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グリッドマンユニバース

ネタバレ大いにあり。
映画の感想の前にまず自分のSSSSシリーズとの距離を語っておきたい。自分は珍しい方であると思うが、ダイナゼノンの方を先にリアルタイムで見ていた。ちょうどその頃からアニメを見るのにハマったこともあり、グリッドマンの方は見視聴、ダイナゼノンだけ知っている状態でつい最近まで過ごしてきた。
そして今回この映画の上映を知り、せっかくなので見に行くかと思いグリッドマンを見た、大体一か月前くらいのことだ。
2作を見た感想だと自分はダイナゼノンの方が好きだった。最初に見たからというのもあるかもしれないが、人間関係の部分がダイナゼノンの方が豊富にあった気がするのでそこで軍配が上がった感じだ。

そんなわけで一応両方のアニメは見ている状態で劇場へ赴いた。申し訳ないが原作である実写ドラマの方までは目を通せていない。
全体としての感想はアツいな、だった。とにかくアツい。
正直マルチバースがどうとか宇宙がどうとかの流れの意味は全くわかっていないが、ダイナゼノンとグリッドマンを楽しんだ人間に向けた映画としてはこちらが見たいものをすべて見せてくれた最高の出来になっていたと思う。
バトルシーンは豊富にあり、かといって尺を取りすぎていて見飽きるようなこともない。いや、尺は大量に取られていたが、映像と演出のおかげで常に白熱して見られたの方が正しいかもしれない。とにかく見せ場の連続で当たり前のように映像のクオリティが高く臨場感が凄い。クロスオーバー作品としてダイナレックスとグリッドマン、そしてグリッドナイトの共闘も最高にアツい。
インパーフェクトが流れたところで思わず叫びだしそうになり、そこからUNIONへの切り替えで再び叫びだしそうになり、そしてuni-verseが流れたところで圧倒されてしまいただ茫然としていた。あの3発の流れはダメだ、タイミングも完璧すぎた。

自分がこのシリーズに感じている魅力として、マクロとミクロの共存がある。絵面も派手で都会の街を舞台に壮大な戦闘シーンを見せるアクション部分と、等身大でリアルさにとにかくこだわって繊細に作られた学校生活の日常部分、これら二つがバランスよく互いを高めながら共存しているのがとても良い。
主人公と周囲の人たちの人間関係と、決してスケールが大きい話ではないただの人と人との関わり合いも手を抜かずしっかり描き、その過程に怪獣と巨大ロボの戦闘というスケールの大きな話を上手に絡めていく、この話の見せ方がとても好きだった。
学校内の背景映像にもかなり力が入っていたように見えたし、主人公たち学生組の口調や会話内容も、創作物では珍しいくらいにはリアルに寄せられていた。学校生活という、本人たちにしてみれば思考の大部分を占める重要な時間をちゃんと見せてくれるので、より一層戦闘シーンが映えるし、戦闘シーンが日常部分と重なる瞬間もたびたびあったりとこの二つの絡ませ方が本当に上手でそこがとても好きだった。

そしてそのバランスは今回の劇場版でもとても良かったと思う。
とても印象に残っている戦闘シーンに劣らないかもはやそれ以上に日常パートがすごく良かった。

文化祭を控えた校内のどこか全体的に浮ついた感じとか、準備のため遅くまで学校に残ってみんなで作業をする感じとか、みんなの輪の中から突然二人だけの時間が生まれるあの緊張感とか、あの短い上映時間の中にこれでもかと裕太くんたちの高校生活が詰まっていて、そこに蓬くん夢芽ちゃんまで絡んでくるんだから素晴らしいものになることは確定していたようなものだ。
二人で買い出しに行くシーンのブランコあたりが特にやばかった。自分も裕太くんと同じくらい胸がドキドキしてた。あの夏の夜の感じよ、無い記憶が刺激されまくっている。

