【大学入試の数学ⅠAⅡBの要点】
とある生徒に「数学のまとめプリント的なやつはないですか?」と言われたときにザックリと打ったやつです.ちょっとしたチェックにどうぞ.
※ 所々でベクトル(厳密には数学Cの範囲)を用いて解説をしていますが,「ベクトル (a, b) 」とは要は「 xy 平面において,x 軸の正方向に a,y 軸正方向に b だけ移動する」という点の移動量のことだと考えておけば良いです.
※ 統計的な推測の範囲はありません.
・展開 → 「各因数から抜き出した単項式どうしの積」をすべての抜き出し方について加える.
・因数分解は展開の逆演算であり,
① 共通因数を括り出す
② 次数の低い文字について整理する
という下処理をしてから逆算を考えると考えやすい.
・$${ x^{3} + y^{3} + z^{3} - 3 x y z = \left( x + y + z \right) \left( x^{2} + y^{2} + z^{2} - x y - y z - z x \right) }$$
という展開・因数分解公式は忘れやすいので注意.
《高レベル》更に$${ ( x + y + z )( x + \omega y + \omega^{2} z )( x + \omega² y + \omega z ) }$$(ただし,$${ \omega }$$は$${ 1 }$$の虚立方根の一つ)と因数分解できることまで覚えておくと,因数定理が使いにくい 3 次方程式(例えば$${ x³−3x+1 = 0 }$$など)のゴリ押しも可能になる.
・$${\displaystyle \frac{x}{\, y + \sqrt{\, a \,} \,} }$$の有理化は分母分子に$${ \left( y - \sqrt{\, a \,} \right) }$$を掛ける.
特に分母が$${ \sqrt{\, a \,} + \sqrt{\, b \,} + \sqrt{\, c \,} }$$(ただし,$${ a = b + c }$$)のようになっている場合は$${ y = \sqrt{\, b \,} + \sqrt{\, c \,} }$$というカタマリにして上の手順を実行すると,他の組合せより圧倒的に楽.
・二重根号は$${ \sqrt{\, X^{2} \,} = | X | }$$を用いて外す:
$${\displaystyle \sqrt{\, a + b \pm 2 \sqrt{\, ab \,} \,} = \sqrt{\, \left( \sqrt{\, a \,} \pm \sqrt{\, b \,} \right) ^{2} \,} = | \sqrt{\, a \,} \pm \sqrt{\, b \,} | . }$$(複号同順)
・$${\displaystyle \frac{x}{a} = \frac{y}{b} = \frac{z}{c} }$$のような式(比例式)は$${\displaystyle \frac{x}{a} = \frac{y}{b} = \frac{z}{c} = k }$$とおいて考えると楽になることが多い.
・点 (x₀, y₀) を通る傾き m の直線の方程式は,y−y₀=m(x−x₀) である.
これは,傾き m の直線 y=mx+? が点 (x₀, y₀) を通るように定数項?を逆算したり,(y−y₀)/(x−x₀)=m と傾きの意味合いから考えたりすることで得られる.
・公差が d の等差数列は,点 (n, aₙ) が傾き d の直線上に並び,一般項は好きな通過点 (k, aₖ) の値を用いて aₙ−aₖ=d(n−k) で求まる.
これが成り立つ理由は,上の直線の方程式が成り立つ理由と全く同様.
・等差数列の和 S は平均値 (=S/[個数]) から求めると良い.等差数列に限っては,
$$
平均値 = 中央値 = \frac{[初項]+[末項]}{2}
$$
と簡単に求まるため,
$$
S = \frac{[初項]+[末項]}{2} ×[個数]
$$
で簡単に求められる.
・Σ( 1 次式) は等差数列の和なので,公式:$${\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k = \frac{\, 1 \,}{\, 2 \,} n \left( n + 1 \right) }$$の利用よりも,上の「平均値×個数」で求めた方が速い.
・公比が r の等比数列の和 S は,r ≠ 1 のときは S−rS=[初項]−[末項]・r より求める.
[等差]×[等比]の和も S−rS を考えることで等比数列の和に帰着できる.
