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シニア枕草子#16視覚障害の友の話

6月16日の続編といいましょうか。

視覚障害の友の話を投稿したところ、信号機🚥の押しボタンの場所をどのように知ることができるかについて、女王まりか様からコメント欄よりお問い合わせを頂きました。

まだそこについて、本人に尋ねておりませんので、今回は言及できず、申し訳ないです🙇🏻。

本投稿は、友とランチした時の話などです。たわいの無い話ですが、2,000字を超えています。

仕事上のお付き合いをしていた頃に、ご本人から聞いた事がありました。

外食する時は、自分の事は、そっとして欲しい。との事です。

10歳頃、病気で完全に失明して、全寮制の支援学校で日常生活を送るための訓練を受けています。

外出時は、同行者の右肘を左手で持ち、半歩前を介助者が歩けば、少々の段差は感覚で理解でき、何も問題ありません。そういった段差などを、次から次へと口頭で説明されるのも、嫌なんだそうです。

例えば駐車場から、50メートル位離れた階段がある建物に行く場合でも、あまり詳しい説明は必要ないです。車を降りたら、「駐車場から建物まで少し遠いです。建物には階段を上がる必要があります。」位の説明をします。

重ねて書きますが、全盲の友は同行者がいると、白杖は持ちません。
移動は、介助者が「生きた白杖」です。介助者の右肘を持ち、半歩前を歩くと、その動きから些細な道の変化は分かるとの事。階段前で一旦ストップ。「今から◯センチ位の階段です。」で再スタート。最後の1段前に「あと1段で終わりです」で階段クリアです。余計な情報をごちゃごちゃ言われるのは、何もできない幼児扱いされているようで嫌だそうです。10歳までは目が見えていて、文字や色の存在を知っています。生まれつきの全盲の方に、色の感覚はないため、説明するのは大変です。それを分かっているので、言語化は楽です。センチやグラムの単位数もわかっているので、説明しやすいです。

お店に入る時も、「生きた白杖」は、細かいことは言わないようにします。ただ、入り口が1人分の幅しかない場合、「狭くて、ちょっと危ないかも?」と言ってから、自分の両肩を持って貰う事があります。テーブルを決める時は、一旦止まって説明します。4人掛けテーブルだと、お互いに向かい合って座りますが、まずテーブル、椅子背もたれから、座面を手で触ってもらいます。それだけの事で安全に着席できます。

着席後は、「生きた白杖」から、「目」になります。メニューは黙読して、好きそうな物だけ読み上げます。例えば、「ランチメニューの◯◯は◯円。サラダつき。ドリンクは◯◯から選べます。」位です。初めて入ったお店で、不明な詳細については、お店の方から説明してもらいます。
お料理が運ばれて来たら、まずは視覚障害者の方への定番のクロックポジションで説明します。

クロックポジションというのは、アナログ時計の文字盤のように、12時が着席位置から1番遠く、身体から近い位置を6時と見立てます。
右側は1時から5時。左側は11時から7時と言います。要するに、時計の文字盤の配置から料理の置き方を説明するのです。

ランチセットだと小鉢が何個かあると、「10時にフルーツのお皿」「2時にお漬物」「5時にお味噌汁」「7時にご飯」「6時に主菜の◯◯」というような説明です。
おしぼりや、お箸は手渡しします。

お刺身定食のような、お醤油などの調味料が必要な場合、小皿にお醤油やすだちを絞っておくか尋ねます。必要最低限のお手伝いをしたら、後は本人の希望通り、細かく口出しするのは厳禁です。お互いがお料理を食べている間、自分は時々様子は見ていますが、手も口も出しません。熱いお茶やお味噌汁は、他の者が、勝手に場所の置き換えをしなければ、ご本人が注意しながら手に取り飲んだり食べたりできます。

食事中に同席者から、食事している様子を見られて、ああだ、こうだと口出しされるのが嫌で、黙っていて欲しいのです。世間話はOKです。

同席者の自分は、熱いお茶をひっくり返して火傷しないように、コソッと見守っているだけです。友は、食べこぼしなど、ほとんどありません。普段ご自宅では、調理のヘルパーが来る日以外は、自分で工夫して簡単な調理をしています。洗い物もしています。
それなのに、「視覚障害者は、何もできない」と決めつけられるのが、とても嫌なんです。

この間誕生日プレゼントを持参したら時も、客間に通して頂いてお客様をしていると、一緒に飲むためにドリップコーヒーを淹れて、トレーに載せて運んでくれました。マグカップの大きさが全く違っていたので、どちらをいただいたら良いか聞いたら、「最近接種水分量に注意しているので、大きなマグカップの方を遠慮なく飲んで」との事でした。「お菓子も沢山あるから好きなの食べて」と言われましたが、それは遠慮してました。友本人が塩分控えめ生活で、食べない事が分かっていたので、自分だけ食べるのは失礼かと思いました😅。積もる話は沢山あるし、食べている時間がもったいないです。

友は「全盲でもカップ麺作れるよー」と以前言っていたので、やり方を聞いたら、結構危ない。[他の中途失明で全盲の方は、熱湯を注ぎ過ぎて火傷したくないから、作れない場合が殆どです。]

説明によると、蓋を開けたら湯沸かしポットの注ぎ口まで運び、カップを手で持ったまま注ぐ。重さでそろそろお湯が入ったなと思ったら、お湯入れのスイッチを止めて蓋をしてタイマーで時間を測り、鳴ったら食べるんだそうです。

毎回成功するのではないそうです😞。カップ麺の容器が薄くて、強度が弱いと、お湯の重味で容器が丸い形を保てず溢れてしまい「熱っ❗️」となるそうです😞。今まで、多量の熱湯で火傷した事は無いそうです💦。

それに、最近は塩分控えめ生活なので、カップ麺はあまり食べないそうです。

知り合ってから5年位?少しずつ、体力が落ちて来ています。

困ったことがあれば、メールでも電話でもしてくれたら、お手伝いに行くんですが、いつも気を遣って、ギリギリまで辛抱してしまうんですよね。

長文となりました。最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


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