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83日目 アイの歌声を聴かせて

2022年 1月 25日 (火)

●便を出しに京都に行った。問題は何時に家を出るかだった。正直最近京都に行ったばかりで、今月はもうそこまで金を使いたくなかったので、便を出すついでに京都で遊ぼうとは言っても、大したことはできなさそうだった。
それなら別に便を出すだけ出したらすぐ帰って来ればいいじゃん。
そんなことを言ってくる奴も今までたくさんいた。
しかしそんなもったいないことはどうしても出来なかった。
マンガの一気買いに2万もはたいた奴が言っても何の説得力もないのは理解した上で言うが、京都まで行って帰って来るだけの交通費はかなり手痛い出費だ。
バイトの用事のくせに今日の分の交通費をバイト先は出してくれないので、どうせそこで金を払うくらいだったら遊んでくるくらいのことはやっておかないと、死んだあと地獄に落ちてしまう。

何か京都でそこまで金を払わずに今自分が求めているものにがっちりハマる施設があるだろうか。そう思いグーグルマップを眺めているが、そんな都合のいいものはなかなかなかった。
そこで思いついたのが、つい先日訪れた出町座だった。

なにかよさげな映画は無いか、自分は実写の映画をそこまで嗜まないので、アニメ映画を探すと、一件ヒットした。
それが今日見に行った、アイの歌声を聴かせてだった。

かなり評価が高い映画だというのは知っていて、ただ予告を見た感じありきたりな青春映画だなぁくらいにしか思えなかったので、いつか機会があったら見に行こうと思っていたのだが、どうやら明後日で上映が終了してしまうという。この機会を逃したらもう劇場でアイの歌声を聴かせてを見ることは二度とできないんだなと思うと、自然と今日の予定は決まっていた。

ただ出町座は一日の上映数が少なく、アイの歌声を聴かせてはかなり夜遅めの20:50の上映しかやっていなかった。
これを目標に行くとなると昼から京都に行ったところで時間が潰せずに退屈してしまうのが目に見えていたので、家を出たのは午後6時だった。
せっかくだし晩ごはんも京都で食べようと思った。

●京都に着いた。まずは第一目標を達成するところからだ。バイト先まで歩いて便を提出した。
ただ便の提出場所が、従業員玄関みたいなところで、カードキーが無くても誰でも入れる場所だったので、度胸さえあれば誰でもあそこに便を提出できるんだよな……と思うと怖くなってしまった。
誰かがここに爆弾とかを入れたらどうなるだろうか。
そう、便飛散だ。

怖すぎる。

●その後は地下鉄で四条まで行って、四条河原町まで歩きつつ、途中で良さげな店があったら入ろうと決めていた。
今日の気分は居酒屋だった。地元のおっさんとかしかいない居酒屋で酒を飲まずにご飯だけ食べるってなんかかっこよくない?
ただそういう自分が求めている店は、どれも敷居が高そうだった。
途中途中でいくつもよさげな居酒屋はたくさん見つけられたが、そのどれもが入店を躊躇うような店構えのものばかりだった。
これだけ自分は居酒屋を求めているのに、近づこうとしたら距離を取ろうとしてしまう、これがハリネズミのジレンマか。

結局比較的入りやすそうな居酒屋に入った。自分は逃げたのだ。

ただすごくいい店だったので後悔はしていない。
でも外食って贅沢やね。だいぶ金が飛んでった。

まず寿司。居酒屋にしては安かったけどおいしかった。ぶりとマグロだった気がする。

なめろう。漬物が入っていたらしい。オモコロでナタデココの舐め郎作ってたのを思い出して頼んでしまった。

天ぷら。この店は天ぷらの店だったんだけど、あまりに天ぷらの種類が多すぎておすすめ5種盛りを頼んでしまった。ただそのあとメニューを眺めていたら別々に頼んだ方が安く済んだような気がした。まあ今更グチグチ言ってもしょうがない。
どれも美味しかったし、きのこの天ぷら(そこそこデカい)があったんだけど、普通においしく食べられた。やっぱり平気になってきてるなキノコ。

