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コーヒーチェーンの店舗数ランキングから、今後起こりうるM&Aを考察してみた

全日本コーヒー協会の統計資料によると、日本のコーヒーチェーンは1981年をピークに店舗数が減少していますが、大手スターバックスやコメダ珈琲といったコーヒーチェーンの店舗数は増加傾向にあります。


コーヒーチェーンの店舗数ランキング

2024年1月時点のコーヒーチェーンの店舗数ランキングは以下の通りになります。


出所:各社HPよりBankers Idea作成

1位は、スターバックスコーヒーです。スタバブランドで席巻し、全国各地に2023年9月時点で1885店舗を展開しています。2022年には世界で約36,000店あるので、世界の約5%のスターバックスが日本にある計算になります。

2022年のGDPの比率を見ても、日本は世界の約4~5%程度の規模なので、スターバックスの日本の店舗割合は概ねGDP比率に沿ったものといえます。


出所:IMFよりBankers Idea作成

2位は、ドトール日レスホールディングスとなっています。元々はドトールコーヒーがコーヒーチェーンの店舗数としては、日本1位でしたが、スターバックスは日本上陸後に急速に店舗を伸ばし、一方のドトールは店舗を漸減させていったため、2016~2017年頃に、店舗数でスターバックスが日本1位になった経緯があります。
ドトールと経営統合した日レスは、星乃珈琲を運営しており、併せると約1550店舗を展開しています。

3位は、名古屋発祥のコメダ珈琲店です。有名なシロノワールや小倉トースト、くつろげる空間といったコンセプトを武器に、全国で店舗を増加させています。

4位は、伊藤園傘下のタリーズコーヒーです。松田公太さんが創業したタリーズですが、本国のタリーズは2013年に連邦倒産法11章を申請し倒産しています。日本のタリーズは、伊藤園傘下で成長を遂げています。
5位は、投資ファンドのロングリーチ傘下のC-Unitedです。2018年に、ロングリーチがUCCから珈琲館を買収し、その後同じく買収したシャノアールと経営統合をして誕生しました。さらに、サッポロHD傘下でカフェ・ド・クリエを展開するポッカクリエイトを2022年に買収して、店舗数で5位のコーヒーチェーングループになりました。
6位以下は、サンマルクカフェ、サントリーHDが運営するPRONTO、マクドナルド店舗に併設されているマックカフェバイバリスタ、UCC系の上島珈琲店、銀座ルノアールが運営する喫茶室ルノアール、関西に強いホリーズカフェ、JR九州が運営するシアトルズベストコーヒー、すかいらーくホールディングスが運営するむさしの森珈琲となります。

C-Unitedをそこが買収するかで、業界ランキングも変動

ここで業界の注目を集めるのはやはりC-Unitedでしょう。投資ファンドの傘下ということで、一定のタイミングでエグジットが図れらていくと推察されます。
エグジットの手法としては、M&AだけでなくIPOも考えられますが、仮にM&Aの場合には、同業のコーヒーチェーンが買収を検討する可能性も十分にありそうです。また、外食チェーンという括りでは、ロッテリアを買収したゼンショー、M&Aで拡大をしているコロワイド、クリエイトレストランなどが名乗りを挙げる可能性もありそうです。

一方で、コーヒーチェーンでは、大手のコメダ珈琲やタリーズコーヒーは単一ブランドであるために、多ブランドコーヒーチェーンを買収することはあまり現実的でないかと思われます(タリーズコーヒーは、ライセンスの問題からか、海外への展開ができていないので、C-Unitedを買収して、傘下のブランドで海外展開するというオプションはありそうですが。)
珈琲館を売却したUCC(上島珈琲店)が、買い戻すことを検討することも、現実的ではないでしょう。またマクドナルドも単一ブランド、サントリーHDは、買手というよりは、もしかしたら売手という側面が強いかもしれません。

そこで考えられるのは、業界2位のドトール・日レスHDでしょう。仮に買収すると、店舗数は約2,100店舗となり、業界1位の座を奪還できます。


出所:Bankers Idea

M&Aを通じて、成長戦略を再定義することができ、1倍を割れているPBRにも効果的があると思われます。

ドトール・日レスのPBRの推移(2019年1月~)

出所:マネックス証券

まとめ

  • 今後、珈琲館やカフェ・ド・クリエブランドを展開する業界大手(店舗数ランキングではコーヒーチェーン業界5位)のC-Unitedを、現在保有している投資ファンドがエグジットする可能性があります。

  • 仮にM&Aでのエグジットとなった場合には、コーヒーチェーン業界のランキングが大きく入れ替わる可能性があります。

  • コーヒーチェーン業界以外からの買収の可能性(ゼンショー、クリエイトレストラン、コロワイドなど)も大いにありますが、仮に同業であると、ドトール・日レスによる買収は、店舗数で業界首位に躍り出ることになります。


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