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719日目 小悪魔LOVE♡

2023年 10月 23日 (月)

●小悪魔LOVE♡、見ました。


まず言っておきたいのは自分がこの曲をかなり好んでいることだ。特にサビに入る前あたりがかなり良い、いい意味で自分が想像していた曲の展開を裏切ってくれた。

そしてまあインパクトのすごい曲だったな、と言う感想はやはり抱いてしまうだろう。他ならぬあの桜坂さんがこの曲を歌っているのだ、彼女のことを知っていればいるほど衝撃は大きくなる。
しかし決してキャラ崩壊には見えないからこの曲は、というか桜坂しずくは凄い。演技を武器にしている彼女だからこそのこのキャピキャピなのだ。まあそれを差し引いても初見のインパクトは今でも忘れられないくらいに鮮烈であったが。

この曲、聴いていると至る所に同好会メンバーの顔が浮かんでくるのが面白かった。自分の作るラブソング像が見えなかった彼女が、どんなタイプであれ相手の好みに完璧に成り切ってみせるという意志を固めたとき、多様な個性のサンプルとして同好会メンバー以上に適した人たちは早々見つからないだろう。
まずは言わずと知れたぶりっ子日本代表たるかすみん。あざといなんて誉め言葉という歌詞は言わずもがな、その他にも相手に好かれるための努力を惜しまない姿勢とこの曲のコンセプトとも言える可愛さを前面に押し出した感じは、間違いなくかすみんからの影響を受けていると思う。
そしてせつ菜ちゃん。この曲を聴いてまずよぎったのがヤダ!だった。普段は見せない一面を見られるギャップ、という共通点もあるが、それよりも思ったのは好意を隠さずまっすぐ伝える姿勢の方だ。素の自分を拒絶されるのが怖くて、演技で自分の心の内を隠そうとしたしずくちゃんが、ここまで好意を前面に押し出して大好きを伝えている様は、とてもせつ菜ちゃんと被る気がするのだ。
そして歩夢ちゃん。これは別にヤンデレと言うワードに反応したわけではない。もちろんよそ見ウワキ許さないというところに歩夢ちゃんの要素を覚えなかったのかと言われたらそれは否なのだが、より歩夢ちゃん成分が出ていると思ったのは、2番のAメロあたりの歌詞だ。誰にだって優しい君の優しさに惹かれるところはありつつも、しかしその優しさを嫌だとも思ってしまう、このもどかしさがとても歩夢ちゃんを思い出すのだ。その後に出てくる相手の好みを知ろうとする、相手の情報を知ろうとする姿勢もとても歩夢ちゃんであり、歩夢ちゃん要素も多分に感じることができる。
他にも、ライバルに負けたくない、私だけ独り勝ちという部分には愛さんや果林さんの負けず嫌いな感じが出ていると思うし、全体的に相手にも求める部分が多い感じも、彼方さんのワガママさやエマさんの意外と芯が通った自分を曲げない感じが出ていると思う。

そして何より、これらの要素がすべて純然たる借り物で終わっていないのがとても良い。
良く思っている相手には無意識に尽くそうとしてしまう感じも、好きなもの、お芝居の話になると少し暴走してしまう感じも、同級生相手には意外と負けず嫌いで自分本位な面を見せる感じも、すべてしずくちゃんは持ち合わせているのだ。だからこそ、そんな彼女がこの曲を歌っているからこそ、この曲は自分にとって魅力的に聞こえるんだと思う。

他人に悪く思われないためと、マイナスなところから始まっていた演技という彼女の自分を守るための武器が、相手の好みに近づくための強力な攻めの武器となって、彼女自身もそれに誇りを持って一つの曲を作り上げるまでに至っているのが本当に良い。
相手に好かれるために演技を辞めて本音を見せるわけでもない、そしてただ相手の好みに合わせて完璧に演技を貫き通すわけでもない、君のために演技をしているこんな私の一途な想いを受け取ってねと、演技だけじゃない自然体だけじゃない、そのどちらもを併せ持った私桜坂しずくを受け入れてねというこの着地点が素晴らしい。
以前のしずくちゃんであったらここまでのことを言ってしまうことを躊躇いもしたはずだろうが、しかし今の彼女にはどれだけ否定されようと確かに自分を肯定してくれる、大好きだと言ってくれる同学年の友達がいるのだ。
その友達から学んだ自分の可愛さに自信を持ってそれをさらけ出すことを恐れない姿勢があったからこそ、この曲は生まれたのかなと、そうであったら嬉しいなと思う。


あと前田さんは凄い。自分はかなりの頻度で前田さんが喋っている様子を見聴きしているのだが、それでも曲の中で前田さんを感じる場面はとても少なかった。
頑張って可愛い私を演じるしずくちゃんの一生懸命さを、あそこまで自分を出さず聴かせてくれる前田さんは凄い。
前田さんもいい意味でとても柔軟な人だと思うので、そういう部分がしずくちゃんと似通っていて、彼女がしずくちゃんを演じてくれていることがとてもありがたいなと、改めて思うことができた。

いい曲、いいリリックビデオでした。


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