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10年やめずに続けてこれたから見えた景色。そして次の10年に向けて。

2022年11月19日。
KINUBARI COFFEE ROASTERSがオープンした日。
オープニングパーティーの挨拶で「来年は宿つくりまーす!」と高らかに宣言したのを今でもはっきりと覚えている。

photo by Keisuke Harada

あれから1年と7ヶ月かかった。
ANSHINDOプロジェクトの詳細やオープンまでのストーリーはこちら。

2024年6月22日「まちを照らす灯台」をコンセプトにした泊まれる複合施設「ANSHINDO」がようやくグランドオープン。

オープニングセレモニーに集まってくれた皆さんありがとうございました!
photo by Reina Akebono

今回はANSHINDOオープンについてというよりは、今年で10周年を迎えるEFCの、これまでの10年と、これからの10年について今自分が思うことを書いてみた。
代表を交代したり、社名が変わったり、社外取締役が加わったり、なんか色々あったので、個人的な思いとか感じたことやこれからについて考えてることを残しておこうって感じっす。

遊びは減っても思い出は減らない

2014年 Earth Friends Camp 初開催

2014年の秋にEarth Friends Campというイベント(ただのキャンプ)をやってみたのが今の株式会社EFCに繋がっている。

今思えば「自己表現」みたいなものだったのかもしれない。
自分が生きている意味とか、働く意味とか、社会に対しての存在意義とか、そういうものへの承認欲求でもあったと思う。
「俺はこれが好きで、だからこういうことやってます」と言えることをただやりたかった。それが仕事なのか遊びなのかは関係なかった。今もそう思ってるけど。

「外遊びが好き」という自分のアイデンティティから「外遊びのハードルを下げて一緒に外で遊ぶ友達を増やすことで、結果的に自然を愛し、大切にする人が増えて環境問題にも貢献できるかもしれない」という単純明快で壮大な思いを持って始めたのがEarth Friends Camp(EFC)だった。

4年連続開催した「DOWN THE RIVER」という2泊3日のキャンプイベント

EFCは、任意団体として始まった2014年から気がつけば今年で10年になる。株式会社になってからは丸3年。
任意団体だった当時のコアメンバー8名のうち、会社のメンバーとして残っているのは自分だけになった。
事業内容も「まちづくり事業」「宿泊事業」が中心で、アウトドアや外遊びに関わる事業は今はほとんどやっていない。法人化のタイミングで始めたアウトドアウェディングの事業も担当社員の退職と、新規事業として宿泊事業に軸足を移すタイミングで撤退した。年に1回AKABIRA CAMP BREAKというフェスのエリアプロデュースだけは続けてる。

会社としては今は5人のメンバーでやってるけど、チームとして一緒に仕事したり、遊んだりするメンバーはもっとたくさんいる。曖昧でわかりにくいし、全然明確な基準もないんだけど、この記事を読んでくれてるあなたもきっとEFC。

今のEFC inc.のメンバーたち
photo by Keisuke Harada

会社になると遊びが減る。これは間違いない。だってみんな忙しいから。
でも遊びが減っても思い出は減らない。良い仕事は良い思い出にもなるし、良い友達も増える。
けどやっぱもう少し「ただ遊ぶだけ」の機会もほしいよなぁ。

続けることは、変化し続けるということ

人間の細胞は約4年で全て入れ替わっているらしい。
何も変わっていないように見えても、外見は変わってないように見えても、実は全く別の細胞になっているのだ。

ヒトの体の細胞は4年でほとんど新しいものと入れ替わり「別人」となってしまうわけです――というのは言い過ぎで、徐々に老化した細胞から順番に入れ替わるので、姿形が変化することはありません

生物としての寿命は55歳!長寿になりすぎたヒトを襲うリスクとは

組織やコミュニティ、まちや社会もそうなのかもしれない。
明日自分が死んでも、世界はほとんど何も変わらずに回り続ける。
逆に、変わらずに残り続けているように見えるものでも、時代や状況に応じて絶えず変化を続けているからこそ、その存在が残り続けている。

誰かと一緒に続けてきたことなら尚更そうだ。
自分一人ではじめて、自分一人で続けていることなら、いつだってやめられるから、簡単に無くすことができる。

誰かとはじめて、誰かと続けてきた、育ててきたものは、残し続けたいと願い、行動し続ける人がいる限り、形を変えて残り続ける。

代表取締役を交代しました

photo by Keisuke Harada

2024年5月31日をもって株式会社Earth Friends Campの代表取締役を退任しました。これからは「Co-Founder 取締役」という肩書きになる。代表取締役には、共同創業者でこれまで取締役を務めてきた志水陽平が就任し、会社名も「株式会社EFC」に変更。