・Σ の基本:
① まずは素朴に書き出す(規則性が怪しい場合は帰納法で示す).
② 書き出してみても微妙なら,Σ の中身を$${ f(k) - f(k-1) }$$の形に(半ばムリヤリ)変形する.(部分分数分解など)
③ 二項係数$${ {}_{n}{\rm C}_{k} }$$絡みの和は,二項係数$${ {}_{n}{\rm C}_{k} }$$の母関数$${ \left( 1 + x \right)^{n} }$$の利用(二項定理の利用)も視野に入れる.
・$${\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k^{2} = \frac{\, 1 \,}{\, 6 \,} n \left( n + 1 \right) \left( 2 n + 1 \right) }$$
なぜなら,$${\displaystyle k^{2} = \frac{\, 1 \,}{\, 6 \,} k \left( k + 1 \right) \left( 2 k + 1 \right) - \frac{\, 1 \,}{\, 6 \,} \left( k - 1 \right) k \left( 2 k - 1 \right) }$$という恒等式が成り立つため.
・$${\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k^{3} = \left\{ \frac{\, 1 \,}{\, 2 \,} n \left( n + 1 \right) \right\}^{2} }$$
なぜなら,$${\displaystyle k^{3} = \left\{ \frac{\, 1 \,}{\, 2 \,} k \left( k + 1 \right) \right\}^{2} - \left\{ \frac{\, 1 \,}{\, 2 \,} \left( k - 1 \right) k \right\}^{2} }$$という恒等式が成り立つため.
・漸化式の基本:
① まずは素朴に書き出す(規則性が怪しい場合は帰納法で示す).
② 書き出してみても微妙なら,漸化式を階比型:a(n+1)=r(n)*a(n) に(半ばムリヤリ)変形する(多くの場合は r(n) を定数 r とした等比型:a(n+1)=r*a(n) に帰着できる).
③ 一次分数型:a(n+1)=(p*a(n)+q)/(u*a(n)+v) は例外的で,まず逆数型 b(n+1)=s*b(n)/(u*b(n)+t) に(半ばムリヤリ)変形する.(この s が 2 通り取れるならやはり等比型に帰着すると楽.)
※ここで用いている「~型」というのはこの記事だけで使っているローカルルール.
・群数列は,第 k 群の末項が
第 [第 k 群までの各群の項数の和] 項
になっていることに着目する.
・p 個の A,q 個の B,r 個の C をすべて横一列に並べて (p+q+r) 桁の文字列を作るとき,作られる文字列は全部で (p+q+r)!/{p!・q!・r!} 通りある.
・異なる$${ n }$$個のモノから$${ k }$$個のモノを取り出すときの取り出し方の総数$${ {}_{n}{\rm C}_{k} }$$に対して,
$${\displaystyle {}_{n}{\rm C}_{k} = \frac{\, {}_{n}{\rm P}_{k} \,}{\, k! \,} }$$ (普段の$${ {}_{n}{\rm C}_{k} }$$の計算に使うやつ)
および
$${\displaystyle {}_{n}{\rm C}_{k} = \frac{\, n! \,}{\, k! \cdot \left( n - k \right)! \,} }$$
が成り立つ.
上は「$${ k }$$個を一列に並べてから,並べるのをやめる」考えると,下は「$${ k }$$個の 〇 と$${ (n - k) }$$個の ✕ を$${ n }$$個のモノに一つずつ対応づけたときの 〇, ✕ の並び順と$${ 1 : 1 }$$に対応する」と考えると確かに成り立つ.
・初等幾何は,有効な補助線の引き方を学ぶことが重要で,より具体的には
① 二等辺三角形(や正多角形などの特別な図形)を作る
② 相似な図形を作る
③ 合同な図形を作る(特に,二等辺三角形を垂線で二等分するなど,合同な直角三角形を作ることが多い)
の 3 パターンに分類されることが多い.
・特に円が絡んだ場合は
⑴ 円の中心と円周上の点を結ぶ(→ ①)
⑵ 円周上の点どうしを結ぶ(→ ②, 円周角の定理や方べきの定理など)
⑶ 円の中心から弦に垂線を下ろすと,それは弦の垂直二等分線になる(∵ ①, ③)
⑷ 複数の円 → 円の中心どうしを結ぶ
といった補助線がよく登場する.
