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「全国通訳案内士」試験 合格への道のり~(10)問題が難化した 1次「通訳案内の実務」はどう対策するか

2021年度の「全国通訳案内士」試験の1次試験(筆記試験)「通訳案内の実務」は衝撃でした。前年度までの同じ科目の試験に比べ文章量も多く、難易度も上がっているように感じました。結果、50点中38点で合格しましたが、受験前はほぼ満点で合格するイメージを持っていただけに、試験中はかなり苦戦しました。

準備段階では「実務は楽勝」というイメージが、自分にはありました。なぜならば、出題範囲を見てみると

試験は、通訳案内の現場において求められる基礎的な知識(例えば、旅行業法や通訳案内士法等の業務と密接に関係する法令に関する基本的な内容や実際に通訳案内業務に就くにあたっての訪日外国人旅行者の旅程の管理に関する基礎的な内容等)を問うものとする。
本科目については、原則として、観光庁研修のテキストを試験範囲とする。

「全国通訳案内士試験ガイドライン」(令和3年6月改正)より

とあるように試験範囲が(原則として)「観光庁研修のテキスト」と定められているからです。

また過去問を解いてみても、それほどの手ごたえはなく、「テキスト」を2~3度通読してのぞめば、少なくとも合格基準の6割を下回ることはない、と考えていました。

それでも、他科目と同様に独学ではなく、専門スクールの教材も活用しました。

★観光庁研修テキスト

★ESDIC英語能力開発アカデミー:「通訳案内の実務」メール講座

★True Japan School:公開模試

★ハロー通訳アカデミー:「通訳案内の実務」の傾向と対策(YouTube動画とPDF資料)

この他には2018年度からの過去問は全問正答できるまで繰り返しました。

終わってから冷静に考えてみると、この科目はいわゆる「法律系資格」の試験です。弁護士や司法書士といった難関の国家試験と同じで、問題をつくる方から見ると「いくらでも試験問題を難しくすることができる」性質のものです。今後も難易度は上がることはあっても下がることはないのではないでしょうか。そこを踏まえて、今後の実務対策として考えられるポイントを3つあげます。


1.「通訳案内士法」と「旅行業法」は法令の原文にあたる


「観光庁研修テキスト」では上記2つの法律の条文が抜粋されて、簡単な解説が添えられています。「研修テキスト」としては「わかりやすく読みやすい」のですが、実際の試験対策としては、なんとなく読んでなんとなくわかったような気になってしまい、問題文が研修テキストの文章から少し離れた内容だと回答に迷いが出てしまったり、混乱したりしてしまいます。似たような四択の回答肢から、試験で与えられた「20分で20問」というかなりの高速で回答を導き出すためには、法令は原文で読んでもしっかり理解できるようになっておく方がいいでしょう。法令原文は「e-Gov法令検索」で検索できます。

「通訳案内士法」については、それほど条文の量も多くなく、何度か読めば頭に入ってくると思いますが、「旅行業法」はそれなりに条文量も多く、内容も多岐にわたります。

そこでオススメなのは、1次の「地理」の科目免除の対象ともなっている「国内旅行業務取扱管理者」試験を受験することです。同試験には「旅行業法」が単独で科目として存在するため、しっかりと学ぶことができます。また同試験は他にも「JR運賃計算」等、通訳案内士の「実務」の出題範囲を含むので、「地理」免除だけでなく、「実務」対策にもかなりプラスになると思うのでおすすめです。


2.定量データや用語はしっかり暗記する


前項の法令問題については、どの回答肢もそれらしいことが書いてあるために、試験時間20分内に確実に正答するのは難しい問題もあり、最悪の場合、試験中にパニックにもなりかねません。それを避けるためにも観光庁テキストにある例えば2021年度出題の「カーラーの救命曲線」の分数や「JRの団体割引率」等の「覚えていれば即回答できる」ような定量データはしっかり暗記しておく必要があります。

同じく2021年度出題の「訪日客が次回訪日したときに2番目に実施したいこと」については、観光庁テキストの「訪日客調査」にある各ランキング上位3項目を暗記していたので回答できました。

また観光庁テキストの後半の「資料編」にある「覚えておきたい専門用語」も、テキストの説明だけでは理解が難しいものはネット等で深堀しておくなど、確実に理解し暗記しておきます。


3.演習問題を解く


観光庁テキストには、演習問題はついていないので、内容が実際の試験でどのように出題されるのかを把握する機会を別途持っておきます。

過去問の研究と同時に、有料とはなりますが、通訳案内士試験対策専門スクールの講義や模擬試験を受けることで、問題形式に慣れることができます。このときに重要なのは「20分で20問」という本番の時間制限を意識して、短時間で回答を出せるようにすることです。


今回まで、1次試験(筆記)対策について書いてきました。

次回からは2次対策(口述)対策にすすみます。

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