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認定こども園の開園準備に至るまでの話

この4月、磐梯町に「認定こども園開園準備室」が開設されてから
色々な声が届いています。

保育所と幼稚園が「認定こども園になること」について、
賛成である、という声も多く届いていますが、同時に、何も聞いていない、認定こども園になると何が変わるのか、どうして認定こども園にする必要があるのか、などの不安、疑問の声も届いています。

今、この記事を書いているのは、開園準備室長でもある中川ですが、
これらの声は、令和5年度(2023年度)に私が「磐梯の教育再デザイン構想委員会」の委員長を拝命されていた時にも聞こえていました。

「何を話し合っているのか見えない」
「声を聞いてもらえないと訴えてる人たちがいる」
という声が、議員のみなさんからも教育委員会に向けられて届けられている、ということも聞こえていました。

これまでは、声が届いていても、なかなか考えや状況をお伝えする術がなかったのですが、一関係者として、noteなどを通して情報を発信できる環境が整いましたので、ちょっと(いや、大分)長くなりますが、
「認定こども園開園準備室」が今年度開設されるまでにどのような経緯があったのかを、お伝えさせてください。

正直、私個人としては、見えている部分と見えていない部分がまだまだあることを前提に、「見えている(た)ことを、やっとお伝えすることができる…」という気持ちで書かせていただく部分もございますので、お付き合いいただければ幸いです。


話し合いの経緯

話は、令和3年に遡ります。
(と言っても私はこの頃はまだ磐梯町につながりがありませんでしたので、すでに公表されている事実だけのお話になることをお許しください)

令和3年7月に磐梯町教育委員会より諮問を受け、
「磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議」が設置され、16回に渡って審議会が行われました。
会議がスタートしてから1年4ヶ月後の令和4年11月22日には、
「磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議」から答申が出され、
認定こども園の推進について以下のように触れられています。

第 4  教育・保育環境再編へ向けた基本方針
1基本方針
(1) 認定こども園の推進
将来の就学前人口の減少や多様化する教育・保育ニーズ等に対応するとともに効率的な 施設運営を図っていくため、今後の教育・保育施設(幼稚園・保育所)の整備については、 就学前の子どもの成長の連続性に配慮し、かつ保護者の就労状況の区分(1 号認定、2 号 認定、3 号認定)によらずに、一貫して教育・保育を提供する機能を有する施設として、 幼稚園・保育所の一体化(幼保連携型認定こども園)を基本とした施設整備を提案する。

磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議 答申書 より

答申の詳しい内容は令和4年12月13日に磐梯町ホームページに公開されています。


そして、その答申を受けた磐梯町教育委員会から、令和5年4月に諮問を受け、「磐梯の教育再デザイン構想委員会」が新たに設置されました。
(当時磐梯町の教育に関する町政アドバイザーだった私は、この委員会の委員長を拝命しました。)
また、「磐梯の教育再デザイン構想委員会」の委員には、「磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議」の委員長と副委員長も引き続き参加されました。

「磐梯の教育再デザイン構想委員会」は令和5年4月から令和6年2月までに毎月1回程度、全部で13回実施され、令和6年2月29日に答申を出しました。
0才から15才の教育に関して幅広く話し合うための委員会でしたが、「磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議」からの答申も鑑みておりましたので、0才から5才に関する話し合いに半分以上の時間をかけていました。

「磐梯の教育再デザイン構想委員会」からの答申では、認定こども園については以下のように触れられています。

4 教育に関わる組織運営と施設について
オ)認定こども園の設置
①令和4年度磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議における答申の基本方針で 示された通り、保育所と幼稚園、こども館は統合して幼保連携型認定こども園を学園運営の前提とする。また、同答申で提案された、民営化についても検討する。
②開設に向けた準備は、認定こども園開園準備室が行う。
③認定こども園の施設は新設する。その際には、保健福祉センター(磐梯町子育て世代包 括支援センター)や、地域学校協働本部の活動場所、児童館、図書館などとの複合施設として、多機能化、戦略的配置を踏まえた設置を検討する。

磐梯の教育再デザイン構想 答申書 より


会議の議事録が公開されることがなかったことと、傍聴が許されたのは委員会がそろそろ終わりになる頃に1度だけでしたので、なかなか「どんな話し合いがされているのか」を町民のみなさんに届けることができなかったことは、委員長である私としても、とても歯がゆいことでした。

町民の方々に向けて声を集めるワークショップを行うことも提案しましたが、すでに「磐梯町教育・保育施設再編整備基本構想策定会議」で広くアンケートを取っているからそれが参考になる、ということで実現には至りませんでした。

それでも、少しでも現場の声をお聞きしたい、ということで、小中学校の校長先生、幼稚園保育所児童館の副園長副所長副館長のみなさんに数回委員会に参加していただきご意見を頂戴しました。
公の場で話すことは難しい点もあることを考慮し、委員会とは別に、個別にお話しをさせていただきご意見を頂戴したこともありましたが、それもお仕事の合間にお願いすることになり、ご負担をおかけしてしまった部分もあったと思います。

それでもどうにか、最後は構想委員会メンバーが集まって、3時間以上に及ぶ答申文章の細かい校正のための会議を2回行い、無事答申を出せたことにホッとしていました。


教育再デザインセンターと認定こども園開園準備室の設置

令和6年2月に出された答申を受け、磐梯町では、令和6年4月から「磐梯の教育再デザインセンター」を設置することが決まりました。

答申を出した側にいた私が、答申を受ける側でもあるセンター長になることは、本当に良い事だろうか?とお話をいただいた際に考えましたが、「磐梯の教育再デザイン構想委員会」の委員だった方が「責任を持って答申の内容を推し進めていくということだから頑張って!」と背中を押してくださり、今に至ります。