・△ABC に対して,内角 A (または,角 A の外角) の二等分線と直線 BC との交点を D とすると,BD:DC=AB:AC が成り立つ.
・内心 I は内接円の中心 → 各角の二等分線たちの交点.
・内接円の半径は S=r・(a+b+c)/2 との繋がりがある.
・外心 O は外接円の中心 → OA=OB=OC=R → 各辺の垂直二等分線たちの交点.
・外接円の半径は正弦定理との繋がりがある.
・重心 G は中線たちの交点 → 重心は(頂点から対辺の中点に向かって)中線を 2:1 に内分する.
・円周角の定理と「円に内接する四角形の対角の和は 180°」と接弦定理は,全部をまとめて「円周角の定理」と呼びたいほど同じ.
・方べきの定理は「円周 C と C 上に無い点 P に対して,C と共有点をもつように P から引いた直線 ℓ と C との2つの共有点を A, B としたとき,直線 ℓ をどのように引いても( ℓ と C との2つの共有点 A, B をどのようにとっても)
PA×PB=(一定)
が成り立つ」という定理だと覚えておく.
証明も重要(相似を見抜く).
・メネラウスの定理を覚えるよりも先に相似が見抜けるようにすること.
・チェバの定理・メネラウスの定理や接弦定理,方べきの定理は忘れやすいので要注意.
・ベクトル (a, b) を偏角 +90° だけ回転させたベクトルは (−b, a) である.
これは図から簡単に示されるが,敢えて複素平面で (a+bi)×(cos(π/2)+isin(π/2))=(a+bi)×i=−b+ai
と眺めても忘れにくくなって良い.
また,確かに内積も 0 である:(a, b)・(−b, a)=0.
・直線 ax+by+c=0 の法線ベクトル(の1つ)は (a, b) である.
なぜなら,この直線の方向ベクトル(の1つ)は (b, −a) なので,それを +90° だけ回転させた (a, b) が法線ベクトル(の1つ)となる.内積を用いても理解できる.
・空間でも同様に,平面 ax+by+cz+d=0 の法線ベクトル(の1つ)は (a, b, c) である.
これの証明は流石に内積で理解した方がシンプルか.
・曲線 C:f(x, y)=0 をベクトル (p, q) だけ平行移動させた曲線 D の方程式は f(x−p, y−q)=0 である.
なぜなら,点 (x, y) が D 上にあるということは,平行移動をする前の点 (x−p, y−q) が C 上にあるということ,すなわち f(x−p, y−q)=0 を満たすことと同値だから.
・【再掲】点 (p, q) を通る傾き m の直線の方程式は,y−q=m(x−p) である.
これは原点を通る傾き m の直線 y=mx をベクトル (p, q) だけ平行移動させて《も》得られる.
・頂点が (p, q),軸の方程式が x=p である,凹み a の放物線の方程式は,y−q=a(x−p)² である(ただし,ここでは x² の係数のことを「凹み」と呼ぶローカルルールを適用している).
これは原点を頂点,y 軸を対称軸とする,凹み a の放物線 y=ax² をベクトル (p, q) だけ平行移動させて得られる.
・2 次関数のグラフの平行移動・対称移動は大抵は頂点の動きを追った方が速い.
・中心が (p, q),半径が r である円の方程式は(三平方の定理により)(x−p)²+(y−q)²=r² である.
・円 (x−p)²+(y−q)²=r² 上の点 (s, t) における接線の方程式は (s−p)(x−p)+(t−q)(y−q)=r² である.
なぜなら,この接線は,中心 C=(p, q) から接点 T=(s, t) に向かうベクトル CT⃗=(s−p, t−q) を法線ベクトルにもち,なおかつ接点 T=(s, t) を通らなければいけないからである(接点 T は円周上にあるので (s−p)²+(t−q)²=r² が成り立つ).
証明だけなら,内積を用いて,接線が {P|CT⃗・CP⃗=r×r} であることを考えると,よりシンプル.
