スタートアップ企業は、上場企業に比べると事業計画の実現性が低く、上場企業と同様の割引率を用いてバリュエーションを行うと過大評価となってしまいます。
また、多くのスタートアップ企業には、ピタっと当てはまる同業他社や類似会社がなく、割引率を算定することすらできないというケースも多くなっています。
スタートアップのバリュエーションを行う際の割引率をどのように算定しているのか、実務書を調べてみました。
実務書が推奨するスタートアップに適用すべき割引率
「新株予約権等・種類株式の発行戦略と評価 資金調達、インセンティブ、M&A、事業承継での活用」によれば、
となっています。
一方で、「税経通信 2023年10月号」によると、
となり、検証される時代によっても割引率が異なっております。スタートアップの分析や投資管理の高度化、資金調達市場でのスタートアップとベンチャーキャピタルの力関係などが影響している可能性があります。
また、「プライベート・エクイティ投資の実践」によると、
とのことです。
まとめ
割引率はスタータップのステージに応じて、概ね次のようになると言えるのではないでしょうか。
シードステージ:50%~100%
アーリーステージ:40%~60%
エクスパンションステージ:30%~50%
レイターステージ:20%~35%
上記の数値に関しては、あくまで米国の市場を中心とした分析です。割引率の前提となるCAPMには、リスクフリーレートや市場プレミアムが含まれており、日米でこれらの前提が異なっていることを勘案すれば、日本のスターアップアップ向けの割引率も上記とは異なっている可能性があります。
今後は日本における割引率についてのより詳細な検証が必要になると思われます。