E・トッドの新書って・・・

『パンデミック以後 ー米中激突と日本の最終選択ー』(エマニュエル・トッド、朝日新書、2021年2月)読了。

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 出ました。またまたトッドの新書。「昔ドラッガー、今トッド」的に、なんかあると、今の日本のインテリ層は、すぐトッド発言を気にする。・・・その需要に応えるあざとい新書(笑)。というとシニカル過ぎるか。
 「千円未満で買える新書に何を期待してんねん!」といわれそうだが、トッドの新書のパターンはどこかの雑誌インタビュー数本をガッチャン束ね、そこに最新時事ネタを追加インタビューで加えるという構成の本が多い。正直もう食傷気味だ。
 確かにトッドが今の現象に対して何を感じ、何を考えているか、は気になるが、各章がバラバラに成立ち、ページごとに話題の核心が深まっていくわけでないため、底の浅さだけがやたら目立つし、フラストレーションを強く感じてしまう。

■気なったかしょ

コロナ禍は、社会を壊したというより、今の社会がすでに壊れていたことを暴いたにすぎません。(P64)
国が、エネルギーを注ぐ先を人口動態問題に大きく転換していくためには、まず、経済やテクノロジー面でのパフォーマンスがもはや最優先ではないという考え方を受け入れなければなりません。国内総生産(GDP)が優れた基準ではないと気づかなければならない。(P81)
人口動態危機に対応するには、出生率の上昇と移民の受け入れの両方が必要。そのどちらかではなく、二つの課題を同時に進めなければなりません。移民を統合するには子どもも増やさねば。
日本にはこの問題しかないのです。けれども、ほかの問題ばかり語って、人口問題を絶対的な優先課題にしないで後回しにできると考えているのだとすれば、それこそが日本の幻想です。(P87)

■目次
1 トランプ政権が意味したこと
2 新型コロナ禍の国家と社会
3 新型コロナは「戦争」ではなく「失敗」
4 不自由な自由貿易
5 冷戦終結30年
6 家族制度と移民

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