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顔と名前をおぼえる
東京渋谷のワインバー「bar bossa」の店主・林伸次さんの、人の心をつかむコラム連載です。林さんがバーテンダーとしての仕事を始めたころに教えられた、「バーテンダーズ・ルール」というものがあるそうです。そのルールの前提となるのが「お客様の顔をおぼえること」。では、林さんはどのようにしてお客さんの顔をおぼえているのでしょうか。ビジネスにも使えるそのテクニックをお教えします!
バーテンダーズ・ルール
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
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バーテンダーズ・ルールというものが存在します。僕たちバーテンダーは修行中に先輩たちから実地でそのルールをひとつづつ学んでいきます。
例えば有名なのに「お客さまに職業をたずねてはいけない」というのがあります。そのお客さまは職場での肩書きから離れた場所でネクタイを外して、くつろいだ気持ちで飲みたいと思っているかもしれないので、お客さまから自分の仕事について話されるまで、一言も職業については話してはいけない、という配慮です。
同じような理由で、既婚か未婚なのか、もちろん学歴や出身地、そしてお名前もお客さまから教えて頂くまでは話題にはしてはいけない、という確固としたルールがあります。
そうなんです。バーテンダーズ・ルールの多くは「お客さまとの距離感」ということに神経を使います。プライベートな領域に入っていってもいいのか、それとも、ということです。
そんなバーテンダーズ・ルールの中に「初めてのお客様とはあんまり親しくなり過ぎない」というものがあります。
理由はわかりますか?
実はお客さまの方が、2回目の来店がしづらいからなんです。「前、すごくバーテンさんと話しが盛り上がっちゃって、帰りに『また来ます』なんて調子良く言っちゃったけど、自分のこと忘れちゃったかもな。忘れてたらお互い気まずいしな。どうしようかな」とかなんとか考えてしまって、お客さまがリピートできない、という心理状況になる場合があるです。
ですから、まず初めてのご来店のお客さまとは、少しだけお話しておきます。そして、そのお客さまが2回目にいらっしゃったときに店のバーテンダーが「あぁ、こんばんは!」と言って、「お客さまのこと、覚えてますよ」という気持ちを表情でお伝えするわけです。すると、お客さまは安心してずっと通ってくれるというわけです。
でも、これをやれるということは、バーテンダーは必ず一度来店したことのあるお客さまのお顔を覚えておかなければならないという能力が求められますよね。
これってバーテンダー以外の方にも結構必要な技術だと思います。というわけで、今回は「お客さまのお顔とお名前の覚え方」です。
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