潰れないお店

ここ最近、渋谷のパスタ屋さんがいくつかなくなったんですね。

飲食店経営者の僕としては「パスタ屋さん」ってつぶれない業態なんだとなんとなく思ってたんです。時々、食べたくなるし、若い人のデートにも使われるし、気取らなくてもいいけど、お洒落な感じもするしと思ってたんですね。

でも、以前、高校生の姪っ子が「渋谷でご飯を一緒に食べよう」って時に「やっぱりパスタ屋さんとかが良いかな」と僕が思ってたら、彼女「お寿司屋さんが良い」って言ったんです。で、「そうかあ。パスタってもう家で普通に食べられるから、わざわざ外食ってものじゃないんだ」ってわかってきました。

           ※

ところで、渋谷という場所柄、まず飲食店って潰れては新しいのが出来るというのを繰り返すんです。場所は同じ会社が持ってて、以前は「ソファーがあるダイニングバー」だったけど、今は「立ち飲みのワインバル」に変えるって感じで、業態だけがドンドン変わっていくんです。

で、逆に「潰れない業態」というのが気になり始めて、最近はそういうお店ばかりに注目しているんですね。

いくつかあるって気がつきまして、こんな感じです。

カレー専門店

普通の街場の中華料理店

お蕎麦屋

焼き鳥屋

タイ料理店

この5業態に関しては、まず潰れなくてずっと続けているんです。

さて、カレーと中華料理については以前、ここで書いたので触れません。 https://note.mu/bar_bossa/n/n4ad0e6e83f3f

焼き鳥屋さんですが、これ、先日、焼き鳥屋に携わってていた人に色々と教えてもらいました。

「とにかく原価が安い」のだそうです。まあ確かに鶏肉って安いですし、鶏肉のレバーや皮関係もすごく安いですよね。

さらにその「安い食材」を例えばイタリアンで「鶏のトマト煮込み」とかをやろうとしたら「お肉が小さい」のってちょっと「ダメ」だけど、焼き鳥の場合、「お肉が小さい」とは誰も思わないらしいんです。逆に焼き鳥の「お肉が大きい」と「野暮」とか言われます。

その「小さくても文句を言われない」というのが「鶏肉以外」でも応用できて、「椎茸」とか「他の食材」も小さくてもあの「串のサイズの中で完成している料理」ってみんな思っているから、誰も「小さい」って思わないそうなんです。確かにあの「串」に刺してなくて、お肉とネギが「コロッ」と5個お皿の上に載って出てきて200円だと「お肉とネギが小さい」って感じるけど、串に刺さってたら思わないんですよね。不思議です。

焼き鳥の「鶏肉」の部分を「魚介」にしてあるお店って、結構入ってますよね。そんな感じで、「あの串に刺して焼く」というスタイル、まだまだ他にもヴァリエーションがあるような気がします。

          ※

タイ料理屋さん、渋谷に結構あって、日本人がやってるのとかタイ人がやってるのとか色々なんですけど、どこもちゃんと入っているし、潰れないんです。

タイ料理ってもしかして中華料理やイタリア料理くらい日本人に浸透してきて、さらに「まだ店舗数が少ない」のかなって感じています。

実際、うちの場合、妻が「今日はタイ料理が食べたい」って1ヶ月に1回くらい言うんです。

だから、もしかして「タイ料理」も「もっとワインにあった料理中心にする」とか「街場の中華料理店」みたいに朝から真夜中までずっとやって定食もある「食堂風」とか、「一人客のために小皿で色々出してもらえる」とか、いろんな業態がまだまだ可能かなと思いました。

           ※

お蕎麦屋さんも、潰れないんです。立ち食いとか、昔ながらの丼モノもあるお店とか、老舗とか色々とあるのですが、どこも入ってるんです。

さらに「お蕎麦屋さん」って女性客がすごく多いんです。

たぶん「健康志向」ですよね。パスタやラーメンだと太りそうだけど、お蕎麦って太らないというイメージが強いです。

お蕎麦って「街の食堂」という側面と「渋く飲み屋として使う」という側面がありますよね。

どっちもすごく好きなのですが、他にも可能性があるんじゃないかなあって前からすごく気になっています。

それが「立ち飲みにして日本酒もあるバル風」なのか、それとも「もっと洋風にしていただくお蕎麦」なのか、僕はまだよくわからないのですが、いろんな可能性がありそうです。

高井戸に休日や http://www.qjitsuya.com/ というお蕎麦のお店があって、そこ、すごく良いんです。変な話しですけど、ここほど客層が上質なお店って今まで見たことありません。参考になるかもしれないです。

                                      ※

前にも書いたのですが、「お店を始めたい」ってときって、「人が集まってくるお店」とか「今までなかった面白い料理」とかって感じで「自分の理想」みたいなことから「コンセプト」を考えがちですが、「街で潰れないお店」というのを参考にして、そこから考えるというのも「現実的」でアリかなと長くお店をやってきた人間としては思います。

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「僕が出来る料理」です。

ここから先は

117字

¥ 100

サポートしたいと思ってくれた方、『結局、人の悩みは人間関係』を買っていただいた方が嬉しいです。それはもう持ってる、という方、お友達にプレゼントとかいかがでしょうか。