・点 (a, b) から円 x²+y²=r² に 2 本の接線を引いたとき,その接点を 2 つとも通る直線(「極線」という)の方程式は ax+by=r² である.
なぜなら,その 2 つの接点を (s, t), (u, v) とおくと,その接線の方程式はそれぞれ sx+ty=r²,ux+vy=r² であり,どちらも点 (a, b) を通るので,それぞれ as+bt=r²,au+bv=r² が成り立ち,これは直線 ax+by=r² が 2 接点 (s, t), (u, v) をどちらも通ることを導くからである.
ちなみに,点 (a, b) が円の外側ではなく円周上にあるときは,極線は点 (a, b) を接点とする接線と一致する.
・中心が点$${C}$$,半径が$${r}$$の円と直線$${ax+by+c = 0}$$が接しているとき,接点を$${T}$$とおくと,$${ \overrightarrow{CT} \parallel \left( a,\ b \right) }$$より,
$$
\overrightarrow{CT} = \pm \frac{r}{\, \sqrt{ a^{2}+b^{2} } \,} \left( a,\ b \right)
$$
であるから,$${C = \left( p,\ q \right)}$$とするとき,接点$${T}$$の座標は
$$
\overrightarrow{OT} = \overrightarrow{OC} + \overrightarrow{CT} = \left( p,\ q \right) \pm \frac{r}{\, \sqrt{ a^{2}+b^{2} } \,} \left( a,\ b \right) \\
= \left(p \pm \frac{ra}{\, \sqrt{a^{2}+b^{2}} \,},\ q \pm \frac {rb}{\, \sqrt{a^{2}+b^{2}} \,} \right)
$$
と求まる.
・点$${P(p, q)}$$から直線 $${ l : ax+by+c = 0 }$$ に下ろした垂線の足を$${H}$$とすると,
$$
\overrightarrow{PH} = - \frac{ap+bq+c}{a²+b²} \left( a, b \right)
$$
である.
なぜなら,PH⃗ は法線ベクトル (a, b) と平行ゆえ,ある t (∈ ℝ) を用いて PH⃗=t(a, b) と表せるので,その t に対して H=(p+ta, q+tb) であり,H が ℓ 上にある条件:a(p+ta)+b(q+tb)+c=0 を解くと t=−(ap+bq+c)/(a²+b²) を得るからである.
これを覚えておくと,垂線の足 H の座標を問われたときもスムーズに求められる.
・点 (p, q) と直線 ax+by+c=0 の距離 d に対して,d=|ap+bq+c|/√{a²+b²} が成り立つ(∵ 上の P, H に対して d=|PH⃗| ).(ヘッセの公式)
・空間でも同様に,点 P(p, q, r) から平面 π:ax+by+cz+d=0 に下ろした垂線の足を H とすると,
PH⃗=−{(ap+bq+cr+d)/(a²+b²+c²)}*(a, b, c)
であり,
点 P と平面 π との距離は
|PH⃗|=|ap+bq+cr+d|/√{a²+b²+c²}
である.
・接点が不明な円の接線の方程式を求めるときは,ヘッセの公式を用いて d=r から接線の傾きを特定すると良い.
もしくは,円と極線の共有点を求めることで先に 2 接点の座標を求め,そこから接線の公式を使うと良い.
※「連立して判別式が 0 」とやると計算量が大きくなって計算ミスの温床になる.
・以上で見たように,座標平面の問題は,できるだけベクトルを用いると処理が楽になる.
・例えば n=2^{p}・3^{q}・5^{r} と素因数分解される自然数 n の正の約数の個数は (p+1)(q+1)(r+1) 個あり,n の正の約数の総和は (1+2+2²+ ⋯ +2^{p})・(1+3+3²+ ⋯ +3^{q})・(1+5+5²+ ⋯ +5^{r}) で求まる(後者は等比数列の和の公式を使って計算すると良い).
・n! がもつ素因数 p の個数は
⌊n/p⌋+⌊n/p²⌋+⌊n/p³⌋+⌊n/p⁴⌋+ ⋯
である.
・整数 a を,0 でない整数 b で割った商が q,余りが r であるとは,
a=b・q + r
(ただし 0 ≦ r < |b|)← 忘れがち!!
