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055.自己紹介➁|1997年頃|初めてバリアフリー旅行商品を作った時のことと,その後チャレンジしてきたこと

 <1>いよいよ,新しいチャレンジがスタート!


1997年に二つ目の旅行会社(近畿日本ツーリスト・クラブツーリズム営業本部)に入社した当時は、高齢者福祉施設や身障者組織団体へのセールスが中心でしたが、そういう取り組みって、他の旅行会社でもすでに行っているので、バリアフリー旅行専門の部署を立ち上げてまで実施することではないと考えていました。
 
この頃の障がいがある方の旅行は、施設や学校単位の旅行が多く、どちらかというと「連れて行ってもらう旅(受動的)」が多く、新設したバリアフリー旅行専門部署では、自分の意志で、“いつでも、自由に出掛けられる募集型企画旅行商品”に特化する必要性を感じていました。
 
そして、1997年の秋~冬にかけて「まいぺーす海外旅行」「まいぺーす国内旅行」というブランドで、募集型企画旅行商品を企画販売することになりました。

<2>旅行商品を,広く告知していくために,「バリアフリー旅行」というカテゴリーを作った。


1997年に、「まいぺーす海外・国内旅行」を販売開始したものの、募集方法は、クラブツーリズムの会員(700万人)しかなく、インターネットを活用する販売は行なっていませんでした。
 
今後、インターネットを活用した販売を積極的に推進していくにあたって、障がいがある方を対象にした募集型企画旅行を、お客様側から検索をするときの、商品カテゴリ項目を新設して、広く知らしめる必要がありました。
 
当時は、この手の旅行は、我々の「まいぺーす旅行」以外に、ハートTOハートや、あおぞらツアー、ハートフルツアー、車いすの旅等のブランドがありました。
 
私たちは、バリアフリー旅行、ユニバーサル旅行(ユニバーサルデザイン+旅行)の2候補まで絞りましたが、「ユニバーサル」は、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が、検索では上位になるのと、旅行環境にはまだまだバリアが多く存在していて、それらを乗り越える旅行でしたので「バリアフリー旅行」に決め、1998年に部署名も「福祉課」から、「バリアフリー旅行センター」に名称変更をしました。
 
我々の活動が主流になれば、「バリアフリー旅行」という言葉も、一般化すると信じていました。

<3>トラベルサポーターの企画・提案


1997年からスタートした「バリアフリー旅行」は、順調にスタートしましたが、特に海外旅行では、同行する家族の負担が大きいことに気付きました。
 
2000年から介護保険制度がスタートするにあたり、家族が介護するケースが減ることで、家族による介護スキルが低下して、旅行中の介護スタッフ(専門の旅行介助スタッフ)のニーズが高まると考えました。
 
クラブツーリズムの旅行会員700万人の中で、介護・医療従事者も相当数いらっしゃると考えて、会員内で旅行介助ボランティアを募集したところ、約400名の方にご登録いただけることになりました。(介護福祉士やホームヘルパー2級の資格がある方)
 
ポイントは、旅好きな方たちが、介助をしながら、旅仲間として一緒に旅を楽しむという形態にして、介助者の旅行代金の一部を、依頼する側が、2~3割負担していただき、旅行介助ボランティアは、4~6割の旅行代金で、ご参加いただけるというものでした。(介助していただく方も旅行代金をお支払いいただきます)
依頼する側の負担は、通常だと旅行代金全額+日当ですが、それだと、旅行そのものに行かれなくなってしますため、介助する側にも一定のご負担をお願いしています。
 ※このシステムはクラブツーリズムでしかできません。

<4>新たなチャレンジ(その1/計画から実施まで2年間を要した,「バリアフリー・ペルーマチュピチュ8日間」[2000年頃])

チチカカ湖(葦でできた船に車いすごと乗り込みます)
マチュピチュ(中央の赤い上着に紺の帽子が、私)


2000年に、チームの業績が黒字化を達成したタイミングで、更なるチャレンジをすることになり、企画が困難と思っていた「ペルー・マチュピチュ」のツアーを計画することにしました。
 
最初の1ヶ月程度は、社内でペルーに行ったことのあるスタッフに話を聞くため、添乗員の打合せルームに何度も通い、ペルーマチュピチュツアーの様子や、車いすでのご案内が可能かどうか等をヒアリングしましたが、全員、「無理だな…」との回答だけでした。
 
それでもめげずに、それらのヒアリングした情報をもとに、ペルーを手配する海外ランドオペレーターに行程と、各観光地・ホテルのバリアフリー調査を依頼し、3か月後に、なんとか物理的には実現可能だということを確認することができました。
 
ただし、ネックだったのは、マチュピチュ観光で、遺跡まで(往路)は、ひと山越えなければならないのと、遺跡の中は車いすでの移動は困難なため、観光中はお客様を背負い続けなければならないことでした。
 
また、高度が3000mを超えるため、循環器系に疾病があるお客様の受付をどうするかという課題がありました。
 
それから、6ヶ月先の雨の少ない時期にツアー計画を行ない、実施に向けて上司にGOサインの確認をしたが、①バリアフリーに関するさらに詳しい情報が必要、②循環器・呼吸器疾患患者への対応確認(緊急対応時を含むより詳細な情報)等のため、OKが出ず。
 
