cheerioの超個人的レビュー第31回『高井麻巳子:かげろう』
いつもありがとうございます。チェリオです。
今回は原点に帰って『おニャン子クラブ会員番号16番』高井麻巳子さんの4thシングル『かげろう(作詞:沢ちひろ 作曲:八田雅弘 編曲:清水信之)』について、個人的観点から書いていきます。今回もよろしくお願いいたします。
1987年3月18日に発売されたこのシングルは、おニャン子クラブ卒業記念盤ということになっているようです。
「おニャン子白書」によるとレコーディング前日に歌詞が変わったとか。今回レビューをするにあたり、改めて歌詞を読んでみたんですが・・・この曲もなかなか難解ですね。ストーリー的にはそんなことないんですが、表現のセンスが独特と言いますか。
「耳をすましながら 想い出たちが来る」
「私の手のなかに こころ、いれて下さい」
なかなか難しくないです??耳を澄まして想い出を聞き取るではないんですよね、想い出が耳を澄ましているんです・・・いや、やっぱ想い出を聞き(感じ)とっているんですかね。
歌詞全体としては、儚い恋をしているというよりは、儚い恋心とでもいうべきか。そして吉沢秋絵さんの『鏡の中の私』にも通ずる一人芝居感が何とも言えない味わいです。切なくなるのでもなく、この曲を聴いた時間そのものが儚く感じてしまうような。
「おニャン子白書」の中で、「沢ちひろさんの書いたあまりにも普通の詞は、他の目立つ子じゃダメで高井にしか歌えないと思う」という記述があるのですが、この曲の歌詞は「あまりにも普通」なんだろうか、と一瞬考えてしまいました。
でもきっと恋心を抱き始めた10代の女の子にとっては、普通だったのかもしれないと思い直しました。
「やさしい、雨あがりに出逢う人は あー 赤い糸の人 そんなこと信じた」
「あなたの ほほ笑みはこんな私の あー 願いの写し絵ね せつないのかげろう」
未だ出逢えたような出逢えてないような。そういうごく一瞬のタイミングを切り取った歌詞なのかもしれないですね。願いの写し絵とか、表現のセンスが素敵過ぎます。
そしてこの曲の歌詞の真骨頂はやはり2番のサビだと思います。
「たとえば 悲しみだってかまわない あー あなたがこの胸に残るものだったら」
「ほんとは 誰もいない愛景色 あー 今日も見つめていた せつないのかげろう」
素晴らしくないです??
願いの写し絵とか、ほんとは誰もいない愛景色とか。応援とかメッセージとかそんなものは一切入り込む余地のない、超個人的な歌詞。これこそがアイドルソングだと思うのですが、どうでしょうか。
それにしても、この作品の世界観が何より素晴らしいと思います。沢さんの紡ぐ世界観と、それを歌う高井麻巳子さんの清純なイメージ、そしてそれを聴く悶々とした10代男子。これらの組み合わせは最高に贅沢なものではないかと思います。体感として共感できるのは、おそらく人生の中で一瞬です。なのでリアルタイムで共感を感じていた人は貴重な時間を過ごしたんだと思います。ちなみに自分は当時そこまでのことは感じ取ることは出来ていなかったです。
そして今回、この曲をレビューに選んだのにはもう一つ理由があって。
それはサビ前の部分、
「たった 一ひらのそよ風にさえ 消えて しまいそうに浮かんでる恋」
のメロディが20年以上経った今でも、ふとした時に頭の中をよぎることがあるからです。特に寝起きの時にふっと頭の中に流れてきます。それがなぜだか分からないのですが、確かにこの部分のメロディは秀逸だと思います。おニャン子関係曲の中でも、この部分は特に素敵だと思います。
しかし。。。。
ここまで書いてきて言うのもアレですが、当時も今も個人的には高井さんはあんまりタイプではありませんでした 笑
ポニーテール好きなはずなのになんででしょうかね。ルックスがお姉さん的に感じていたのは何となく覚えています。ちなみに自分で買った音源は7枚目のシングル「テンダーレイン」だけです。それでもおそらく全ての音源はしっかり聴いていたような気がします。何ででしょうか。派手さもなくくっきりとした特徴も特にない感じなんですけどね。
子ども心に彼女の芯の強さを感じ取っていたのでしょうか。芯の強さと言えばこのエピソード。
秋元康が商品に手を出した、とか、ロリコンだ、とか色々言われていましたが、実際は彼女の方が惚れてたんですよね。自分に正直というか芯の強さと言うものが、彼女の唯一無二の存在感として表れていたんでしょうね。
ちなみに高井さんのラストアルバムが発売されたとき、同級生が「このアルバムは一生開封しない」みたいなことを言っていたんですが、その後どうなったんでしょうか。もし開封しなくて持っているのなら譲ってくれたらありがたいんですが。
今回改めて動画見たんですが、動く姿はほとんど覚えてなかったです。。。この垢抜けなさも彼女の魅力だったんでしょう。
しかし、高井麻巳子さんの芸能界における存在そのものが、かげろうのように儚いですね。。。。
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