ザ・フラッシュ

『スマイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』と同時公開のこの映画。ということで、どうしても(私的にも)見劣りがちだが、なかなかどうして、ウェルメイドな作品だった。特に、主演のエズラ・ミラーの演技がよく、皆さんが言っているように彼なしではありえない作品だったと痛感。だから、彼が問題を起こしても、公開をとりやめることも、役者をすげ変えることもなく待ち続けたというのも分かる。結果、DCユニバースの変わり目ギリギリまで来てしまった訳で。エズラ・ミラーは今回、今のフラッシュと過去のフラッシュの二役を見事に演じ分けているばかりでなく、双方を魅力的なキャラに見せることに成功。私は特に、若いフラッシュのなんとも言えない愛されクズっぷりが愛おしい。
さて、そそろろネタバレで。今回、フラッシュは速すぎるがゆえに光速を超えて過去に行ってしまい、そこで修正したかった過去=母の死の改変を試みる。それは成功するが、そのバタフライエフェクトによって歴史全体に改変が波及してしまい大変なことに…という話。このあたり、昨今のマルチバースブームと呼応しているとも思う。
そこで思い出すのが、ゲーム『STEINS;GATE』だ。このゲームも、過去改変によって世界線が狂ってしまい、それを元に戻すというのがストーリーの根幹になっており、今作と共通点が多いと感じた。また、逃れられない運命への抗いという意味では、スパイダーバースとも似通っている。よくまあこんな双子のような話を同時期に出したものだ。
ただ、その解決のさせ方は決して突飛なものではなく、ある程度は予想がつく。が、本作はあえて王道ストーリーに皆が見たかったアイテム(例えば、マイケル・キートンのバットマンとか)を積みあげて良作にしている。

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