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黄昏の光を終えて
わりとネガティブな内容が多くなりそうなので嫌な人は回れ右してね。
わたしが演じた清掃員の塵紙多恵さんは、全四幕あるうちの三幕で初めて登場するキャラクターです。大切な人を失い、生きる気力を失った保を励ます役割を担っています。
出番が多くあるわけではないのに、多恵さんには死ぬほど苦労しました。本当に頭おかしいと思われると思うのですが、毎日多恵さんと喧嘩していました。比喩ではなく、独り言ぶつぶつ言ってる内容が全部多恵さんとの喧嘩でした。役を理解できないとかそういう範疇を超えて、人間として理解しあえないところにいました。夜は耐えられなくていつも泣きながら寝ていました。恋人に理不尽に当たり散らしたりもしました。本当に申し訳なかったと今も思っています。
今までこんなに「芝居」ができないと思ったことがなく、数少ない出番さえうまくできないなんて、役者向いてないな、やめた方がいいんだろうなと考えていました。でもやめたいとは思いませんでした。
多恵さんの代役を用意するのは主要キャストと比べて大きな痛手にはならないだろうと、むしろ代役の方がうまくやるんじゃないかとも思っていたのですが、それでも私は多恵さんを諦めたくなかった。ここで諦めて役を降りたら、もう役者をやる意味も生きている意味もない、役を降りるならそれは自殺するときだけだと、稽古終わりのホームで電車を待ちながら自分に言い聞かせていました。
なので、最後まで板に立たせていただいて本当にありがたかったです。
稽古中の私をみかねて声をかけてくださった永瀬がーなさん、私の何もまとまっていない相談に付き合ってくださった演出の森さん、他にも多くの方の助けを借りました。感謝の気持ちでいっぱいです。最後の二週間くらいは、多恵さんと喧嘩をすることもなくなりました。
いい芝居ができていたかどうか、最後まで私にはわかりません。でも、お客様に多恵さんの明るさが少しでも伝わっていたらいいなと思います。
暗い内容にはなりましたが、とても良い課題を与えてくださったという意味でも多恵さんをやれてよかったと思うし、この作品に関われてよかったと感じています。
まだまだ未熟者ですが、これからも精進していきますので、どうぞよろしくお願い致します。ご来場誠にありがとうございました。
塵紙多恵役/吉川種乃
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