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cheerioの超個人的レビュー第18回『麻田華子:Doubt!』

今回は第2回東鳩オールレーズンプリンセスコンテストでグランプリを受賞した元気いっぱい麻田華子さんの2ndシングル『Doubt!(作詞:川村真澄 作曲:都志見隆 編曲:西平彰)』について、つらつらと書いてみたいと思います。

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発売は1988年6月1日です。おニャン子クラブが解散した翌年、そして以前レビューした坂上香織さんのデビューとほぼ同時期です。

実は、僕がこの曲を自発的に意識して聴いたのは、ここ数年の話です。
僕自身の個人的な話になりますが、3年くらい前までの10年間は、月に1、2回以上ライブをするようなバンドに入って活動をしていました。1番多くお世話になった地元のライブハウスではバンドの転換時間に何人かDJが入ることが多くありましたが、大体のDJは出演バンドの雰囲気に合ったようなロックナンバーを流すんですね。でも一人いたんです、尖ったアイドルナンバーを流すDJのパイセンが。そしてそのパイセンが選ぶ曲の中にこの『Doubt!』がありました。爆音で流れてノリが良かったんですよね。とういうわけで、この曲を初めて意識して聴いたのはライブハウスでした。

それから音源を手に入れると、そこからしばらくヘビーローテーション。まず歌が伸びやか。当時13歳とか14歳ですよ。堂々とした歌いっぷり。

特に『Doubt!』はカッコいいんですよね。
ライブハウスから入っているんで、この曲に関しては歌詞よりも先に曲のノリで好きになっています。50'Sを彷彿させるベースラインとギターのカッティング。定番過ぎて今の感覚で言うとやっつけ?とか思ってしまいますけど、定番というのはそういうものです。ほぼレザージャケットばっかりのライブハウスで爆音で流れる『Doubt!』のシュール感は最高でした!

80年代はオールディーズやロックンロールを下敷きにしたアイドルソングも多かった(というか、若者カルチャーが50年代を下敷きにしていた)のですが、それもおニャン子がセーラーズからヒップスロードに変わったあたりがピークではないかと個人的には思っています。

『Doubt!』がリリースされたのは88年ですので、わずか1、2年の差ではありますが、このアプローチはリアルタイム的には少し時代遅れな感じがしたのではと推測します。本田理沙さんの『Lesson2』も似たような感じですか。アレンジ的に音数が少ないので、90年代に続くアイドルソングのフォーマットからすると物足りないと感じる方も多かったのでは。もしかすると、この2曲はもうすでにナツメロ的なアプローチだったのかもしれないですね。坂上香織さんのフォーク・ニューミュージック路線へのレイドバックなど、この時期は試行錯誤の時代だったのかもしれません。

と、言いながらもこの曲に関してはAメロ、Bメロ、サビで分かりやすいほどにアレンジに変化を持たせてあるのでナツメロ感は薄めです。Bメロに突然モサっと入ってくる男性コーラス、サビのコール&レスポンス的なメロディやイントロと似たようなキーボードのフレーズ。90年代のアイドルソングへのベクトルではなく、90年代のバンドブーム(リンドバーグとか)へのベクトルに近い印象。編曲の西平さんが彼女に感じた方向性だったのかもしれないですね。

同じオールディーズ的なムードで言うと初期の岩井小百合さんや初期の国生さゆりさんを受け継ぎ、更にアップデートしたようなイメージがあります。
・・・ポニーテールってだけですかね?? 笑

川村真澄さんの歌詞も「この目で見たものしか信じない」という、アイドルよりロックンローラーが言いそうな内容です。アイドル曲の歌詞も多く手掛けている川村さんですが、僕はどちらかというと初期の久保田利伸さんのイメージが強いです。この曲のノリの良さも川村さんの言葉の選び方が大きく影響しているのでしょう。詞先か曲先か・・・おそらく曲先でしょうが、流れるような言葉の選び方はさすがだと思います。しかもそれを麻田華子さんはさらっと歌いこなすんですよね・・・。

さて、『Doubt!』は映像で見るとパフォーマンスも堂々としています。踊りのキレもよく、その割りに歌も安定しています。途中、ウエストポーチに手を入れてモゾモゾしてるのも微笑ましいです。

当時の僕が彼女に興味を持たなかったのは、おそらく彼女のことを幼く感じていたからだと今では思います。同じ74年生まれの坂上香織さんと比べると、やはり元気さを押し出した分、幼く見えた覚えがあります。僕も74年生まれですが、テレビや雑誌の中のアイドルには憧れに近い感じで接していたので、等身大で頑張る麻田さんは物足りなかったのかもです。同じような理由で宮沢りえさんも興味出ませんでした。

そうは言いながらも時は流れていくものです。麻田華子さんも紆余曲折ありながらもギリギリ21世紀にまたがって歌い続けました。宮沢りえさんは今では大物女優です。

麻田華子さんの場合、今の年齢にふさわしい大人の曲を歌っている姿を見てみたいです。

軽くフェイク入れるのもイカしてます。まだ中学2年生ですが、このポテンシャルは相当なものです。しかし、後ろのメンバー(特に工藤さん)の険しい顔が気になります。きっと「ガキが!」とか思ってるんでしょうね 笑



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