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史上最高の贅沢

昔、昔あるところに、誰も近づかない古びた古屋がありました。その古屋では時折ミャーミャーと子猫の鳴き声が聞こえてきます。

すると、この付近に移り住んできた男の子が古屋の中へ入ってしまいました。

男の子が古屋の中に入ると、そこには一匹の子猫がいました。

子猫は言いました。

「お腹が空いたよ〜お母さんに会いたいよ」

どうやら子猫が母猫と逸れてしまって一人ぼっちのようです。これを見た男の子は子猫を助けてあげようと、母猫を探そうとします。

「まってよ〜僕を1人にしないでよ」

そんな子猫の甘えた声に仕方なく、しばらく一緒にいることに。すると、子猫がある事を話しました。

「お母さんはきっと、この古屋の地下にいるんだ。そこにはきっと、お母さんが近くの森で集めてきた美味しい木ノ実が、たくさんあるんだ」

その言葉をヒントに、男の子は古屋の地下へ向かおうとします。

「僕が案内してあげるよ」

子猫が男の子の先頭を歩き、古屋の地下へ向かいます。

「僕は木ノ実が大好きなんだ」

子猫は男の子に言いました。

「特にトゲトゲした、木ノ実が大好き。周りがトゲトゲしているから、いつもお母さんにとってもらってから食べるんだ」

子猫は、どうやら『栗』が好きなようです。

「でも本当は、木ノ実よりもっと大好物があるんだ」

子猫は、とあるドアの前で止まりました。ミャーという鳴き声をあげて、どうやら男の子に、このドアを開けてほしいようです。

もしかすると、このドアのせいで中に入れなかったのかもしれません。

男の子は子猫のためにドアを開けようとしますが、なかなかに重いドアです。男の子が一生懸命に力を振り絞って、ようやくドアが開きました。

「ありがとう!ようやく中に入れるよ!」

子猫は嬉しそうです。

「そうだ。君も中に入ってごらんよ。美味しい木ノ実がたくさんあるから」

子猫は男の子を中へ招待したいそうです。

男の子は少し考えましたが、子猫のご厚意に甘えようと思いました。ドアの奥へ行くと、そこには地下へ続く階段がありました。

すでに子猫はヒタヒタと階段の下へ向かっています。あとをつけるように、男の子も階段を下りていきました。

「そうだ、さっき言いかけていたことなんだけどね…」

すると再びドアが現れました。今度のドアは、簡単に開きます。

すると、ドアがバタンと閉まる音がしました。どうやら、先ほどの重いドアが急に閉まったようです。

「僕の、本当の大好物はね…」

地下にある部屋には、たくさんの木ノ実がありました。

いえ、そう見えました。




「新鮮な人間の肉だよ」




その部屋にあったのは、木ノ実ではありませんでした。人の頭の骨…骸骨が、たくさんありました。


誰も近づかない古屋。この古屋では、ごく稀に子猫の鳴き声が聞こえてきます。でも、近づいてはいけません。中に入ってはいけません。


なぜなら、そこには怪物がいるからです。


今日も子猫は鳴きます。お腹が空いて鳴いています。いないはずのお母さんを探して鳴いています。

そんな、かわいそうな鳴き声に連れられる「ご馳走」を求めて、子猫は今日も鳴いています。

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