Aさん
そこらの芸人さんのウン百倍おもしろい人が僕の身近にいます。仮にAさんとしておきます。
Aさんとの会話のなかで、僕はたまにおなかを抱えて笑うことがあります。
もうおかしすぎて、それはそれは文字に忠実に、実際におなかを抱えてうずくまらずにいられないのです。
芸人さんと比べる意味もわかりません。
たいていしょーもない場合が多いです。
会話の流れで、その状況を端的に言い表す術を持たないAさんが、無変換の言動をさらけ出したような。
僕の主観的には「しょーもない」とか「無変換の」とかとらえられてしまいますが、素直さや朴訥の極致のようなところからくる、普遍的なリアクションだったりします。
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これはどんな言動で返したらいいんだろう?
うーん、
うーん、
…
ぱっかーん☆
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みたいな感じで、山間部を走り、トンネルの暗闇を抜けるときの中央本線みたいな印象を僕は抱きます。
実際に「ぱっかーん」と言って返してきたこともあって、そのときは自分で思いついたそれによってAさんの方が先にひとりで笑っていました。何がおもしろいのかときいたら、自分で思いついたその言葉に笑っていたのです。僕は驚きのあまり拍子抜けした直後、しばらく笑いが止まらなくなりました。腹部のけいれん、反復する筋肉の収縮運動で本当に死ぬかと思いました。
余計な語彙を身につけないところが、かえって僕の驚きを誘うのだと思います。
最近のAさんは「断捨離」になびいています。
自分の身も、身の周りもさっぱりさせるようにしているようです。
僕はすぐそこらへんに本を散らかします。
すぐ、知らない間にカゴに投げ込まれているのです。
僕が散らかしたものを手っ取り早く収納する専用のカゴが、Aさんによってリビングに設けられています。
笑いは、驚きの極致から。
サプライズな妻を持ったものです。
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