ANSHINDOがオープンし、陽平くんが個人で運営してきた層雲峡ホステルもEFCの宿泊事業に組み込むことになり、さらに町内で民宿も事業承継して運営することになったので、宿泊事業を会社のメイン事業として拡大しくためにも、5年間層雲峡ホステルの運営を通して宿泊事業、観光事業に取り組んできた陽平くんに代表を引き継ぐことにした。

さらに、6月22日(土)のANSHINDOオープニングイベント「ローカルキャリアサミット」の中でも発表があった通り、長野県にある株式会社Huuuuの代表取締役である徳谷柿次郎さんが、この度EFCの社外取締役に就任。
ローカルでのスーパーハードモードに無理して背伸びして挑み続けているEFCに、全国47都道府県をローカル行脚で取材し続けてきた柿次郎さん独自の視点や編集の力で、風穴をあけてもらいたい…!

柿次郎さんの社外取締役就任については、後日改めて記事を出す予定なのでお楽しみに!

10年間「やめない」を続けてこれた

「代表を降りるの寂しくないの?」とか「不安じゃないの?」とか「勇気いるだろ」とか言われる。

寂しさはある。「あぁ代表じゃなくなるのかぁさみしいなぁ」と思っている。だって「代表」ってなんかかっこいいじゃないですか。
でも、役職が変わるだけでやることも立場もほとんど変わらないし、この寂しさはただ「代表じゃなくなった」という事実に対する寂しさなだけで、すぐになくなる感情なんだろうなと今は逆にこの寂しさを愛でている。

不安はないし、特に勇気も必要なかった。
会社を知らない誰かに売却するわけでもないし、自分が完全に会社から離れるわけでもないし、代表を任せるのが信頼のおける相棒、志水陽平なのだから。

あと、個人的は「10年やってきた」という思いがある。
会社としてはまだ3年だけど、EFCとしては10年やってきたのだ。
10年間「やめない」を続けてこれた。

きっとEFCを初期の頃から知っている人たちからしたら「あのただの外遊び集団が会社になって事業をやってるなんて信じられない!」と驚いていると思う。自分でも驚いてる。

始めた頃は仕事にすることは考えていなかった。ただ、みんなとずっと楽しく過ごしたかった。集まって一緒に空間やモノやコトを作って、出来上がったそれらをツマミに「できたね〜!」と言って酒を飲む。やる度に友達と思い出が増えていく。それが自分たちの人生を豊かにしている実感もあったし、それを続けたかった。

でも、それぞれが歳を重ね、ライフステージも変化していく中で、だんだん続けていくことの難しさを感じ始めていた。

だから、続けていくための形や、やり方、あり方を考えるようになり「事業化することでEFCをもっと続けられるようにしたい」という個人的な目標を立てた。

そんな時に陽平くんから上川町の地域おこし協力隊募集の話を聞き、当時8名いたEFCのコアメンバーのうち5人が上川町へ移住し(1人は先に移住してた)、少しずつ「仕事」としてやらせてもらえることも出てきたタイミングで、陽平くんがEFCにジョインして法人化することに。

2021年(株)Earth Friends Camp創業メンバー(かなちゃん、俺、陽平くん)

あれから3年が経ち、取り組みの内容やコアで関わるメンバーは大きく変わったけれど、なんとか会社としてEFCを続けられる状態にはできたし、今でも当時のメンバーとは仲良く、プロジェクトごとに一緒に仕事をしたり遊んだりできている。こういう形もありだよね。

リーダーが必要になってきた

この先はわかりやすくみんなを引っ張っていける「リーダー」が必要だ
会社として新しいフェーズに進んでいく。一緒に働くメンバーも増えてきたし、これからやっていきたいこともまだまだある。
先頭でみんなをまとめられるリーダーが必要だけど、それはきっと自分じゃない。なぜなら俺は全然後ろを振り返らないから。
ヴィジョンと言えるほどかっこいいものじゃないけど、「これやろう!そしたらこうなりそうだから!」という旗を掲げることは自分の役割だと思ってる。
でも、そこに向かうためにチームを束ねたり、ケアしたり、安心感を与えるのはきっと陽平くんのようなリーダーなんだと思う。陽平くんには父性があるんだよな。

photo by Keisuke Harada

きっとこれからもEFCは変化を繰り返しながらも、続いていく。今はそれが嬉しい。

とはいえこれからもきっとやめてしまうプロジェクトや事業、離れていくスタッフも時には出てくると思う。すでにそういうことも経験してきてる。
時代の流れや自然、人の感情なんかは予測しきれないし、コントロールもできない。

