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ピューロロロになりたい

僕は…おこがましいかもしれないけれど、あの「ピューロロロ」になりたい。

こんなことを言うのは、本当におかしくて、笑われるかもしれない。あるいは怒り狂って凶行に及びたくなるような人もいるかもしれない。

でも、落ち着いて聞いてほしい。
僕が「ピューロロロ」になりたいのは、本当に僕の純粋で真剣な気持ちなんだ。僕は心の底から「ピューロロロ」になりたい。いや、ならなきゃいけないんだ。

なぜなら、僕は「ピューロロロ」に救われたから。あの綺麗で不思議でドロドロとした存在に僕は自分の生きる意味を知った。彼らは生まれた時に地中にいたからもしれないけれど、それがやがて地上に出て空を飛び、光速で宇宙の彼方まで行って、そして死ぬ時には隕石のように落ちてくる。

そんな劇的な人生に僕は全てを奪われてしまったんだ。いや、与えられた。意味を与えられてしまったんだ。

それからというものの、僕は暇さえあれば「ピューロロロ」を探しに行っている。日常的に。食う寝る「ピューロロロ」を探すという日常のサイクルに組み込まれてしまっている。

もはや「ピューロロロ」中毒だ。学校に行っている時間にも中庭へ行き、小さな「ピューロロロ」を見つけ、体育の時間には体育館に忍びこんだ「ピューロロロ」を捕獲し、グランドに出たら「ピューロロロ」を振り回す。そんな「ピューロロロ」中毒だ。

知り合いや、よく話してくる知らないおじさんからも、僕は「ピューロロロ」オタクと呼ばれる。もはや「ピューロロロ」と区別がつかないとまでも。

そんなある日、夢を見たんだ。
暗闇の中に神さまがポッと現れて、僕に魔法の粉を振りかけた。すると僕は「ピューロロロ」に化けてしまったんだ。

急いで僕は布団から飛び起きた。
そしたら物の見事に「ピューロロロ」になってしまったんだ!

これにはとにかく興奮した!
だって「ピューロロロ」になりたいと願った僕は、その夢を叶うことが出来たのだから。

今から最高の「ピューロロロ」人生が幕を開ける。そう楽しみに思っていたんだけど、みんなも多分、気付いているよね?

そう、僕はまだ夢の続きで布団から飛び起きたというのも夢の一部。おそらく、この回想が終わる頃には僕は「ピューロロロ」にはなれていない。いつも通りの僕さ。

こんなにも手に届く位置にあるのに、「ピューロロロ」になれないなんて悲し過ぎる。神様は薄情だ。あぁ、できれば夢の通り僕を「ピューロロロ」にして下さい。

夢にまで見た「ピューロロロ」。太陽に燃え尽きることもある「ピューロロロ」。そんな衝撃的な姿に、僕もなりたい。

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