戦わないで、軸をずらす

ラグジュアリーブランドのマーケティングを多く手掛けている友人が、ブランドとは、軸をずらして戦わないことが大事って言っていた。

同じ軸の中で評価されてしまうと、唯一無二の価値を提案するラグジュアリーとしては価値が削がれてしまうからこそ、新たな軸も含めて提案しブランドとするのだと。

すごく大事なことを言っている気がしていて、相手と同じ土俵で戦うな、自分たちは自分たちの価値基準、軸をもって信念を持って表現しろってことなのだと思っている。それこそがブランドであり、価値なんだと。

そこで自分は、資本主義における評価軸について思うことがある。
GDPとか、効率性とか、時価総額とか、そういったもので企業や国力が判断され、追いつけ・追い越せみたいな会話がされる。
そしてその評価軸で1位になっていたり、成功しているものを真似し、自分たちのやり方を捨て、相手に勝とうとしているのが今である。

でも本当にGDPが高いと豊かなんだっけ?とか時価総額が高いことが素晴らしいことなんだっけ?とか、思う。
その時点で相手の土俵に立って戦っている。
相手の土俵ということは、相手が有利な状態だ。

彼らの国民性、価値観、制度、商習慣、そういったものだと、きっと今の評価軸で戦うのが一番有利である。
だから、自分たちの国民性、価値観、制度、商習慣でどんなに相手を真似して、同じ軸の中で勝とうとしても、二番煎じにしかならないし、唯一の価値にはならない。

唯一の価値を提供するからこそ、世界に必要とされる。
そしてこの唯一の価値を提供するには、相手の評価軸ではない軸のもとに実現するしかないのだと思う。
皮肉な話だけれど、1つの事例として、Geneのコーポレートサイトは、SEOとかはガン無視だし、通常横書きなものを、どうやったら日本的な表現ができるか模索した結果縦書きオンリーのサイトを実現している。
構造化についても、所謂推奨された構造化をしていない。
つまり、Googleの評価軸からすると、おかしいサイトになっている。
けれど、Googleのサイトスコアでみると、なんと100点である(PC)。
100点なんて初めて見たけれど、なんなら評価基準を無視しているけれど100点がでちゃうのである。これも唯一無二の価値を提供しているからと言えると思う(厳密には違うけれど、メタファー的には)

正直、所得という一側面でみたら、たしかにアメリカのほうが裕福で、日本は貧しいと言えるけれど、じゃあ美味しくもない、適当なフードコートで食べるロコモコ丼が8,000円とかするのって本当に豊かなのか?
チップを払わないと素晴らしいサービスを受けれない世界って豊かなのか?
そうやって考えてみてほしいと思う。

この世の中、どこか誰かが決めた側面、軸で見ようとしちゃうからこそ、自分たちの評価を下げ、自尊心を失い、相手に迎合するのだと思う。
そして、その評価軸じゃなかったら素晴らしく優れている自分たちの良さを見ることなく、消していくことで、標準化し、均一化し、そして何者でもないなにかになっていくのだと思う。

自分たちの国が表現すべき軸はなにか?自分たちの事業が表現すべき軸はなにか?自分たちそのものが表現すべき軸はなにか?
それを考えていきたいし、そこに誇りをもっていきたいし、それを体現していきたい。

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