一番怖いものは。
あなたにとって一番怖いものはなんですか。
鬼ですか、お化けですか、親父ですか(最近の親父は優男ばっかなのかな)、天災ですか、がっこーの先生ですか、友達ですか。
僕は大衆です。人じゃなくて人々が怖いです。一人ひとりはあんなにもいい人たちなのに、カタマリになった瞬間悪魔に変貌するあれが怖いです。言い換えれば、それは孤独なのかもしれません。
いつもは無関心で、感謝もしないくせに、何か苛立つと嬉々として攻撃してくる奴らを僕は忘れることができないでいます。
僕は幸いにして(?)いい人に守られていたのでいじめられたことはないですけど、あの遠くから表向き害はなさそうな顔して、じわじわと腐敗させていく罪の意識のないあの悪意はいまだに恐怖として残っています。
そのくせ、都合の良い時はけろってしてニコニコしてくる大衆。大人たちは気付いてるのか気付いていないのか、苦しみを知っているが故にあえて僕らが乗り越えるのを見守っているのか。とにかく、何もしてくれなかった、どころか同じ大衆の一部としてあった。
この時の僕の気づきと諦め。ああこの人たちも良くも悪くも人間で、発展途上のなかで頑張って生きているんだなってこと。世の先生方、あなたが味方になってくれなかったら、子供たちは誰を信じて生きればいいの。なんちゃって、無条件に信じていいものがあればそれは宗教くらいなもんで、この日本って国ではそれが死んだという洗脳を受けているんだから、一人で生きていくしかないっての。
* * *
以前、近所に赤ん坊が生まれたものだから、挨拶に出向いた。
驚いた。こんな世界でも、これほどまでに美しい生命体が誕生するだなんて。こんなにも体いっぱい泣いて、溢れ落ちるように笑みをこぼし、生きているだなんて。こんな世界なのに…
そのとき、僕は恐怖など忘れていた。
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