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【女子プロゴルフ】トーナメント放映権帰属問題について考えてみた【未来志向で】

こんにちは。

ブログに挙げようと思ってこの記事を書き始めたのですが、どうやら長くなりそうですし、オピニオン的なニュアンスの記事はnote の方が相応しいかとも思えたのでこちらでアップします。

今日のテーマは昨年の秋以降、さまざまなメディアで情報が伝えられているJLPGAのトーナメント放映権帰属問題についてのお話です。

ここでは事実関係についての是非をどうのこうのというつもりはありません。よろしければいくつかの情報をリンクしておきますので参考にご覧ください。

https://www.lpga.or.jp/news/info/51355

https://egolf.jp/tournews/38597/

https://news.yahoo.co.jp/articles/5cf8415e82752b766e64dd05b781fb0927ddc315

https://www.nikkansports.com/m/sports/golf/news/amp/202110270000865.html

https://www.alba.co.jp/tour/news/article/no=176507/

現代はスポーツもビジネス抜きに発展することはないと言えるので、立場の違う当事者同士の議論がまた様々な話題を呼ぶのは当然です。

私は一人のゴルフファンとして、より前向きに物事が進んでいくことを祈る気持ちでここでは「こうであってほしい」という思いを書いてみたいと思います。

誰のためのトーナメントか

様々な報道を見る中で、私なりに問題点として感じた部分と、こうあって欲しいという部分とをこのnote での論点として2つ挙げておきたいと思います。

  1. 一人の生活者でもある選手の生活を安定させ、女子プロゴルファーという職業を選ぶことの価値を高めてほしい

  2. 女子ゴルフトーナメントを、ファンがもっと楽しめる興行として成功させてほしい

この2点です。まずは問題の全体を理解するために私なりに比喩的な物語を当てはめてみました。

今回の議論を見る中で、当事者と言えるのは5者あると思います。

  • 選手

  • JLPGA

  • 主催者

  • テレビ局(ネットを含む放送メディア)

  • ファン

です。それぞれを

選手(女子ツアー) =畑の作物

JLPGA =作物の種の持ち主

主催者 =畑の地主

テレビ局 =農家さん

ファン =畑の土壌

と考えます。以下は私の創作です。


ある地方で60年ほど前からある作物を作り続ける農家の物語です。

この農家(テレビ局)はある作物(女子ツアー・選手)を作り続けてきました。かつては長い間売上が少ないことに悩まされてきました。それでも地道な努力が実を結び、ここ数年ようやく人気が高まり、十分な利益が得られるまでになりました。

農家さん(テレビ局)はこれまでの苦労がようやく報われる日が来たと思う一方、このところ新しいスタイルの農業に取り組むライバル農家(ネット配信)の台頭に気が気ではありません。

一方畑を貸してきた地主さん(主催者)は農家(テレビ局)と力を合わせて作物を育ててきた自負があります。そしてお互いの発展があってこそ自らも伸びることを理解しつつ今後の成り行きを見守っています。

そこへ、その作物の種の持ち主(JLPGA)が一つの意見を持ち出しました。「これまで毎年種を買ってもらってきた(主催者からトーナメント公認料を受け取ってきた)が、今度からは売上から歩合で払ってくれ」と。種の持ち主(JLPGA)もまた長い間良い種の生産に努力を重ねてきた当事者です。その作物の価値がようやく認められるようになったいま、果実を是が非でも高く売っていきたいところです。

何も言わない畑の土壌(ファン)ではありますが、そこがしっかり育たなければ未来が拓けないことは誰の目にも明らかなはず…。

こんなイメージを抱きつつ、このnote では個人として女子ゴルフツアーに関わることになる選手、そしてファン一人一人のメリットを最大化する未来であってほしいという立場です。

プロゴルファーという職業は、青年期のほとんどすべての生活と時間をつぎ込んだとしても自分の生活を支え、人生をより前向きなステージに運ぶレベルまで届く確率はとても低いものです。今のJLPGAのプロテストはとても厳しいものですが、だからといってその後の生活のリスクを担保するものではありません。どんなスポーツでもプロとはそういうものと言えばそれも確かにそうですが、個人競技のゴルフの性質のせいか、プロゴルファーは賞金やスポンサー契約が得られなくなった時の支えの欠如は特に著しいように思えます。人生の選択としてプロゴルファーという職業が個人にとって大きすぎるリスクのないものであるという担保がなければ選手層の広がりも心もとないことになります。

そしてもう一つ、今回の放映権を中心とした女子プロゴルフツアーの運営のシステムを更新したあと、新しいツアーはファンにとってもより楽しめるツアーであるべきです。それはもちろんファン = ゴルフ業界の中心マーケットという構図があるからです。ファンがツアーから得られる満足度の高さがめぐりめぐってゴルフ業界、そしてツアーの隆盛に繋がることは自明であって、新しいシステムを取り入れるJLPGA は当然そこを目指すロードマップを示せなければ当事者同士の調和が成り立たず、成功はあり得ないはずです。

価値を与え合う環境であるべき

先に挙げた5人の当事者を一つの社会と考えたとして、そこにある価値は「奪えば足りない、与えれば余る」となるのはどんな時代も世の中も同じはずです。

  • 女子ツアーのスポーツとしての価値。

  • テレビ局・ネットメディアが持つマーケットへリーチする力。

  • 企業の経済力。

  • JLPGA のスポーツイベント運営などのノウハウを持った組織力。

  • ファン=マーケットとしてゴルフ業界全体への影響力。

これらの価値を上手く組み合わせ、足りないところは補い合うことで、ここで挙げた2つの課題の解決を目指すことは可能だと思います。

プロゴルファーは割に合わない(お金の話)

