愛と利と

  これはNetflixで配信している韓国ドラマで、実は今年の2月頃からこのドラマのことについて語りたくて、ちまちまと書いては消してを繰り返しているうちに、そのうちどこに向かって書きたいのかさえ迷子になってしまって放置していた。というのもこのドラマにはまりすぎて、思いが溢れすぎて、何を書いてもまとまらないのだ。何度も何度も見返して、もう何周したのかわからない。
 原題は「사랑의이해」で“愛の理解”という意味。『이해』が「利害」と「理解」という同音異義の意味を持つ単語なので「愛と利と」という邦題はなかなかにしっくりくるタイトルだなとここからすでに惚れている。

『学歴も社会的階層も違う登場人物が、同じ職場で出会い、恋愛を繰り広げながらも関係が拗れていくラブロマンス』
                         (Wikpediaより)

 Wikipediaに書いてあるテーマ文が簡潔でこれ以上もこれ以下もないストーリーだなと思う。矢継ぎ早に想像を超える展開に胸を躍らせることは全くなくて、舞台となっている銀行というカテゴリーでそれぞれの登場人物が、ただじわじわと「好き」という気持ちを行きつ戻りつしてるだけなのだから。
 ただ“学歴も社会的階層も違う”というのがこの物語の肝となっていて、この部分が、とても面白くて、とてつもなく深くて考えさせられる。

「あなたに似合う人」とははどういう人なんだろう?
「あなたが好きな人」は「あなたに似合う人」ではないのかしら? 
とめどないヒエラルキーが、「好き」という気持ちでさえ戸惑わせる。
 民主主義の現在、自由なのに、自由になれるのに、深く根付いた思想や教育が、それぞれの家庭環境で性格や考え方を位置づける。

 当たり前のことが言えず海の中でさまよっている若者たち。解放しようとあがいてみても、ヒエラルキーの壁はピクリともせずに自分に跳ね返ってくる。闘う心は奥に隠したまま、折り合いをつけて、世間に合わせ、その時をやり過ごすしてみたものの、喉の奥に残る苦い味が耐えられない。

「理解」と「利害」
利害のために理解しようとするのかしら?
本当の理解とはいったいなんなのかしら?

私もずっとさまよっている。

 

 

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