さらに、それから6か月後(企画開始から1年後)にあらためて企画書を提出し、①呼吸器・循環器に疾患がある方は不可、②海外旅行保険には必ず加入していただく、③宿泊はクスコ(高度3000m)とチチカカ湖(高度3800m)、リマ(高度0m)の3地点だが、チチカカ湖周辺の滞在は24時間以内、➃私自身が添乗業務を行なう、⑤お客様1人につきた2人の山岳スタッフをつけておんぶをする(車いすも持っていく)等の条件付きの実施の許可がおりました。
 
9か月先のツアー日を設定し、企画開始から2年の月日を要し、漸く募集を開始することができました。
 
(ツアーもその後、数回実施しました)
 
 

<5>新たなチャレンジ(その2/国内で初めて,「車いすで四国八十八カ所霊場巡拝(お遍路)商品(募集型企画旅行)」を企画した時のこと[2007年頃])

第1回 バリアフリー四国お遍路(2008年)


2007年にクラブツーリズムを退職した際に、有給休暇を長期間取得して、四国88カ所霊場巡拝を行ないました。キッカケは祖母が亡くなった時の遺品に四国お遍路の納経帳があり、それが44ヵ所で終わっていたために、そこからでも代わりに結願させたかったからでしたが、あわせて、バリアフリーチェックをして、次の勤め先で、バリアフリー四国お遍路ツアー(募集型企画旅行)を計画したいと思っていました。
 
1番から88番まで一気に巡拝して、バリアフリー状況の把握をすることができました。
 
2008年~2009年に初めてのバリアフリー四国お遍路(1国参り×4回、高野山お礼参り)を実施し、それから2018年までに、4巡、車いすユーザーのお客様をご案内しました。
 
個人的にも、公認先達(四国八十八か所霊場会)の資格を取得し、より質の高いお遍路を楽しんでいただけるように、企画内容のブラッシュアップを行ないました!
 

<6>新たなチャレンジ(その3/ホノルルマラソン(42.195km)の感動を,要介護高齢者及び車いすユーザーの皆さんにも味わっていただきたいと思い,チャレンジしたこと[2010年頃])

2010年から2年間、ホノルル・レースディ10kmウォーク参加&ホノルルマラソン応援ツアーを実施しました。

特にマラソンのゴール地点での応援はとても感動的で、参加されたお客様から、「来年はマラソンに参加したい」という提案をいただきました。
 
その翌年に、車いすユーザー参加に向けて、事務局に申請をしましたが、残念ながら、「実績がないからダメ」の一点張り…。その理由だと、いつ迄たっても、実施が出来ないと思い、エントリーはあきらめて、マラソンランナーと一緒に42.195kmを、勝手に歩くことにしました。(11時間程)
 
緊急時の救急箱や、水分、食料などの専用車いすに乗せて、参加者みんなで一緒に進み、何とかマラソン参加は無事に成功することができました。
 
翌年のエントリー時にも、同様の回答(前例がない…)でしたが、前年の実績をレポートにして提出をすると前向きに検討してくださり、自走することができない方でも条件付きの参加が認められました。

これらのツアーの様子は、あらためてご紹介したいと思います。

次回は、以下のタイトルで記事掲載します!
■自己紹介③チャレンジングなバリアフリー旅行
■自己紹介④東京オリンピックパラリンピックを契機に変わる新たなバリアフリー旅行を提案
■自己紹介⑤心のバリアフリー推進活動で、違う側面からユニバーサルツーリズムを促進
■自己紹介⑥これからのユニバーサルツーリズム推進活動(個人編)


全国バリアフリー旅行情報センター/note
要介護のご高齢の方たちが、旅を通して、いつまでも自分らしく、より豊かな人生を過ごすために、noteを活用して全国のバリアフリー旅行情報を発信して、ユニバーサルツーリズムの推進活動に取り組んでいます。

■伴流高志|banryu takashi (プロフィール
1997年より、要介護高齢者及び障がいがある方と、そのご家族の旅行企画・販売(バリアフリー旅行)に携ってきました。介護福祉士の資格を取得し、世界72か国・国内47都道府県すべての地域のバリアフリー旅行(添乗員同行の募集型企画旅行商品)の旅行計画・手配・添乗業務を行ないました。今後は、個人向けのバリアフリー旅行の普及にも貢献したいと考え、本サイト(Note)を運営しています。

■全国バリアフリー旅行情報センター
2020年より、要介護高齢者や車いすユーザーが旅行に出掛ける際の「宿探しの手間」を少しでも省くことを目的に、バリアフリールーム・ユニバーサルルームの設備があるホテルを紹介するサイトを運営しています。(個人)

近畿日本ツーリスト株式会社/ユニバーサルツーリズム推進活動
2018年より、長年取り組んできた(物理的な課題を解決する)バリアフリー旅行*募集型企画旅行から、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、超高齢社会や共生社会をキーワードにした様々な社会課題を、異業種や地方自治体と連携しながら解決していく社会課題を解決を目的としたバリアフリー旅行の企画提案を行なっています。また、2019年より、全国の中学・高校・専門学校・大学へ、生徒向けの「心のバリアフリープログラム」企画提案を行なっています。

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