令和6年4月にセンターが設置され、認定こども園開園準備室を兼ねることなり、まずは「答申」をもとに「教育基本構想」を整理しなければ始まらないぞ。ということで、早速「案」の作成に取りかかりました。

町民のみなさんの声を集めるための準備について

町民のみなさんの「聞いてない」「知らない」「勝手に決められている」という想いを少しでも軽減するためには、
今ある情報をきちんと開示し、投げかけ、意見を述べる場をつくっていくしかないと考えましたが、教育委員会としての考えが整理されないまま情報を出しても混乱する、ということもあり、まずは「磐梯の教育」0-15教育基本構想(案)の作成を進めました。

「ここに至るまでに3年弱かかっている」という事実もあり、「なるべく早く内容を開示して、みなさんの声を集めたい」と考え、令和6年6月の議会で最初の「案」のご説明をさせていただくことを目標にしてきました。

するとこの準備を進めているうちに、今度は「なぜそんなに急ぐのか」「もっとじっくり話し合うべきだ」という声も聞かれてきました。
「急ぐということは町民の声も聞かずに決めたいということなんだろ?」という意味で言われていたと思います。

これは、これまで2つの会議体で、3年弱という時間をかけて話し合われてきたということが「知られていない」ということが大きな原因です。

と同時に、「議会に説明する」ということは「決定なんだろ?」と考える方々も多くいらっしゃることも分かってきました。

でも、それは違います。

まだあくまでも「案」の提示ででしかなく、議員のみなさんも
「町民の声をきちんと聞くべき」と繰り返しおっしゃっています。

ちなみに、令和6年6月11日の全員協議会で、議員のみなさんに「案」についてご説明させていただいた際には、多くのご質問をいただき、1時間20分に及ぶやりとりが行われました。
とても充実した意義のある時間を過ごさせていただき、これから町民のみなさんのご意見をお聞きする準備が、やっと整ったように感じました。


「(案)」の意味

「磐梯の教育」0-15教育基本構想(案)の、この「(案)」がついているうちは、声を集め、意見を伝え、改善していくことができると私は考えています。
そして、「(案)が取れて、決定してしまったら絶対に変えられない」というのも「違う」と考えています。

というのは、一度決めたことは、やってみて、振り返ってみた時に、改善が必要な場合は修正して再度チャレンジしていく。
そうやって行政の方針というのは進化してきた歴史があります。
つまり「(案)」が取れた後も、実行していきながら改善していくことはできるということです。

これは、どんなプロジェクトでも当たり前のことです。
現在の子ども達も、学校でこのサイクルで学んでいるくらいですから、
「基本構想」も数年ごとに、世の中の変化に応じて見直していくことが大前提になります。

3000人の町民がいれば、3000通りの意見があります。
全員の考えが通るわけではないのが現実ですが、それでもみんなで
「あーでもない」「こーでもない」
と話したことが、「このあたりならやってみてもよいかな?」とか、
「次の改善」につながっていくことは確かです。

話し合いの考え方について

いくら「(案)」があるうちは話し合っていける余地がある、と言っても、
話し合いのルールは重要です。

話し合いの期間もある程度決めておかないと、「いつまでも決まらない」状態になることもあり、少しでも前に進むためにそれは避けなければならないと考えます。

だからこそ、「決めて、実行して、振り返り、見直して、新たに決めて、再度実行する」ということを前提として、ある程度の期間で「決めていく」ことも重要です。

そして、話し合いでは、「何を話し合うか」ということも大事です。
「町民」という不特定多数の方々と話し合う時には尚更ですが、
ある程度情報を整理して、話し合うべき内容を明確にし、
「大前提となる情報」をみんなが共有した上で話し合うことも重要です。

今回で言えば、教育委員会が「案」を提示して、町民のみなさんから意見をいただきたい点を明確にする。そして、教育委員会がなぜこのような案を出しているのか、についてもきちんとお伝えしていくことで、話し合いの質を高めていく。
そのための準備に、4月から6月初旬までお時間をいただくことになりました。

ぜひ、説明会+意見交換会、意見募集にご参加ください!

ここまで長々とこれまでのことをご説明してきましたが、ここでお伝えしかったことは、「まずは町民のみなさんの声を是非ともお聞かせください!」ということです。
そして、共につくる主体者として関わっていただければ幸いです。

0才から15才の磐梯の教育に関する基本構想を策定していく中でも、認定こども園の開園については、基本構想と切っても切り離せない内容です。
ですので、認定こども園開園準備に関する説明会+意見交換会の第1回目は
「0-15教育基本構想説明会+意見交換会」と合同で行います。

第2回目以降は、「認定こども園開園準備」に関することのみに触れていきたいと考えておりますので、どうぞご参加のほどご検討ください。

お申込はこちらになります。←クリック

第1回に参加されなくても第2回にご参加いただけます

みなさまの声をお聞きすることができる機会を、今からとても楽しみにしております。
また、教育委員会としての考えについてお話しさせていただけることも嬉しく思っております。

どうぞ、人と人としての「おしゃべり」の場を楽しみにいらしてください。
心よりお待ちしております。


意見募集(パブリックコメント)もおこなっています

説明会+意見交換会にいらっしゃらなくても、
意見の表明をすることができます。

6月24日(月)から7月26日(金)まで、意見募集(パブリックコメント)も行っておりますので、以下のページをご確認ください。