なくなっていくものや離れていくものがあるのはさみしいし、悲しいけど、筋肉ムキムキになってそこに抗おうとするのは性に合わない。
流れをうまく掴んで、進んでいけたらいいなと思っている。
風を掴んで進む船みたいに。川の流れを使ってうまくコントロールするカヌーみたいに。波の上を滑るサーファーみたいに。

OUR LiVES

気がつけば30代も半ば。
あの頃一緒にバイトしてたあの人は結婚して子どももいて、一軒家を建てて、かっこいい車に乗っていて、休日は家族でキャンプに行ったりしてるらしい。教えてくれてありがとうインスタグラム。

どうやら自分がやっていることや生き方は、世の中的には「普通じゃない」らしい。そんなこと知るかよと思う。

photo by Atsuya Tasaki

幸せの尺度、価値観の物差しを社会や他人に決められたくない。
それぞれの人の中にある、それぞれの価値観を尊重したい。
これはKINUBARI COFFEEの「OUR LiVES」という思想にも通ずるものだ。

分かり合えなさを認めつつ、それでも歩み寄り
だけど寄りかからず、迎合せず
重なる部分で共に与え合い、築き、積み上げていく
それが「OUR LiVES(わたしたちの人生)」なのだ。

次の10年をどう生きるか

ANSHINDOをやると決めたときから、10年後が楽しみでしょうがなくなった。もちろん何が起こるかわからない世の中で、不安もあるし悩みも尽きない。何かがはっきりと見えているわけでもなく、ぼんやりと見えている未来に突き進むための平坦でまっすぐな道があるわけでもない。
ただ、その先にはたしかに光が見えている。

まちの空気や人の流れが変わってきた。
それは空き家をリノベしてお店が増えているという物理的なエリアリノベーションの成果のことではなく、暮らしている人たちの気持ちが変わってきているのを感じる。

上川町には今、このまちの暮らしを楽しもうとする人が増えてきている。
職場や学校以外の場所で、これまで関わることのなかった人たちが繋がり
一緒に話したり、考えたり、何かに取り組むことが当たり前にできるようになってきた。

このまちで一緒に何かに取り組める人がいる。
一緒にこのまちでの暮らしを楽しめる人がいる。
きっとこの「思いの変化」は緩やかな波紋のように周りの地域にも広まっていくだろう。

photo by Reina Akebono

実際、ANSHINDOのオープニングには道内各地、道外からも本当にたくさんの人がお祝いに駆けつけてくれた。

「"ここだからできる"をつくる」

上川町で起こり始めていることは、上川町だからできたことでもあるけれど
あなたのまちにもきっと、あなたのまちだからこそできることがある。

それを一緒に見つけて、一緒にやっていく。
次はそんな10年にしたい。

ANSHINDO宿泊予約できます!

ANSHINDO公式サイトを鋭意製作中ですが、すでにこちらのURLから宿泊の予約ができます!
ぜひ泊まりに来て上川町を楽しんでください〜!

「上川町にいったら何ができるの?」という方も多いはず!
上川町の楽しみ方が詰め込まれたイケてる観光パンフ「KAMIKAWA TRIP」こちら!(WEBからPDFでご覧になれます!)
もちろんANSHINDOやPORTO、KINUBARI COFFEEでもおすすめをご案内しているのでお気軽にスタッフにお尋ねください!

1F カフェバー
1F ギフトショップ
2F 201 グループルーム
photo by Keita Inaba
2F 202 ダブルルーム
photo by Keita Inaba
2F 203 ツインルーム
photo by Keita Inaba
2F 204 ツインルーム
photo by Keita Inaba
2F 共有ラウンジ・キッチン
photo by Keita Inaba
3F シェアオフィス
photo by Keita Inaba

カバー画像: photo by Seisyu Watanabe

コーヒー1杯分くらいのサポートを頂ければ 夜寝る前と朝起きたときに感謝の祈りを捧げます。