すなわち
a/b=q + r/b ⋯⋯ ①
(ただし 0 ≦ r < |b|)
が成り立つことと同値である.
・ユークリッドの互除法は,① において,
「 a と b を g で割ることによって a/b を約分できるような最大の自然数 g 」(すなわち g=gcd(a, b))
と,
「 r と b を g′ で割ることによって r/b を約分できるような最大の自然数 g′ 」(すなわち g′=gcd(r, b))
が一致するため,gcd(a, b) を求めることができる.
・a ≡ p (mod b) とは 「a を b で割った余り=p を b で割った余り」が成り立つことを表しており,割り算以外の四則演算(+, −, ×)は「=」と同様に行える.
また,「 a ≡ p (mod b) であること」と「ある整数 m を用いて a/b=m + p/b と表せること」は同値なので,割り算を行いたくなったときにはここに立ち返って考えると良い.
( p は余りそのものでなくても良いので,余りの条件 0 ≦ p < |b| は不要)
・多項式 f(x) を多項式 g(x) で割った商が Q(x),余りが R(x) であるとは,
f(x)=g(x)・Q(x) + R(x) ⋯⋯ ②
(ただし deg g(x) > deg R(x))← 忘れがち!
すなわち
f(x)/g(x)=Q(x) + R(x)/g(x)
(ただし deg R(x) < deg g(x))
が成り立つことと同値である.
・多項式バージョンのユークリッドの互除法も整数のときと同様に成り立つ.
・f(x) ≡ P(x) (mod g(x)) とは 「多項式 f(x) を多項式 g(x) で割った余り=多項式 P(x) を多項式 g(x) で割った余り」が成り立つことを表しており,取り扱い上の注意点は整数の合同式と同様である.
・剰余の定理は,② において,g(x) を 1 次式にしたバージョン:f(x) を 1 次式 x−a で割った余りは定数( −∞ 次式(=0) or 0 次式 )r ⇔ f(a)=r.
・因数定理は剰余の定理の r=0 バージョン:f(a)=0 ⇔ f(x) は x−a で割り切れる.
・n 次方程式は因数定理などを用いて因数分解して「 [積の形] ⪌ 0 」に持ち込むのが大原則.
・n 次不等式や分数式を含む不等式は通分や因数分解をすることによって「 [積 or 商の形] ⪌ 0 」へと同値変形し,符号のカワリバンコを考えるのが大原則.
・特に n=2 のとき,2 次方程式や 2 次不等式など,2 次関数絡みの問題は平方完成:
ax²+bx+c=a(x+b/(2a))²−a{b/(2a)}²+c
を行えば必ず解ける.
・解の配置は ① f の増減の仕方( f が 2 次関数なら,軸の位置)で場合分けして ② min f の符号 ③ max f の符号を考える(②, ③ について,min f や max f は,端点か極値点の y 座標).
※ 開区間に解を配置する問題もよくあるため,厳密には min f ではなく inf f を,max f ではなく sup f をそれぞれ考える.
・絶対値や √ を含む不等式は,先ずはグラフを利用して考えるのが楽.√ が付く場合は,特に横に倒れた放物線の一部 y=√{a(x−p)} や半円 y=√{r²−x²} に注意.
・例えば |2x−1| < x+2 などは折れ線 y=|2x−1| と直線 y=x+2 との上下関係を見るのが楽.
他にも |X|=max{X, −X} であることを利用して
|2x−1| < x+2 ⇔ max{2x−1, 1−2x} < x+2
⇔ 2x−1 < x+2 かつ 1−2x < x+2
⇔ x < 3 かつ −1 < 3x
⇔ −1/3 < x < 3
と解くことも可能.
また,|2x−1| > x+2 の場合は max{2x−1, 1−2x} > x+2
すなわち「2x−1 > x+2 または 1−2x > x+2」と同値変形することが可能.
一般に,
|X| < A ⇔ X < A かつ −X < A
⇔ −A < X < A
|X| > A ⇔ X > A または −X > A
⇔ X < −A または A < X
|X|=A ⇔ A ≧ 0 かつ X=±A
が成り立つ.
