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暇すれば、悪する

私が入社した頃、うちのボスがお気に入りの協力会社社員が、6人で独立した。最年長の社長で、40代初頭。うちの担当だった2人は共に最年少で、30代。

仮に、企画担当をA、営業担当をB、進行担当をCと、呼ぶ。通常彼らは、3人でチームを組む。前述した様に、企画Aと営業Bは同期で、この新しい会社の役員だった。独立した6人はそれぞれ、企画と営業としてコンビを組んでいたが、うちの担当の2名は特に売上が良く、最年少ながら役員会では声が大きかったそうだ。ある別の役員からは、Bを「天上天下唯我独正」と、揶揄されていた。

進行担当のCは、若手の通る道であり、何人かが入れ替わった。企画にしろ営業にしろ、進行を経てなる者が多い。進行Cは、企画Aと営業Bの双方の部下となるのだが、うちの担当のBは現場では何もせず、ただタバコを吸って見ているだけなのだが、宿や会社に帰るとCを正座させ、その日のミスを一つひとつ論い、説教していたそうだ。

そのうち、進行Cが力を付けてきた。するとうちのボスは掌を返した様にBに冷たくなり、打ち合わせには、AとCの二人だけで来ることになった(流石に、本番の現場には来ていたが)。

会社の業績は上々だが、時間を持て余したB。そこで、別会社を作ることになった。通常我々は、取引先と共同で知的財産を創造する。その使用は取引先が独占するが、権利は我々にも残る。そこで考えたBは、それら共同制作物である知的財産権を管理する会社を興す。で、その2次使用を図った。

その知的財産の1次使用は発注元が独占するが、主たる使用目的以外の利用を他社に販売した。すると、発注元は1次使用料を軽減させられるか、あるいは、2次使用料の一部を受け取ることになった。ウィンウィンである。

ところが、Bはここで、不正を行った。他の5人の役員が伺いしれない業務であり、収益を私物化した。あるいは、協力者などへの支払いを怠った。

結局、その不正が明るみに出、さらには本体の業務でも支障が生じ、ついに倒産という事態になった。

Bはその後、同様の知的財産管理業務の会社を興すがこれまで、法人税法違反などで告発されている。

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