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「磐梯山に登ろう」キヨさんインタビュー

2024年7月13日
 「放課後あそぼーよ会」夏休み企画の「磐梯山に登ろう」が8月18日(日)に予定されています。
 磐梯町地域学校協働本部も、その実施に向けて、連絡調整などの面で関わらせていただいています。

 今回は、参加対象を「町内小学生4~6年生」とし、一小と二小、両方の小学校に通う子どもたちが共に参加できるように計画しています。

 今回、登山ガイドをお願いしている「キヨさん」こと田中聖彦さんに、「あそぼーよ会」の宮本さんと磐梯町地域学校協働本部のもとかわが、キヨさんが滞在しているLACでインタビューをしてきました。



宮本・もとかわ:天候が悪くない限り、毎日磐梯山に登られているそうですね。毎日、ってすごいですけど、そうするようになったきっかけ、というのはあるんですか?
キヨさん:そうですね。そもそもは「四国八十八ヶ所お遍路」がきっかけかなあ、と思います。約1200㎞を一人で歩き通したんです。
宮本・もとかわ:1200㎞…ですか…。
キヨさん:以前、出会ったある方に、「お遍路はいいよ」と聞いたんです。一生懸命、そのよさを話してくれるのですが、私はいくらその方の説明を聞いても「何がいいのかな?ただ、たいへんなだけじゃないの?」と、理解ができなかったんです。その方は、そんな私の様子を見て、「人によってお遍路の意味は違うんだ。でも回ってみた最後に必ず自分にとっての『宝物』が用意されていると思うよ。」と言ったんです。それで私は、「それなら行ってみようか…。自分で私に用意されている宝物は何か確かめてみよう」と思ったんです。

宮本・もとかわ:それで、徒歩の四国お遍路に挑戦することに?
キヨさん:お遍路をしながら,一人でただ歩くだけの単純作業の繰り返しの価値を感じるようになりましたし、私自身いろいろな物、人、事に支えられて生きていること、そして自然の有難さと素晴らしさを感じられるようになりました。山に登るのも、その一環なんです。
宮本・もとかわ:もう少し詳しく伺ってもいいですか?
キヨさん:お遍路も最初は、足は痛くなるし、夜もろくに眠れないし、もう3日でいやになりました笑。野宿していると蚊に刺されるし、大雨になるとびしょ濡れになりますし。本当に嫌になってやめようと思った時があったのです。その時、丁度、泊まった宿に、私よりも前にお遍路をちょっとだけされた方が、もう使わないから、と置いていった「菅笠,白衣,輪袈裟」があったんです。それを私が譲り受けることになったんです。私は、(ああ、これは、私に『続けなさい』って言ってるってことだな…)と思い、気を取り直して、お遍路を続けることにしたんです。

キヨさん:平均1日40㎞~60kmくらい歩くんです。歩いているときは、他に何もすることがありませんから、いろいろと自分の中で対話が始まるんです。話し相手は弘法大師様になるんですよ。※お遍路は同行二人と言って弘法大師様と一緒に巡礼します。
キヨさん:足が痛くて辛くて、「もう歩けない…」と思っていると、心の中の弘法大師様が、私の弱音を全て受け入れてくれて,「痛くて辛いのはよくわかる。だけどあと1歩でいいから足を前に出してみて」と語りかけてくれるような気持ちになってくるんです。この1歩の積み重ねが結果的に1200㎞を歩きとおす結願(ゴール)へと繋がるわけです。
キヨさん:そういう対話を心の中でしていると、今必死に頑張っている自分の努力が凄くちっぽけに感じてきて、、、自分が今お遍路ができるのは、遍路道をボランティアで整備してくれる人、途中で出会い励ましてくれた地元の方々、お遍路をされてきた先輩方など多くの方の支えがあるからこそなのだと感謝の気持ちが強くなり、いつの間にか辛さと感謝が逆転し、感謝の気持ちで満たされました。お遍路後半になると、さらに遍路だけでなく、自分の人生そのものが周囲に支えられているということを実感し、自分の環境に深く感謝するようになりました。私にとっては、この感謝の感情が、「宝物」だったんだなあ、と思えます。やってみてはじめて分かる、自分が見付けた「宝物」だったんですよね。

宮本・もとかわ:それが今の毎日の磐梯山詣でにつながっているんですね。
キヨさん:毎日磐梯山に登るようになると、磐梯山と友達になれるような気持ちになります。山が迎えてくれるというか。登るたびにたくさんの事を磐梯山は与えてくれます(景色,リラックス,達成感,体力,自然との対話,ダイエット効果等)。だけど磐梯山自身は自分の為に何もできない。例えば自分の汚れを自分で落とすことができません。だから登山している時にゴミを見つけると拾って下山するようにしています。そうすると磐梯山から「ありがとう」というお礼の言葉が聞こえるような気がして、、、ゴミを拾った後は自分にとって良い事が起きるような気がします。(磐梯山にあるものは、すべて「宝」)

宮本・もとかわ:子どもたちと磐梯山登山するときは、どんな感じになりますか?
キヨさん:お子さんだと、行き帰りで、5時間くらいが目安になるかな、と思います。安全のため、団体で登ったほうがよいでしょう。先頭は誰か大人が付いて、私は最後尾につくようにしますね。登山道は整備されていますから、道に迷うことはほぼありませんから。


磐梯山頂上からの絶景 写真提供:キヨさん



リアル「足長手長」(写真提供:キヨさん)