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CAFE BIANCA を終えて~Neo~

まずは、ご来場&配信視聴誠にありがとうございます!6/9まで配信販売中なので、まだご覧になられてないかたは是非よろしくお願いいたします~!

去年の有観客公演中止からリベンジということではじまったビアンカ2023。リベンジというより新しくひとつの作品をつくるつもりでつくったと、何ステ目かの後説で主宰のかなこさんが言っていた。創るということに対して真摯でアツい人なので、必然的にそういう取り組み方になるのだと思う。大好き。そんな主宰に引っ張られたのか、元よりそういう集団なのか、みんながそれぞれ新しいビアンカを作ろうとしていた。私が演じた黒猫は、ありがたいことに去年から継続で当てていただいた。去年と変わらない役。書き換えられた脚本。私がこの作品のために新しくできることはなんだろう。

まず、去年からの解釈を一旦捨ててみた。でも稽古していくうちに黒猫は変えちゃダメだなと思って却下。いろいろ考えたんだけどね。やっぱり、去年から積み上げたものだから、大切にしないとね。テノヒラクルクル
次に、ネコとしての解像度を上げることを考えた。去年からネコ的動きを褒めていただくことが多かったので、再び黒猫を当てられたならばこの“動き”の部分を期待されているのは間違いないはずだ。去年からネコの動画をみたり、道行くネコを観察したりはしていたが、今回はそれに加えて漫画やアニメのネコを参考にしてみた。これがたぶん当たった。結果、去年よりあざとい黒猫になったと思う。あとこれは練習したわけじゃないんだけど小屋入りしてから四足で走れるようになった。謎。
それから、回想シーンの素ネコと、普段の化けネコの演じ分けを意識的にやってみた。マーガレット死んだ時とか普通に撫でてもらおうとしている。ネコなので。最終シーンで、ただのネコに戻り、人形の膝の上で永遠の眠りにつくという演出がついたので、ただのネコに戻るということをお客様に伝えるためには、あらかじめ回想シーンで素ネコの演技は!これ!というのをしとく必要があるかなーと思ったのでやってみた。伝わったかな~。

さっきから動きの話ばっかりじゃないか!芝居ってのはそうじゃないだろ!と思ってらっしゃるみなさん。そりゃそう。でもね、黒猫はネコだから、そこまで複雑な思考をしていないんだ。だからそういう意味での役作りは非常にやりやすかったと思う。それでもやっぱり苦労したのは、オバケが世界を食いはじめてからラストにかけて。モームに「僕知ってるよぉ!」と意地悪く真実を告げる。なんでこんなに意地悪なの~!?全然わからなかった。去年演出に聞いたところ、「黒猫は女主人のために行動するので、わざと悪い役になってモームに無理やり気づかせようとしている」と回答を得た。今年もその流れで…と思ったが、はて、黒猫はなぜ、ねえさんのために?こんなことを考えると黒猫に「当たり前じゃんよぉ」とポカーンとされそうである。でも考えてみた。

ネコという生物は、飼い主が落ち込んだり泣いているときに、慰めるように側にくることがある。それはどのような習性に基づくものかというと、諸説ありまくるのだが、私が一番腑に落ちた説明は、「ネコは周囲の変化に敏感で、いつもと様子が違う飼い主をただ観察している(慰めているわけではない)」というもの。確かに黒猫は女主人がモームにフラれたからかわいそうとか、慰めようとかそんな気持ちはない。ただ側にいる。また、「飼い主の様子がいつもと異なる場合、元に戻そうとする」という記述もあって、コレダー!(ココダー!)と。だから黒猫は、モームは150年の孤独な旅を終わらせるべきだと思っているし、ねえさんはそこから解放されるべきだと思っている。それがいつしかねえさんのために!という気持ちになっていったんだと思う。ただね、そういう習性に基づく理解の仕方をしたけどね、黒猫は女主人のことが大好きなのよ。この長ったらしい説明も、「大好きだから」という一言に勝てないくらい大好きが強い。ここでその大好きがLoveかLikeかなんてクソ下らないことは聞いてくれるなよ。私は好きという言葉を使うとき、これをわざわざ区別しない曖昧さが美しいと思っているし、好きのスと発音したときに漏れでた空気がすぼめた唇を撫でることに意味があると思っている「好き過激派」なので。とはいえ黒猫が女主人に向ける大好きはLoveとLikeのグラデーションの間にはないまた別次元の好きであり、正直人間なんかにわかられてたまるかと思っているのであんまり詳しく書かない!

そんなこんなで、黒猫は去年とこんな感じの差分がありますよ~のまとめおわり。この公演を通じて、めちゃくちゃネコという生き物について詳しくなった気がする。ネコ好きでよかった!他にも、演出からのダメにより脱・やたら声張り役者を試みたりいろんなチャレンジをした。役者力、少しでもアップしてたらいいな~!

