とある踊り子の話

綺麗なヴェール。
綺麗な柔く白い肌。
綺麗な長い髪。
綺麗な髪飾り。

その姿を皆、艶やかな目で私を見る。
その踊りを皆、下品な言葉で片付ける。
『ありゃァ、上物だ。
特別美味しそうなメロンが2つあらァな。』
『いいねぇ!酒が進む進む!
あの色香で、あの腰つき堪んねぇなぁ!』
『よぉ!踊り子の姉ちゃん!
その腰使い俺も上でやってくれよ!』
…………ホント、【オトコ】って下品。

何も知らないのね
私の"苦しみ"を
何も知ろうとしないのね
私の"努力"を
全部壊そうとするのね
私の"人生"を

私、知ってるの。
ソウイウ事を言う酔っ払った【オトコ】って変に力があるから、"酔った勢い"でソウイウ事しちゃうって。
私、知ってるの。
"酔った勢い"って簡単に奪っていって、簡単に"無かった事"になるの。

知ッテル?
どれだけの女があんた達【オトコ】に食われたか。
知ッテル?
どれだけの女が【オトコ】に"食われて"夢を絶たれたか。

踊り子っていう職業はオトコたちの"慰めるための玩具"じゃないのよ。
踊り子っていう職業は女達の"魅力を最大限出すための努力"をして皆に披露する"自分を磨いて宝石になる為"の職業よ。

だから私は抵抗したの。
だから私は【獣】を殺したの。

危なかったのよ?
着替えてる途中に来た【獣】だったから。
危なかったのよ?
【オトコ】は力のある生き物だから。

なのに………………

何デソンナ眼デコッチヲ見ルノ?
何デ【オトコ】ニ向ケルヨウナ眼デ…
綺麗ナ髪ハ赤クナッチャッタケド
綺麗ナ柔イ肌ハ傷ガ付イチャッタケド
貴方ヲ守レタノニ、ドウシテ

どうしてそんな【獣(オトコ)】を見る目で私を見るの?


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