・根と係数の関係は覚えずに,根の定義である
x²+(b/a)x+(c/a)=(x−α)(x−β),
x³+(b/a)x²+(c/a)x+(d/a)=(x−α)(x−β)(x−γ)
といった恒等式をフル活用する.
・a ≧ 0 かつ b ≧ 0 に対して
a+b=(√a−√b)²+2√{ab} ≧ 2√{ab}
であるから,AM ≧ GM (相加平均(AM)と相乗平均(GM)の不等式):
(a+b)/2 ≧ √{ab} は成り立つ.
・内積 𝑎⃗・𝑏⃗ は 𝑎⃗ か 𝑏⃗ のどちらか一方をスクリーンにして「スクリーンの長さ×他方のベクトルの影の符号付き長さ」で求まる(ベクトルの影の符号付き長さ=(始点の座標を 0 にしたときの)終点の座標).
・𝑎⃗ と 𝑏⃗ のなす角を θ ( 0 ≦ θ ≦ π )とすると,𝑎⃗・𝑏⃗=|𝑎⃗|*|𝑏⃗|cos(θ) である.
・特に 𝑎⃗・𝑎⃗=|𝑎⃗|*|𝑎⃗|cos(0)=|𝑎⃗|² が成り立つ.内積は分配法則が成り立つため絶対値よりは扱いやすい.そのため「絶対値は 2 乗する」が原則.
・𝑎⃗=(p, q),𝑏⃗=(x, y) とすると,
𝑎⃗・𝑏⃗=px+qy
であり,(𝑎⃗・𝑏⃗)²= |𝑎⃗|²*|𝑏⃗|²*cos²(θ) より
(𝑎⃗・𝑏⃗)² ≦ |𝑎⃗|²*|𝑏⃗|²
すなわち
(px+qy)² ≦ (p²+q²)*(x²+y²) (コーシー・シュワルツの不等式)が成り立つ.
・【再掲】ベクトル (a, b) を偏角 +90° だけ回転させたベクトルは (−b, a) である.
・2 つのベクトル 𝑎⃗=(p, q),𝑏⃗=(x, y) が張る三角形の面積は,|(−q, p)・(x, y)|/2 という内積計算で求まる.
なぜなら,片方を +90° 回転させると,[内積]=[底辺]×[(符号付き)高さ] となるため.
・ベクトル (1, 0) を偏角 θ だけ回転させたベクトルを (cos(θ), sin(θ)) と書く(三角関数 cos, sin の単位円による定義).
・cos, sin の定義から,点 (cos(θ), sin(θ)) は単位円 x²+y²=1 上にあるから,cos²(θ)+sin²(θ)=1 が成り立つ.
・ベクトル (a, b) を偏角 θ だけ回転させたベクトルは
cos(θ)*(a, b) + sin(θ)*(−b, a)
である.これも図から簡単に示される.
※ 平面ベクトルの回転は複素平面でも代用できるが,空間ベクトルの回転は複素平面では代用できないため,空間ベクトルも回転できるように理屈を理解しておくべき.
・上のベクトルの θ 回転において,ベクトル (a, b) の偏角を φ とすると(絶対値は √{a²+b²} であることに注意すれば),
√{a²+b²}*(cos(θ+φ), sin(θ+φ))
=cos(θ)*(a, b) + sin(θ)*(−b, a)
が成り立つ(三角関数の合成).
・上の三角関数の合成において,特に (a, b) の絶対値を 1 にすると(つまり (a, b)=(cos(φ), sin(φ)) とおくと),
(cos(θ+φ), sin(θ+φ))
=cos(θ)*(cos(φ), sin(φ)) + sin(θ)*(−sin(φ), cos(φ))
が成り立つ(三角関数 cos, sin の加法定理).
(cos(θ)+i*sin(θ))*(cos(φ)+i*sin(φ)) を展開すると,実部が cos(θ+φ) に,虚部が sin(θ+φ) になることもセットで覚えておくと良い.