あとね、ここらへんからただの公演の思い出話なんだけどね、実はね、僕知ってるよぉ!とモームに怒鳴りこんだ後、黒猫と女主人は最後のお別れをしている。僕知ってるよぉ!のあとはどこそこに移動しなさいという指示がなかったので、女主人のところに行きたくて行ってたんだけど、そのあと雨に溶けて、モームが振り返ったらただのネコになっちゃうので、あれ!?最後のお別れ、ここじゃね!?!!?と。黒猫としては、僕がモームに気づかせてやったぞ!いえーい!という気分なのだが、正直最後のお別れと自覚したら、黒猫はどんな顔でねえさんに会いに行けばいいのかわからなくなっちゃった。ここはちゃんと立夏さんと相談して、黒猫は笑顔で行きましょう、となった。でもねー!やっぱり寂しい。終わらせるぞという覚悟でモームを殴りにはいっている。正直なんでこんな寂しくなっちゃうのかわからなくて、中の人の吉川種乃が勝手に寂しがってそれが演技の邪魔をしている可能性を考えた。ここは吉川種乃と黒猫で相談するしかなかった。これが初日の前日である(ギリギリすぎだろ!!)。相談した結果、ネコは悩まない!考えない!目の前の現象に対して素直!ということで、とりあえず吉川さんには前日夜のうちにオイオイ泣いてもらった。嘘つきました。初日朝も泣いてました。それでも、黒猫として寂しさを感じたなら、寂しがってヨシ!だってネコだもん!ということで劇場に向かい、その日は、寂しさとはまた違う何らかのブワァを感じた。わけわかんなくてごめん。ブワァで検索しても何も出ないよ。ブワァはブワァ。ねえさんが苦笑い(カッコいい)しつつ出迎えてくれて、モームの絶望が今にも喰われそうになっていて、キラキラと館が壊れていって、みんな正気じゃなくて、その一つ一つにドキドキしながらもう終わりなんだなぁと実感して、こっそりねえさんにすり寄ってみたりした。黒猫はたぶん、この150年間かなり楽しくやってきたと思う。だからそれが終わるのはきっと黒猫にとっても寂しいことに変わりはないと思うんだけど、全くマイナスな気持ちはない。何ステ目からか、ねえさんが黒猫の背中を叩いてくれたり、肩に手を置いてくれたりするようになった。うれち~!!!好き~!!!これは配信にうつっているハズよ~!!!!たぶん正解なんてないけど、このシーンは女主人と黒猫として大正解なお別れができたんじゃないかなと思っている。

そうして、モームが振り返り、風の歌の中で黒猫はただのネコになる。お別れはしたけど、ネコとしてここでもう一度女主人と目を合わせる(これがガチの最後)。ネコはネコなので、あんまり複雑な思考はしないかなと思って、稽古のときはキョトーンって顔をしていたけど、こちらに目を向けてくれるねえさんがあんまりにもキレイでそんな顔してられなくなっちゃった。いやまじで私の眉間のあたりに配信用カメラを仕込むべきだった。それくらいキレイだった。本当にキレイだった。

モームがさよならを言って、人間が屋敷から出ていくのを見送ったらすごく眠くなってしまって、人形の膝の上で丸まって眠る。演出的にはこれがネコの永遠の死。他のお化け達が壁に向かっていて、人形と黒猫だけが娼館の中で動かなくなっているの、こういう安直な日本語は使わないように努力してきたけど、あれっすね、エモって……やつですね……そして静まり返った娼館で、女主人がもういいかい?とモームに。もういーー………よ。ゆっくり暗転。私、暗転の多い芝居は苦手なのだが、この作品のこのシーンの最後は暗転以外ありえんのだ。私、意味ありまくりの暗転、大好き。(作品中の暗転はここ含めて二回しかない。最高)

え、まってめちゃくちゃ良い作品だな。
もっかいやらん?

ここまで、作品を観ていることを前提に書き進めてしまったので、説明が雑だったり省いていたりするところがたくさんある。わけわからーん!となった人は今すぐ配信をみよう。2000円だぞ。破格だ。繰り返しみる毎に味わい深くなるタイプの作品なので、一度の購入で繰り返し観られる配信は最高の選択肢だと思う。

そろそろまとめるぞ~!
アンケートやTwitterなどでCAFE BIANCAの感想めちゃくちゃ読んでます。本当にありがとうございます。はじめましてのお客様から黒猫のことを褒めていただけることが多くて、ぶっちゃけ有頂天な日々。私はけして上手い役者ではない。たまたま素晴らしい戯曲があって、黒猫という役を当ててもらって、最高の演出家がいて、私に無いものをたくさん持っている役者陣が側にいたお陰でうまいこと引っ張りあげてもらっただけだ。特に立夏さんの演技を間近で感じられたのはラッキーだったと思う。それを前提にしても、多くの評価をいただけたのはひとつの道筋をもらえたような気持ちになった。芝居を続けてよかった。全ての事象に感謝。
CAFE BIANCA は私にとって宝物のような作品。これからもずっと大切だよ~泣。もっかいやらん?ほんとに文章まとめるのが下手。繰り返しになりますが、ご来場&ご視聴、誠にありがとうございました!!!

みんなかわいいね















めちゃ、読みづらくてごめん。ネコとか黒猫とか女主人とかねえさんとか表記がぶれているのは拘りをもってぶれているので許せ。である調と話し言葉が混ざっているのはなんかもうあれ、許せ。リズムで書いてるんだ。リズムで読んでくれ。最後まで読んでくれたお前を愛している。これからも愛を交換しようね。おわり!


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