ほっけ。美味しかったけど大根おろしがもっと欲しかった。

この後、雪見だいふくの天ぷらとやらが気になったので頼んでみた。
普通に天ぷらの衣と雪見だいふくを食べただけだった。マリアージュみたいなものはない。(個人の感想)

なんとか3500円以内で抑えたかった(映画代が1500円くらいするので今日使う金を5000円に留めておきたかったため)が、お通し代を計算に入れておらず、3500円を超えてしまった。無念。

●アイの歌声を聴かせて見ました。学生料金で1000円だった。これで今日の出費は5000円以内に抑えられたわけだが、同時に、前回出町座を訪れたときに学生料金の存在を知らないまま一般料金を払っていたんじゃないかという不安が湧いてきた。
過去を振り返るのは辞めよう、今は映画を見に来ているんだ。

不安な気持ちは振り払って、地下のシアターに降りた。

●お客さんは前回同様自分のほかに3人ほどしかいなかった。これだよこれ。

アイの歌声を聴かせて。面白かった。
予告を見た時点で不安だった、土屋太鳳氏の演技問題。
芸能人の声優と言うことで、予告を見た段階ではかなり気になってしまった。しょうがないことではあるし、そこには目を瞑るかと思っていたのだが、ポンコツAIと言う設定に、土屋太鳳氏の演技はかなり、というかぴったりハマっていたと思う。普通の声優さんではここまでマッチしなかったんじゃないだろうか、AIの独特な喋り方みたいなものに説得力を持たせていてすごくよかった。

あとヒロインの声も一応俳優の福原遥氏だったんだけど、この人は凄い。
全く気にならない。本職の声優さんにも劣らないほど自然で、なんならこのキャラ声可愛いな、声優さん誰だろと気になって、エンドロールで驚かされたくらいだ。
かぐや様にも出てたな。

ストーリーが凄くよかった。と言うか好き。良いし好き。
序盤から中盤にかけては主人公のAIにヒロインが振り回されるシーンがたくさん見られて面白かった。ダイジェスト形式で短い時間でヒロインたちの積み重ねた時間を見られるのは結構好きだ。あと「ポンコツAIが、己の正体がバレないように学校生活を過ごさなければいけない」というお題のもとで、どのようなハプニングや事件が起きるのか、の色々なシーンが見られるのが凄くよかった。
プールの時間に尋常じゃないほど長い時間潜水していたり、飛んできたボールをノールックでキャッチしてみたり、クラスメイトの名前をすぐに全部暗記していたり、学校生活の中にうまいことAIを落とし込めているのが、見ていて楽しかった。

AIを題材に物語を作ろうとすると、どうしてもAIの残酷さとか冷徹さとかが強調して描かれがちだと思うが、この作品はそれがあまりなく、とにかく明るさに振り切った主人公AIが時々見せる、ほんの少しの機械的な部分でそういう残酷さみたいなものを見せるのが上手だった。
皆で盛り上がっているシーンのあとに、急に落ち着いたAIの口調で喋りだす所とか特に印象的だった。
緩急をうまく使ってるっていう評価って今までぴんと来てなかったけど、こういうことかとわかった気がする。

そんな日常シーンを見せた後、最後にぶつかる大きな困難に立ち向かう時に、日常パートで散らされていた様々な要素が生きてくるのも良い。
この映画はたぶん2回見るとより楽しめるやつだと思う。


やはり世間の評価は信用できる。本当に面白かった。わかりやすいのが凄くよかったと思う。複雑で考察とかがたくさんされている作品もいいが、やはりわかりやすさは大事だ。
面白いのもかなりあるが、それよりなにより、かなり好きだと思える映画だった。

展開に無駄が無いし、絵ももちろん綺麗だし、一つの映画としての完成度がかなり高かったと思う。
最近面白い映画だなと思う映画はたくさん見て来たけど、それに加えてここまで好きだなぁと思ったものはかなり珍しい。

DVD買うかもな、すごく好きな映画だった。最高。

あと出町座も最高。一か月後には会員になっている気がしてならない。

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