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創作の熱 -川崎ボードゲームフリーマーケット参加記-

1.(出発前の憂鬱)



日に日に数を増す感染症の数は思わず目を覆いたくなるほどだ。
ちょうど今から2週間ほど前に名古屋・岐阜に滞在し、体調の変化もなく、cocoaアプリの反応もなく、平穏無事に過ごせたことが奇跡に思えてならない。

そんな中、以前チケットの購入だけは済ませた「川崎ボードゲームフリーマーケット」が当日に控えたことをふと思い出した。
尻の軽いいつもの私ならば喜び勇んで参加の列に並んだ、はずだ。
がしかし、ワクチンは2度接種を済ませたとはいえ、SNSでは身近なフォロワーの感染報告がひきも切らない。創作中の身として、どうしても尻込みしてしまう。

それでも、近場ということもあり、どうしても「参加者としての立場」でイベントを俯瞰したかった。
ゲームマーケット春もそうだったが、出展側と参加する側とでは、些細な気持ちの変化も観察しておきたい。それがひいては、ゲームマーケット秋に向けての自分自身の準備につながるのではないか。

そんな小難しいことを考えながら、僕はえいやっと気持ちを切り替え、川崎産業振興センターへと向かった。

2.到着、ご挨拶まわり

京急川崎駅から徒歩3分の好立地

僕の参加チケットは14時からの午後の部、先に開場となった前段の部では、公式SNSで多くの来場者がひしめく写真が挙げられていた。
満員ならば引き返すことも覚悟したが、午後の部は比較的スムーズだったため、そのまま慣れない手つきで電子チケットでの入場を済ませた。

高い天井

中の会場は広く、また各スペースは長テーブルが一台用意され、出展側・来場者、相互の間隔も十分に確保されていた。

僕のお目当ては格安中古ボードゲームというより、創作サークルの各作品の方がメインだ。
何かとバタバタしたゲームマーケット含む各種イベントではご挨拶も叶わなかったため、これを機会にご挨拶に回ることにした。

中央入口から右に向かい、反時計回りにぐるりと、普段から親交のある各スペースにご挨拶へと向かう。
手持ちぶたさも様じゃないかと思い、駅前で冷えたジュースを差し入れとして買い込んだ。(それでもご挨拶する方すべての分を確保できず申し訳ありませんでした)

さらには、そう顔も整わない僕だったので、名古屋ボードゲーム楽市で制作したサークル名の名札を胸につけることにした。単なる参加者が偉そうに、と思われないか終始不安だったが、名札にアイコンを冠したおかげで声をかけてもらえることもあった。これからも臆することなくつけて回りたい。
(ちょっと恥ずかしかったですが)

ザッとご挨拶に回ったサークルを、手持ちの写真とともに紹介したい。

ハニワゲームス様のゲームマーケット2022秋新作「マジックマテリアル」は二人大戦のデッキ構築型カードゲーム。ミステリアスなイラストが華を添えます。


「ウチューカイギ」を展示された「すてきな山」様。愛嬌のあるキャラクターはそれぞれに名前がある点もキュートです。お話で伺った「任天堂の某家庭用遊戯機にソックリな拡張の新キャラクター」がとても愛らしかったです。


6ちゃんねる様。ここでも多くの方が興味を持っていらっしゃいました。ブースに立つ御二方の笑顔もとても素敵でした。鮫島さん(拡張)が入ると探ぱんもサメゲーになるのかしら。



とどのつまり様。アークライト・ゲーム賞最優秀賞受賞作「ミリメモリー」が展示、紹介されておりました。個人的にはエレガントな見た目ながら実は大喜利要素の入った「変数Xを想う」が大変興味を持ちました。

なつき屋ゲームズ様、Kクリエイト様
ここでも素材にこだわった木製のトレイやダイスタワーが「まさか!?」と思う価格で販売されておりました。Kクリエイト様が会計で使用された木製トレイが美しく思わず見入ってしまいました。近年は独自の創作ゲームも手がけていらっしゃるとのことで、早速「ルーンと妖精」を購入しました。


ももかん製造所様は本イベントが初となる会話型カードゲーム「Pirch Soda」を展示・販売。動画を交えつつ明るく紹介されておりました。今更ですがタイトルは「ピンチ?!そうだ!」のシャレ……ですよね?


