ちょっと気味が悪い話について思うこととその実例

「気味悪い話を気味悪いままに話すコツは、理由や解釈を付け加えない」だなぁと思っています。淡々と事実だけを述べる。語り手は解釈を挟まない。

こんなコツ知って何の役に立つのかなってわたしも思ってるわけですが、これ実はわたしが気味悪いなこの話って思うものはこういう形を保ってる事が多いので気がつきました。後付けの解釈や理由は、もしかしたら怖さを拭うための無意識の行動なのかもしれないなって思うのです。

そういう、ホラーまではいかない「ちょっとだけ気味の悪い話」のストックが、わたし自身が見聞しただけでもそれなりの数あります。しかし、大抵リアルワールドで話すと「怖いからやめろ」と怒られるし、自分でもオチもヤマも無い話をリアルワールドでするのってどうなのって感じなので、当然デッドストックです。

でもみんな普通に生きてたらちょっと気味悪い話、いまだに腑に落ちてない話のストックくらい20-30あると思うので、そのつもりで水を向けると時々話してくれる、そういうのを聴くのが好きです。

ニュアンスを伝えるためにはビミョーーに個人情報消しきれないからSNS上だとちょっと難しい話や、特殊な器具や処置の話もあって、やっぱリアルワールドの職場でないとこの気味悪さ伝わらない…でもそもそも伝える必要ない…みたいな葛藤があるものの、腑に落ちなさや気味悪いと感じた事を残しておきたい。
そう思ってメモすることにしました。

以下に思い出すままに数列並べます。


オペ室入室から執刀開始までの間の手指清潔を守るためのポーズって育った文化がでるなと思ってます。指を伸ばした左手を右手で覆うようにして胸に当て脇を締めて肩をわずかにすくめる、いわゆる「トキメキ胸キュンポーズ」をみんなで一斉に取ってる外科のオペを見学した時はこっちがトキメキ胸キュンでした。
ここまでならいい話なんですが、みんななんで主執刀医が患者名と患部と術式を宣言する時だけ右側に小首を傾げてるんだろうって不思議に思いながら周りを見回したら麻酔科医も器械出しや外回りの看護師も見学してる学生もみんな同じように右に小首を傾げてて、よくわからないけどゾッとしました。

某病院の昔小児科の当直室だった耳鼻科の医局では、深夜まで仕事をしているとドアをノックする音が聞こえるのに大抵はドアを開けても誰もいないんだそうです。ノックが聞こえる位置が妙に低い、まるで未就学児童が扉を叩いているような位置だと主張する医局員がたまにいるそうで、わたしにこの話をしてくれたオーベンも「すごい低いの!ノックの音が!こんなところからだよ!」って床上30cmくらいの場所を指してたんですけど、それは未就学児童としても低すぎないかなと思いました。

某病院の内科病棟ナースセンターに置いてある鍵ボックスの中には何故かお札が置かれていて毎年ちゃんと更新されてます。新任の師長が「もうこういう非科学的なのはやめよう」って一旦廃止したんだけどまたすぐ復活して、師長に理由を訊ねてもこたえてくれなかったそうです。ってのはちょっと嘘で、実際はわたしが直接訊ねたんですけど「えーそんな話は知らないわねぇ」ってはぐらかされたんでした。

病院機能評価っていうミシュランみたいな外部からのランク付けがあります。その評価のためによその人がくるってんで病棟の掲示物を一掃したら、壁の塗装を引っ掻いて文字を描くように剝がした傷を隠すように貼られていたものが結構な箇所で見つかって慌てて塗り直したらしいです。描かれていたどの文字も「笑」という漢字で気持ち悪かったと、塗り直しの前に塗装を剥がす仕草をしながら言ってました。
「そのままペンキ塗ると文字が浮かんじゃうからね、古い塗装はちゃんと全体を剥がしてから塗らないと剥がれてきちゃうから部分塗りって本当はよくないんだけど」だそうです。

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