ドラクエ10 V4終了したので感想を書いてみる【ネタバレ注意】

ドラクエ10、一気に進めてVer4まで到達してしまいました…
Ver4については色々と気になることが多いので、それらについて書き残しておこうと思います。
ドラクエ10Ver4までと、11含む過去作ドラクエのネタバレを含むのでご注意を

ドラクエの中でのVer4の特異性

これは個人的見解ですが、Ver4は歴代ドラクエの中でもイレギュラーなストーリーに位置付けられると思っています。
それがクオード。
確かにざっくりとVer4のシナリオをまとめると
アストルティアに滅びをもたらす存在が現れる
→過去に遡って滅びの未来を変える
→親玉を倒してアストルティア存続
とドラクエでは鉄板の王道ストーリーになっているんですが、その中に絡むクオードの存在がかなり異質だと感じるんですよね。

クオードが行ったことについて

さて、クオードの異質性について確認するために、クオードが行ったことについてまとめてみましょう。
さっとまとめると以下の通り。

• ウルベア皇帝の暗殺

• ウルベア皇帝殺害の罪をガテリア側へ擦り付け

• 皇女ウルタへの教唆

• ウルベア大魔神を利用したガテリア大虐殺

• 主人公兄弟姉妹の軟禁

改めてみると衝撃的ですね。主人公と近しい人物がここまでの事を起こしたのはドラクエ史上初なのではないでしょうか。

ウルベアでの一件の後、クオードと主人公は協力関係に

これほどまでの事を起こしたクオードですが、ウルベアでの出来事の後クオードと主人公はエテーネを滅亡から救う、という共通目的のもとで協力関係を結びます。
つまりクオードは主人公の仲間ポジになるわけで、上記のような出来事を引き起こした人物が仲間になるのは歴代ドラクエから見てもかなり異質に見えるんですよね。
（ピサロはまあ似ている感じも受けますが、そこを絡めると話がややこしくなりそうなので割愛します）

ドラクエ的善悪から見るクオードについて

それではクオードの行為を、歴代ドラクエと比較しつつ深堀りしていきましょう。
ドラクエ作品は基本的に勇者が魔王を倒す、勧善懲悪的なシナリオで作られています。
現状の世界に魔王という脅威が迫ってきているから、その脅威から世界を救うために勇者が冒険して魔王を倒す。
現代風にいうと「力による一方的な現状変更への対抗」として勇者が描かれていて、勇者が善、魔王が悪とされていますよね。
ここでクオードの行為をドラクエ的善悪に当てはめてみると、クオードは悪にあたるのではないかと思います。
自身の目的のためにガテリアを滅ぼしたのは「力による一方的な現状変更」に他なりませんよね。

クオード＝ウルノーガ？

更にクオードをドラクエ的「悪者」ポジに位置付けするための補足として、11の魔王、ウルノーガが存在します。
クオードとウルノーガを比較すると

• クオード：ウルベア皇帝を殺害

• ウルノーガ：ユグノア国王を殺害

• クオード：皇帝殺害はガテリアの仕業と偽り

• ウルノーガ：勇者を悪魔の子と偽り

• クオード：ウルタ皇女をそそのかし自分の協力者にする

• ウルノーガ：グレイグ、ホメロスをそそのかし自分の協力者にする

と、かなり共通する点があります。仮に主人公がガテリア生まれだったならば、クオードは世界を脅かす魔王として描かれたとしても不思議はないでしょう。
このように、クオードが行った行為のみを見てみると彼は「悪者」ポジに置かれるのではないでしょうか。

クオードは悪者なのか

今までクオードが行った事の悲惨さや歴代魔王との共通性について話していきましたが、ではクオードは「断罪されるべき悪者」なのでしょうか。
少なくとも作中では一方的な悪者としては描かれていません。エテーネ王国民からの信頼は厚いですし、側近に対しての態度も非常に好印象です。
また、国を滅ぼされたガテリア国民からさえも「大切な人に会うためだったら、自分だってなんだってするさ」と同情の声が上がっています。

少なくとも、多くの歴代魔王のように「絶対的な悪」としては描かれていません。

Ver4は、普遍的な「ドラクエ的価値観」を問いなおしているのでは？

今まで説明してきたように、クオードの行った行為というのは決して許されるものではありません。
ですがクオードは絶対的悪者とも言えないでしょう。少なくともエテーネ王国民からすれば、彼は「英雄」です。
では、今まで勇者サイドが悪と断罪した魔王は絶対的悪者と言えるのでしょうか。
クオードがエテーネ王国を想っているように、魔王も魔物たちの世界を想っているかもしれません。
魔王もクオードのように、様々な葛藤を抱えたうえでの選択かもしれません。
それでもなお、勇者が振るう刃は正義の色に輝いているのでしょうか。だとしたらその刃をクオードにも向けられるのでしょうかー

次回作であるドラクエ12では、トレーラーに「人はなぜ生きるのか」というナレーションがあります。
製作者サイドはVer4を通して、今までに築かれた普遍的なドラクエ的価値観を今一度問いかけ直し、新たなドラクエを作ろうとしているのかなと感じました。
まあ考えすぎかもしれないですけどね。