「ザ・キング:永遠の君主」再び
(内容はネタバレを含みます)
3年ぶりにまた「ザ・キング:永遠の君主」を見た。「ザ・グローリー」を見てキム・ウンスク作家の過去作を見たくなって。
2020年、放送が始まった時に3回づつ繰り返しながら見た。わけわからなくて。今回は考察しながらじっくり見た。
内容を忘れていたけど、4回めだからスムーズに見て3日で見終わった。
映像が美しく飽きることなく見たけど、まだ理解できないことが多い。
とにかく登場人物が多い上その子役もいて、大韓帝国と大韓民国両方に同じ顔が存在し行き来するから、非常にわかりにくい。
さらにタイムワープが入り、そして他のいくつものパラレルワールドまで現れる。
4回見てもわからなかったこと
例えば、皇帝イ・ゴンの叔父の逆賊イ・リム。
1994年。彼は「大韓帝国」で弟の皇帝を殺す。
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パラレルワールドにある「大韓民国」に渡る。
45歳の姿のまま生き続ける。
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2019年、8歳の皇太子イ・ゴンを殺すために25年前の「大韓帝国」の皇帝殺害現場に戻る。
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そして「25年前の自分」と争い「自分」に殺される。
なので、25年後である「現代」にイ・リムはいなくなったはずだが、なぜか引き続き「現代」の大韓民国にいて、チョン・テウルに捕らえられ警察に。
そして「大韓民国」と「帝国」の間の中間次元でチョン・テウルに撃たれて死ぬ。同時に25年前のイ・ゴンに斬首される。
3回も殺されている。わけがわからない。
そして放送当時話題になったのは、イ・ゴンとチョン・テウルの最初の出会いはいったいいつなのか。
このシーンはふたりが初めて出会ったシーンではなく、皇帝イ・ゴンが警部補テウルに再び会うために時間と次元を繰り返し超えて、ついに出会えたシーン(テウルは覚えていない)だとする考察があった。
(引用:動画コラージュ自作)
テウルも後に「あなたが2度めに会いにきた時」と表現している。
でも私にはイ・ゴンが子供の頃自分を救ってくれた(と信じていた)テウルを想い続け、テウルのIDカードを握りしめて生きてきて、やっと会えた、というようにしか見えない。
そうでなければ、その後に続く出会い後のストーリーはなんなのか。
この時、イ・ゴンもチョン・テウルのIDカードを確認して、「君は宇宙(Netflix日本語字幕は次元)を超えて存在していたんだな」と言っている。
次元を超えて何人ものテウルに会い続けてきたなら、こんなふうには言わないのではないだろうか。
ちなみにこの出会いのシーンは撮影最初の日。明け方にソウル光化門広場で撮っている。
Netflixで配信されているものはオリジナルではない
韓国の視聴者から強いクレームが上がり、青瓦台請願(ネットの政府への直訴)まで行われた。テレビの再放送とNetflix分も編集された。その編集とそれ以降の放送分の編集のため、確か1回放送が延長されたと思う。
いわゆる反日部分は韓国でも批判された。大韓帝国の海軍の軍艦や戦闘の描写がデタラメだとされ、海軍の兵士がなぜか陸軍の軍服を着て甲板に整列、日本の将校達が北朝鮮の軍服を着て、大韓帝国の皇居が日本の寺院にそっくりであるなど。
今そのシーンを見直しても軍服は変わっていないが、未放送の分もクレームを受けないように編集されたのだろうと思う。
だから、こんな謎ストーリーになったのだろうか。
また日本では、日本の「海軍」を威嚇して追い払う部分が反日であるとして見るのをやめた、とか、Netflixに抗議し解約した、という人もいた。
私は政治的な思想は全く持っていない。が、確かに日本が「独島」に向かってイージス艦で領海を超えるとか、過去の日本とのレーダー照射事件をドラマで蒸し返すとか、チクチクついてくる感はある。
ムン・ジェイン政権になってから、当時のドラマや映画は親北反日要素がさらに増えたようだから、ストーリーに関係なく唐突にこんなシーンが出てくるのだと思う。
これで反日だと怒っていたら、同じくキム・ウンスク作家の「ミスターサンシャイン」は見れない。素晴らしい作品だと思うけど。
キム・ゴウンが大好きだし、初めて夢中になって見たドラマが「相続者たち」なので、イ・ミンホとのロマンスが楽しみだったけど、ドラマ自体が壮大すぎて、恋愛部分に没入できない。
毎回イ・ゴンが何の前触れもなく現れ、テウルが走り寄って抱き合ったりキスしたりの繰り返しだった。
でも、そこはさすがのふたりの演技で陳腐になっていないと思う。
イ・ミンホは、ドラマは「相続者たち」から見ているけど、ここまでずっとキャラクターが同じように見える。少ししか見ていないが出世作の「花より男子」でキャラが固定されてしまった感がある。
「パチンコ」や映画「江南ブルース」は違うけれど、そのキャラから上手く転換できていないと思う。
白馬に乗って駆ける姿は美しいけれど、やりすぎなんじゃないかと思う。全体に「イミンホ様」すぎる。
キム・ゴウンの役は、彼女の素に近いように思う。サバサバしている性格、ドカドカ歩く男前な姿にそう思える。
このドラマの韓国の反応はよろしくなく、最高視聴率が初回だけ11%で途中は5%まで落ちた。
通常ならそれほど悪くない数字だが、巨額予算と俳優陣から大きく期待されていたドラマだし、内容への批判が大きかった。
ちなみに同じくSBSで同作家の「相続者たち」(2013)は最低視聴率10.5%、最高25.6%。当時と視聴方法が異なるから比較はできないが、SBSキム・ウンスクの失敗作と書かれた。
それでも、全て理解し納得しようと思わなければ、面白いドラマではないかと思う。
難解だけど、コメディー要素は楽しいし、国を守るために戦う皇帝と、異次元に暮らすその恋人の物語だと割り切れば楽しめる。