抜歯と斧の共通点 2023/05/27

「右上の親知らずが虫歯ですね〜」と言われたので抜歯してもらった。
歯を抜くのは初めてだったのだが、想像以上に面白い。
ペンチみたいな原始的器具でゴリゴリされ、ミシミシという感触が口腔に鳴る。ゴリゴリミシミシの先で歯が取れ血が流れる。
お、最新技術!という趣は一切ないのがいい。もちろん技工はあるのだろうし、麻酔も発明なのだろうが、おそらく抜歯の類型は昔から今に至るまでそこまで変わってないだろう。

施術後に取られた歯が台の上で放置されていたのだが、それがどうしても欲しくて「これ貰えませんか」と伺ってみた。「あ、そうですよね!」と会計時にくれたのだが、言わなかったら捨てられてしまっていたのだろうか。危なかった〜

取れた歯はめちゃくちゃに「歯」の形をしていてウケたし、虫歯で黒くなっていた。焦げたポップコーンのようだ。



数ヶ月前にストレスで手斧を買った。別になにかに振るうつもりは毛頭ないのだが、その柄を握ることが自分にとって大事だと思えた。

最近になって、なぜあのとき斧が自分にとって必要であったのか考えていたのだが、力強く振るわれるその原初性が好きなのだろうなと感じた。
同じ理由でナタも好きである。

上で書き連ねた抜歯の体験に感動したのも、その原初性によるものだと思えた。

力強き暴力性。


現実を横断しているものが好きなんだろうな。



このまま好きの話をするか。プリミティブな好きさの。

クイズ。
下記は私の好きなものであるが、好きな理由はある共通点から。それはなにか




・信号機
・自動販売機
・電話ボックス

付随
・雨





わかりましたか?

正解は光でした。



光が好きだ。虫と一緒の習性。

夜に煌々と輝く灯りを見ると高揚する。
油絵を見たとき、絵の微細な凹凸が反射する光に見とれる。
雨に濡れるアスファルトが反射するヘッドライトの光は綺麗で、それだけで雨の煩わしさを忘れさせてしまう。
ライティングが美しい映画に穿たれる。
夜中の東京をドライブしているときの感覚も心地いい。

おりがみセットの底に封入されていた、数枚の金色や銀色の折り紙が好きだった頃と変わっていない。



光と隣接して色も好きだ。

以前発作的に「自分には色彩検定を取る必要がある」と思ってそれを取得したのだがその勘所は間違っていなかった。 

色の付いた光が好きだ。

東京都現代美術館でみた展示。これが一番好きだった。

まさに自分に刺すためにそこにあるような感覚に陥る。



好きさを分解していった先にある、根源的で原初的で共通する「好きさ」を求めてみる。

老人が花とか子供とかを好きなのはこれか。

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