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『ふたりの旅路』ラトビア・日本合作映画 2020.4.26

朝もやのなか、ややおぼつかない足取りで和服姿の女性が、石畳の電車路を渡っていく、そんなチラシがとても印象的でした。あれはラトビア、リガの街が舞台だったのですね。

主演は桃井かおりさん扮するケイコ。20年前に交通事故で娘をなくし、その直後、阪神淡路大震災で夫を奪われた女性です。着物ショーに出るために、神戸からリドにやってきました。娘の結婚式のために誂え、そのまま着るチャンスのなかった黒留袖で舞台に立つ予定なのですが(以下、多少ネタバレあります)。そのショーの会場で、紋付袴の日本男性と出会います。それはなくなった夫(イッセー尾形)でした。バゲージトラブルでスーツケースをなくし、やむなく留袖姿で市内観光をするケイコの前に、時々姿を現す夫。ケイコは20年のさびしさを打ち明け、昔の思い出、シェフだった夫と小さな店を開く寸前だったことを、話します…。

英語のタイトルは『Magic Kimono』、20年ぶりに袖を通した留袖が、夫を呼び起こしたということでしょうか。バルト海の真珠、と讃えられる歴史のある街で展開される大人のファンタジーです。

リガ歴史地区として世界遺産に登録された石畳の旧市街や、映画『戦争と平和』でも使われたルンダーレ宮殿、市場など、観光映画として観ても楽しめます。本当にきれいな街です。リガは神戸の姉妹都市。ラトビアやバルトの国々で人間の鎖など独立運動があったあとに、神戸では大震災があったという、ケイコさんのセリフがあります。旧ソ連の東欧らしい、やややぼったい感じもある古い街です。

監督は、ラトビア出身のマーリス・マルティンソーンス。桃井さんとは日本では映画祭で公開された『雨夜 香港コンフィデンシャル(AYAYA)』『OKI(沖)』に続き3本目の作品です。日本でのシーンで、いまはなき、木内みどりさんがちらっと出演しています。


2017年6月24日日本公開
英語名 Magic Kimono
製作年 2016年
製作国 ラトビア・日本合作
配給 エレファントハウス
上映時間 99分
監督・脚本 マーリス・マルティンソーンス
出演 桃井かおり/イッセー尾形

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