民法総則              代理権の濫用と利益相反行為の関係

利益相反行為が無権代理の問題であるのに対して、代理権濫用は、本来代理権の範囲内の行為であるものを一定の要件の下で無権代理とみなすものであることから、利益相反行為に当たる場合には、もはや代理権濫用を問題とする余地はない。したがって、たとえば、代理人が自己の利益のために抵当権を設定しており、代理権の濫用の問題と誤解する可能性があるが、利益相反行為に当たる場合には無権代理であり、有権代理を前提とする代理権の濫用の問題にはならないことに注意が必要である。(磯村)

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