜。大通りは、カップル達で溢れている。
行き交う人の中で、少女の姿は浮いていた。バニースーツを着ているのだ。どう考えても屋外で着る服ではないだろう。
だが、通行人達が彼女に目を向ける事はなかった。
何故なら、彼女は俺が脳内で作り出した幻覚だからだ。
「向いてないよ、蓮には、殺し屋とか」
幻聴。この言葉も、俺にしか聞こえない。
少し前から視える様になった、スト