くらげシステム様。こちらも北海道、広島、そして再来月静岡と東奔西走されるサークルです。各イベントの状況を笑顔を交えて話される度量の深さに感服です。各種人気のカードゲームや、各所で話題のボードゲーム漫画「ゆるゆるボドゲバカ」シリーズなどが並んでおりました。

HLKT工房様。先週広島、先々週北海道、と、広く行動されるサークルでは新作を中心に旧作を交えて販売されておりました。

STUDIO アカランタン様
こちらも全国各地を飛び回るサークル様。疲れた表情を見せず笑顔で作品の説明をされる姿が大変印象的でした。全国を回るようになると僕も笑顔が取り戻せるのだろうか。



ゲーム喫茶天岩庵様
大井町の人気ボードゲームカフェからの出店。終盤は「1個買ったら1個サービス」の大盤振る舞いを行っておりました。人気の店長は変わらずエネルギッシュでした。


コノス様
ボードゲームや各種ダイス等の委託作品を中心に展開されておりました。ついつい目に止まった「対応注意」のバッジは他に2種類、今考えると3種類すべて揃えておくべきだったのかもとちょっと後悔。

JUGAME STUDIO様
真空パックに収められるほどコンパクト化された真打ポケット版を発売されておりました。午後はあらかたテーブルが片付いたところから察するに午前の部から大盛況だったに違いありません。

白沢酒様
前回千葉ボドゲーン万博でもお向かいだった謎解きサークル様ですが、今回は中古販売がメイン。客層に合わせてスタイルを変える姿勢は見習いたいです。

ゲンゲゲームズ様
「インフィニティカジノ」や「カウンドダウンカクテル」など自サークルの新作、旧作を揃えての出展でした。旧作の「価格:言い値」ってなんだ?と思わせる手段は自分もいつか使います!


アクセサリー工房ころん、ゆらん様
A@rtesuar
お隣同士のブース。見た目の眩しい女性の立つブースは独り身のおっさんには眩しすぎて早々に離脱しました(臆病者)
人気のお昼寝ミープルグッズを筆頭に、ダイスのワンポイントが印象的なネックレスを無事にゲット。


Studio Turbine様
中世の雰囲気漂うトリックテイク「シャーデンフロイデ」はパッケージがカラーになった新版を発売。カラーとはいえ派手さを抑えたデザインはシビアなゲームの雰囲気をそのまま残すように見えました。

636ゲームズ様
名古屋ボードゲーム楽市でも好評を博したジェレミア魔法学院シリーズは午後の部でほぼ全てに「完売」の札がつくほどでした。流石です。

さいなげ様
中古ボードゲームの他に、自サークルの作品「わーどこーぷ」などを販売しておりました。午後からの参加でしたが、テーブルの上はほとんど残っていなかったところから盛況だったことを伺わせました。

マップを振り返りながら、それでも挨拶が抜けているところも多く、反省すること然りです。
写真も少なく本当にすみません。
ご挨拶ができました皆様、弱小サークルを覚えていただきありがとうございました。そして今回ご挨拶が叶わなかった皆様、重ねて無礼をお許しください。


案の定、予算を超えて買い物しました。

挨拶も済ませ、無事に帰宅。石鹸で手洗いうがいを済ませ、梅干しを入れた麦茶を口に含む。
今日も予定通り予算オーバーとなった。食費が……。


3.振り返って(帰宅後の話)

今もまだ感染症の脅威にさらされる中、多くの創作サークルが、今この瞬間にも創作に情熱を注ぎ、そして次回秋以降に向けて創作の手を動かす、そんな姿を垣間見ることができた。
お会いする中で、ひとつ気がついた。
お会いしたどの方からもマスク越しに笑顔が溢れていたことだ。
決して楽しいことばかりではなかったはず、なのに、創作が自分の手から相手に渡る「喜び」、今回出展ではなく「来場者」の視点で眺めるうちに、出展側の笑顔を真芯から受けることができた。

昨年、一昨年と感染症の脅威にさらされ、運営、出展者、来場者、相互に苦しい状況が続く、そんな心苦しい中での開催だったかと邪推する。
そんな中、創作物が、愛してやまないボードゲームが、相手の手に渡る喜びの場を提供された本運営スタッフの皆様、そして感染症対策を念頭に多くの作品を出展された各サークル様に、そしてマナーを守り、感染拡大に最大限寄与することに従事された来場者の皆様に心から感謝したいと願う。

多くの創作物に触れ、停留していた自分のやる気にも幾分火がついたようだった。
「負けてはいられない。」
この日も変わらず熱帯夜を迎えたが、帰宅後も活力が湧いた僕は、また懲りずに創作のキーを打つことにした。


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