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お店が無くなる理由

東京渋谷のワインバー「bar bossa」の店主・林伸次さんのコラム連載です。飲食不況と言われる昨今、閉店を選んでしまうお店も少なくありません。あなたが大好きなお店がなくなる時、ただ悲しんでいるだけでいいのでしょうか。あなたが本当に大事に思うお店なら、どうすればいいのか 。お店側からの視点を林さんが語ります。

知人のバーが閉店することになって

いらっしゃいませ。
bar bossaにようこそ。

知人のバーが、閉店することになりました。それで、色んなお世話になった方達に連絡をして、ちょっとした閉店パーティみたいなものを開いたそうなんですね。その僕の知人としては、「これからまた何か新しいことを始めるつもりなので、その時はよろしく」という気持ちのパーティだったそうなのですが、ほとんどの人にこう言われたそうです。

「すごく良いお店なのにどうしてやめちゃうの?」

バー経営者として言わせていただきますと、お店を閉める理由はただひとつです。お店にお客さまが来なくなって、売り上げが少なくなって、経営に行き詰まったからです。もちろん「立ち退きで移転」や、「店主が高齢で引退」という場合もありますが、そういう場合はその理由をまず一番最初に説明します。そういった事情がなければ、お店が儲かっているのに閉める人はまずいません。お店を閉める理由は、これ以上続けても赤字だからです。

彼いわく、そのパーティで、「良いお店なのにどうしてやめちゃうんですか?」って言われるたびに、途中から「あなたがお店に来てくれなくなったからです」と言いたくなったということです。

僕は経営者としていつもいつも思うことがあります。

「老舗の○○がついに閉店」とかいう報道があると、必ずツイッターやフェイスブックで「え? すごく残念! あの名店がなくなるなんて!」なんて言う人が出てくるんですね。

そういう人たちを見ると、「それはあなたがそのお店に行かないからです」といつも伝えたくなります。本当にそのお店が魅力的なお店で、みんなが普通に利用していたら、そのお店は閉店するはずがないんです。

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