「確信」と覚悟をもって一歩を踏み出そう

ここ数日、氷川きよしにハマっている。何かのきっかけでYouTubeで彼の「限界突破xサバイバー」の映像を観た。演歌歌手としてしか知らなかったので、「うわっ、すげーっ!いい!」と思っただけでなく、彼があまりにも生き生きしていて輝いているので引き込まれた。しかも、化粧をして髪を揺らす姿や、歌う間にときどき放心したような表情で口を少し開けているのがとても女っぽくて色っぽい。

そこから始まって、彼の最近の活動を調べることになった。彼ははっきりと記者会見で語っている。
「ロックの曲「限界突破xサバイバー」を歌うようになって、自分を秘めるんじゃなくて、全部解き放ったほうがいいんだーって。それが自分らしさというか…。いろんなことを気にしすぎて、自分の中に持っているものを全部閉ざしていたような気がして…」

20年間も演歌という枠の中で自分を抑えて生きてきた。芸能界だから、浮き沈みが激しい。だからちょっとしたことでも下手に噂されると、演歌界のプリンスというイメージに傷をつけることになり、下手をすると芸能界でやっていけなくなるかもしれないという不安はあっただろう。性的少数派であることが自分の歌手生命に及ぼすかもしれない懸念も相まって彼はかなり自分を縛って抑えて生きてきたのだと思う。真面目な性格のようだし、この20年間は苦しいながらも地道に歌手としての経験を積み重ねてきたようだ。たくさんの賞をもらっているし、紅白にも19回続けて出ているらしい。演歌の大御所の道を歩んでいたんだと思う。

が、数年前に「限界突破」の曲に出会う。ロックは前からやりたかったらしい。そして、この曲を歌う中で彼に大きな変化が生じた。歌うことは本当に好きらしいから演歌歌手という枠の中でなんとかやってこれたのだろうが、もっと自分のいろんな面を表現できるチャンスを探して苦しんでいたようだ。この曲が彼に火をつけた。曲名の通り、彼はこの曲を歌うことで自分自身の限界突破をすることになった。彼にとっては覚醒の曲だ。去年の後半ぐらいからデビュー20周年ということもあって、もう自分らしさを前面に出して生きていこうと決意したらしい。その気持ちを一番はっきりと伝えているのがこの曲「確信」だ。以下が歌詞。

手のひらからさらさらと
こぼれ落ちる砂のよう
時が経つのはそんな感じで

新時代は幕を開けて
胸に灯る熱い想い
わずかな光追いかけてつかみたい

間違いなんて恐れるな
やってみなきゃわからないさ
感じるままに思い切り

明日が来ないとしたら?
今日が最後だとしたら?
Yeah Yeah Yeah悔やまぬように
今しかできないこと
今すぐ踏み出していこう
Yeah Yeah Yeah 自分信じて輝く夢を Get it Get it Get it

曲の中で、歌詞の持つ強いメッセージとともに、かなり過激で挑発的な彼自身のモノクロ写真を入れている。この曲のMVは全て氷川さん自身が演出、制作、監督、編集したもので、彼が、自分のメッセージを伝えるのにそうするのが一番手っ取り早いと思ったので、と語っている。

「間違いなんて恐れるな」という歌詞とともにこの2枚の写真が入る。

画像1

画像2

どきっとする。えらくセクシーだし、女っぽくエロい。あの演歌を20年やってた氷川きよしが、こんなことして大丈夫?とこっちが心配になる。確かに間違いなんて恐れてはいない、と納得。

「やってみなきゃわからないさ」でこの2枚

画像3

画像4

女の色気全開。本当にやってみなきゃわからない、と勝負をかけて来ている。

「感じるままに」

画像5

まじかよ!こんな線まで超えちゃっていいの?と私がビビる。

でも彼は20年も耐えて来た。自分を抑え込んで来た。もう今までのように生きていられないのだ。
「明日が来ないとしたら?
 今日が最後だとしたら?
 Yeah Yeah Yeah悔やまぬように
 今しかできないこと
 今すぐ踏み出していこう」
その通り、彼は今しかできないことを自信を持ってやり出した。

「自分信じて輝く夢を Get it Get it Get it」

画像6

最後に正面から真顔の鋭い目つきで「夢を手に入れろ!」と迫ってくる。

はっきり言って、ここまでは芸能リポーターのような内容の文章を書いていると自分でも思う。この数日で彼のファンになったことも否めない。

しかし、彼の覚醒、限界突破は私にかなり衝撃を与えた。20年間も演歌歌手をしていて、多分ファン層は高齢者が多かったと思う。かなりのリスクの高い行動に出た。ありのままの彼は多分ゲイかXジェンダーかトランスか、それは本人に聞かないとわからないけど、いわゆる女性的な部分をかなりたくさん持っている。今までの演歌の氷川きよしとは対極のイメージだ。しかもそれをかなり性的に表現している。歌手生命をかけて彼は自分を解放し、ありのままの自分を生きることを選んだのだ。確信と覚悟をもって。

YouTubeのコメント欄を見ると、新しいファンがかなり増えているようだ。大きなリスクを負ってまで自分らしさを生きようとする姿は多くの人に感動を与えている。そして彼は、その生き方そのものを通して、「あなたもこんなふうにもっと自由に生きられますよ。そしてこうやって生きると本当に楽だし、輝ける。」と言っていると思う。それだけでなく、この「確信」の歌詞のメッセージが彼の一番言いたいことだろう。「明日はないかもしれない。今すぐできることを、怖がらずに、間違ってもいいから、一歩を踏み出せ」と。

彼は革命家ではないかとさえ思う。その勇気ある行動と熱いメッセージ。特にXジェンダーである私には彼の行動、特にセクシャルな面をここまで大胆に出されると、すごく挑戦されている気になる。「もう自分を隠して生きている場合じゃないよ。もっと自分を解放して自由に生きていいよ」と。

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