粉飾の代償

 中小(非上場)企業には監査制度が無いので、決算書は基本的にはやりたい放題の動物園になっており、もう解釈の違い、適正ではない処理からド直球の粉飾まで色々と凄い物が多い。

 一番よくあるのが、赤字を黒字に見せかける為に、原価を減らす目的で期末の棚卸を増やす粉飾(架空在庫経常・期末の棚卸が増えると当期の売上原価が減る)で、これをやるとやった分だけ積算で存在しない在庫が無限に膨れて行き、これは解消する方法が基本的にはない為、続けるとBSの左側が膨れてとんでもないことになる。

 で、この架空資産が膨れたBSを評価するどうしていたかというと、架空の棚卸を減らして見るのではなく、想定架空在庫分の含み損を計上して、帳尻を合わせる為に架空在庫計上があったと見込まれる年度の経費を増や(利益を下げて)すことになる。

 起業評定には様々な費目があり、最終的にはそれらを積算することになるが、上に書いた様な処理をすると、棚卸が滅茶苦茶重い(資金効率が最悪)にも係わらず、利益は全く上がらずに、自己資本も毀損しているという最悪の評定になる。何かというと、粉飾せずに正直に赤字決算していたより更に悪い数字になる。

 分かりやすく言うと、遅刻常習犯の学生が毎日「道で老人を助けていました」と申告して来たら、内申欄に「遅刻魔の上に虚言癖」と書いていた。正直に「寝坊していた」と言っていれば「遅刻魔」だけで済んだのに。まぁ余程上手く隠さない限り粉飾は見つかるし、そもそも複式簿記はそれを許さない様にできている。なんかあったら素直かつ正直に謝った方が良い。

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