夢芽ちゃんと蓬くんの浮かれカップルもめちゃくちゃ良かったな。多分夢芽ちゃんはどこかもわからない世界線に飛ばされたことへの恐怖よりも、彼氏との異世界線旅行を楽しむ気持ちの方が大きかったんじゃないかと思う。全体的にあの子だけ緊張感がなさ過ぎて良かった。1話の時のあのクールな感じはどこに行ってしまったのだろうか。
あの二人、他にも裕太六花をこづいたりしてたし、夢芽ちゃんが蓬くんをお姫様だっこしていたりとにかくひたすら幸せそうで良い。ラストシーンの蓬くんの疑似プロポーズで見たことないくらい顔赤くしてる夢芽ちゃんもめちゃくちゃ良かったな。

ダイナゼノン組だとガウマさんと蓬くんの再会がまた良い。
ずっと会いたかった気持ちはありつついざ目の前にするとお互いに言葉が出てこないあの感じ。言葉を発するごとに感極まっていく蓬くんとかもすごく良かった。ラストでそれぞれのいるべき場所へ帰っていくシーンのちゃんとお別れできますねという言葉がまた良い。互いが納得できる形で綺麗に終わりを迎えられることの大切さを言葉にしてここに放り込んでくるかと。
一度納得のいかない別離を経たからこそ出るセリフだと思うし、これを蓬くんが言ってくれるのがとても良かった。ただ浮かれてただけじゃないんだ。彼女とファミレスで隣り合わせに座りながら延々と痴話喧嘩してたけど。


そして裕太告白シーン。
もうこの映画はここのためにあったと言っていいんじゃないか、それくらいのシーンだと思う。
ダイナゼノン側ではアニメシリーズで描き切れなかった別れを劇場版で描き、グリッドマン側ではアニメシリーズで描き切れなかった裕太六花の関係性のゴールを描いているこの対比がまた良い。
遅かったというマイナスに取られがちな返事の意味がこの二人のこれまでを知っている人間には全く変わった刺さり方をするのが見事。
静かな二人の裏にはまだ学園祭の喧騒があり、この二人の空間だけが世界から切り離されたような、そんな静けさが本当に最高だった。自分が劇場に行ったのは公開からしばらく時間が経っていた頃だったため貰った特典はとあるイラストカードだったのだが、これが手元にあるかないかでこの告白シーンの染み方が変わってくる気がして、とてもいいものを貰ったと思う。
ただ欲を言うならボイスドラマもゲットしたかった……

戦闘シーンも学校シーンも素晴らしく全体的にもとても面白い映画でした。見に行って良かった。ダイナゼノンを見返したい。


以下小ネタ。

●ラストのラストを普通で締めたのは、ガウマさんとの別れがあっても二人の関係も生活も変わらず続いていくよということなのかなと思ったりした。ガウマさんのあの再会シーンから流れ流れて託された蟹と、映画内でもかなり重要なバトンとして描かれてきたそれを普通と評し映画は終わる。
幕引きを綺麗に迎えられたからこそ別れを特別視しすぎていない感じがして良い。あと夢芽ちゃんが麻中家でリラックスしまくっている感じもあってそれもまた良い。

●ダイナゼノンの眼鏡のお姉さんと2代目がグリッドマンの合羽着た女の子とアンチ君であることに劇場で初めて気づいたのでめちゃめちゃ驚いた。多分普通に見ている人にはわかりきっていたことなのだろうが、なぜかあの時初めて気づいた。

●アレクシスがこちら側に付く展開の中でもアレクシスのらしさは損なわれていなかったのが良かった。なんか面白そうだからでこっちについてそうな感じが良い。

●主題歌のuni-verse、馬鹿話に花咲かせて笑い転げてユニバースってのが凄く良い。映画で描かれていた壮大で果てしない宇宙があり、そして学校という宇宙と比べてしまえば遥かに狭い場所にも僕らの宇宙はあるんだよと、そう言っている気がして良い。
uni-verseで言うとCメロからラスサビに向かうところもすごく良い。オーイシさんは凄い。

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