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デザイン、み〜つけた!

最近、ある映画をテーマに曲をつくりました。映画のテーマソングづくりを依頼されたとかではなく、もうすでにテーマソングもなにもかもが出来上がっていて公開済みのある映画を鑑賞し、その映画をテーマにしてつくった曲を、ある夜のライブハウスに出演するものどうしが披露しあいましょうという、そういう試みに参加することになっているのです。

ただ映画をみるんじゃなくて、その作品をテーマにべつの曲をつくらなきゃならないのです。鑑賞しながら、メモをとりました。せりふも、何気ないようでも気になったものは一字一句逃さずに聴き取りました。あとで曲をつくるときに、印象的で象徴的なキーワードになるかもしれないからです。そのときに、聴き取ったメモがあいまいだともう一度見返すことにかりかねないので……。

普段ただ鑑賞するだけのときとは違った目でひとつの映画をみてみると、つくづくよくデザインされていることに気づきます。この先の展開につながる伏線になるような演出だとかせりふの言いまわしだとかで、緻密に構成されています。その映画に含まれる重要なメッセージが、ある登場人物のせりふに込められていることもあります。そこに、細かなアイディアが盛り込まれ、映画をより柔軟でうつわの広いもの足らしめてることもあるようです。

その映画をみて、どんなことを拾い、拾った素材をどう用いて、じぶんなりのひとつの独立したべつの表現を構築するのかという作業になりました。その映画という制約があるのが難しいことかと思いきやそうでもなく、ほうりこむ制約があるからこそ解がシンプルになるといいますか、道すじが見えやすいということもあるように感じました。デザインとはそういうことなのかななんて、共通する点を勝手に感じもしました。たとえば広告のデザインひとつにしても、依頼主と打ち合わせて、絶対含めるべき要素はなんなのかといったことを明らかにし、その上でどのようなプッシュアップができたらよいかなどという願望を共有し、対象となるもの本来の魅力を伝えるかたちやてざわりを模索して決めていく……といった感じでしょうか。広告業界経験者でもなんでもないので、はなはだ妄想の域を出るものではありませんが。

もちろん映画は、ひとつとしてまったく同じつくり方をされたものはないことと思います。今回ぼくがしたような、公開済みの映画を鑑賞してそれをテーマに曲をつくるという作業も、テーマとなる映画を替えてやってみるたびに、きっと、こうも違うものかと新しい発見がその都度あるかと思います。そうして、さらに10回20回と重ねていくと、ひとつとして同じつくり方のものはないのは承知の上で、ひとつの映画の構成のされ方になにかしらの傾向やら分類づけやらが見えてくることが、あったりするのかもしれません。

映画でも音楽でも小説でも、つくる目線として意図されたデザインに気付くことが、最近のぼくの鑑賞のたのしみになっています。

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