プロゴルファーという職業は、活動できる期間もプロスポーツの中では長い部類だとは思いますが、試合出場と技術的なトレーニングに全力で取り組めるだけの収入をトーナメントの賞金で賄えている選手はわずかです。

少しの体調の変化が成績に影響を与えてしまうリスクの大きさに対して、多少調子の波が生じても十分戦えるだけの技術を身に付けるコストもまた限りなく大きいスポーツだと言えます。それは単純な運動能力や恵まれた体格といった定量的な資質が成績に与える影響が小さいというゴルフの性質によるものとも言えるかと思います。

他のスポーツを見ると、プロ野球では1軍選手の最低年俸は1600万円、大相撲の幕内力士は年額1640万円の給与を得ています。

去年の女子ゴルフツアーで獲得賞金1600万円だとしたらランキングはシード圏外の84位に相当します。選手が得られる賞金額は試合によって異なりますが、賞金分配率というものがツアーによって決められているので、賞金総額1億円の試合であれば女子の場合は優勝者は1800万円、予選通過が50名とすると50位は優勝賞金の50分の1で36万円です。

ツアー参加にはエントリーフィー、遠征費、そしてキャディを帯同する場合はそのギャラも選手負担となり、ネットなどで聞かれる情報では1試合参加するのにかかるコストは30〜40万円だそうです。仮に年間40試合出場すればそれだけで1200〜1600万円。そして自らのトレーニングや用具類も自己負担(用具類に関してはメーカー契約などがなければ)です。

プロ野球選手が試合に出場するためにコストを負担しているという話は聞いたことがありません。大相撲の力士は番付が低ければ無給かもしれませんが、最低限の生活は部屋が支えてくれるはずです。

トップレベルで戦い続ける気力と体力が維持できていれば得られるものも大きいとは思いますが、一人の生活者としてそのバランスを取り続けるのは大変なことと思われます。

すべてはファンとゴルフ業界のため

JLPGA の役割は、ゴルフをスポーツとしてルールや全体の価値観に一貫性を持たせること、プロゴルファーの資質を担保すること、そして各当事者同士の意見の窓口として誠実に調整を図ることです。

そこについていこうとするファンが増えることでトーナメントが興行として成功し、ゴルフ場にも用具メーカーにもメリットが生まれるという流れが生まれます。

今回の放映権の取得によって生まれるメリットをどう活かすのか、そこでJLPGAがどんな旗印を掲げるのかによって、この流れが始まるかどうかが決まります。

提案 選手も含めたリーグ組織として考える

やはり最低限、プロゴルファーも1年間プロとしての活動費と言える自分の技術と体力を維持するトレーニングや、試合に出場することのコスト、そして基本的な生活を維持する費用は所属するJLPGAが負担するべきです。

そして、トーナメントをどうやってその楽しさをファンに伝えるかに知恵を絞るのもJLPGAの仕事です。

それを実現する組織の形として、たとえばJLPGA ツアーをリーグとして考えるのはどうでしょう?

所属する選手の試合参加にかかるコストと選手の活動費はリーグで負担する。ランキング上位50名をトップリーグとして、続く50名を2部リーグとする。それぞれに所属する選手には最低年俸を保証し、年間の活動を支えることとする。

もちろん選手側にも果たすべき責任が生まれます。年間の試合数です。トップリーグで30試合、2部で25試合ぐらいが適当かと思います。

海外ツアーに参加する場合は半年とか1年ごととか期間を定めて一旦JLPGAのリーグを離れます。その場合は期間に応じて年俸の増減が生じることになるでしょう。

企業は試合ごとの主催ではなく、年間の協賛者としてリーグと契約する。その対価として試合会場でのマーケティング活動や所属選手とのCM契約に優先権を得るなど有形無形のメリットをリーグが提供していくことでこれまでとは違った形でトーナメントに関わってもらう。2部リーグはジュニア層やファンにとってのゴルフの入口としての役割を持たせ、試合会場では選手にもエンターテインメントの要素を積極的に取り入れたファンサービスにも取り組んでもらい、地域活性化のイベントとしてボランティア参加、自治体や学校との交流を積極的に図っていく。

選手がYouTubeなどでのセルフブランディングにトーナメント会場を活用することを幅広く認め、グッズ販売などもリーグがバックアップする。

トップリーグのテレビ中継は3日目までは地上波での放送を継続し、最終日についてはJLPGA と年間協賛企業契約を結んだネット配信事業者またはテレビ局が放映権を持つ。放映権取得の一つの条件として、最終日の放送は生中継とする。

もちろんこれは私のような一人のファンが外から眺めただけの知識からのアイデアに過ぎません。それでもいろいろなやり方とアイデアは生まれてきそうです。

まとめ

事実関係についてここでは意見するのはなるべく控えますが、将来のトーナメントの形についてJLPGA からの発信が足りないのはどうやら事実のようです。

ファンは期待があればこそ不安も感じ、そこに不満も生じます。議論が熟しきる前に情報を出すことで先行きが混乱することを避けたいという思いもあるのでしょうが、JLPGA には選手の持っている魅力を存分にプレーで表現する環境を作って欲しいことと、例えばそれが大きなビジネスに繋がったとしてもその果実はファン層の拡大やジュニアの育成など未来志向の投資に使って欲しい。ないとは思うけれど決してJLPGAが 独り占めのような振る舞いだけはするべきでないことは忘れないでいただきたいのです。

そんなことで素人目線で好き勝手なことを書きました。最後まで読んでいただいてありがとうございます。よろしければ「いいね」いただければ嬉しいです。

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