・cos(θ±φ) の加法定理を和差算することで
cos(θ−φ)+cos(θ+φ)=2cos(θ)cos(φ),
cos(θ−φ)−cos(θ+φ)=2sin(θ)sin(φ)
が得られる.同様にして,sin からは
sin(θ−φ)+sin(θ+φ)=2sin(θ)cos(φ)
(sin(θ+φ)−sin(θ−φ)=2cos(θ)sin(φ))
も得られる(積和の公式 ≒ 和積の公式).
・上の積和の公式において,φ=θ のときを考えると,上から順に
1+cos(2θ)=2cos²(θ),
1−cos(2θ)=−2sin²(θ),
sin(2θ)=2sin(θ)cos(θ)
を得る(倍角・半角の公式).
・加法定理を繰り返し用いて整理する or (cos(θ)+i*sin(θ))³ を展開して整理することで
cos(3θ)=−3cos(θ)+4cos³(θ),
sin(3θ)=3sin(θ)−4sin³(θ)
を得る(3倍角の公式).
・直線 y=ax+b と x 軸の正方向のなす偏角が θ であることと,a=tan(θ) は同値(三角関数 tan の定義).
・tan の定義を合わせると,原点 (0, 0) と点 (cos(θ), sin(θ)) を結ぶ直線の方程式は y=tan(θ)*x であるため,sin(θ)=tan(θ)*cos(θ) すなわち tan(θ)=sin(θ)/cos(θ) が成り立つ.
・これと cos, sin の加法定理を合わせると,tan の加法定理:tan(θ+φ)={tan(θ)+tan(φ)}/{1−tan(θ)・tan(φ)} を得る.
・2つの平面ベクトルのなす角を求める場合は,内積か tan の加法定理を使う.tan の加法定理を使った方が計算が楽になることが多い.
※ 空間ベクトルだと tan は使いにくいので内積で求めることが多い.外積が使えるなら tan([𝑎⃗ と 𝑏⃗ のなす角])=|𝑎⃗×𝑏⃗|/(𝑎⃗・𝑏⃗) でも求まるが ⋯ .
・三角関数の定義とベクトルの実数倍から,偏角 θ で長さが r のベクトルは r*(cos(θ), sin(θ)) であるから,原点 (0, 0) からの距離が r で偏角が θ である点の座標は (r*cos(θ), r*sin(θ)) である(原点を極,x 軸の正方向を始線としたときの極座標が〈r, θ〉となる点の直交座標は (r*cos(θ), r*sin(θ)) である).
・上の性質から,△ABC の面積 S は
S=(1/2)bcsin(A)=(1/2)casin(B)=(1/2)absin(C)
であることが分かり,両辺 abc/2 で割れば,
2S/(abc)=sin(A)/a=sin(B)/b=sin(C)/c(弱い正弦定理)
を得る.
△ABC の外接円の半径を R とすると,円周角の定理から [弦]=2Rsin([円周角]) が導かれるので,それを合わせると
abc/(2S)=a/sin(A)=b/sin(B)=c/sin(C)=2R(正弦定理)
が成り立つ.
・2 つのベクトル 𝑎⃗, 𝑏⃗ のなす角を θ とすると,内積は分配法則が成り立つので,
|𝑎⃗−𝑏⃗|²=|𝑎⃗|²−2𝑎⃗・𝑏⃗+|𝑏⃗|²
すなわち
|𝑎⃗−𝑏⃗|²=|𝑎⃗|²+|𝑏⃗|²−2|𝑎⃗|*|𝑏⃗|cos(θ)
が成り立つ(余弦定理).
・円に内接する四角形の性質については次の記事を参照(トレミーの定理の証明は,初等幾何的な証明までは深入りしなくても良い).
・空間図形は,情報量の多い平面で切って考える.対称面で切る,球の中心を通るように切るなど.
・四面体 OABC に対して,OA=OB=OC が成り立つ場合,四面体 OABC は,O を頂点,OA, OB, OC を母線,平面 ABC を底面とするような直円錐にピッタリ埋め込むことができ,点 O から平面 ABC に下ろした垂線の足を H とすると,H は △ABC の外接円の中心となる.
なぜなら,三平方の定理から HA=√{OA²−OH²}=√{OB²−OH²} (=HB) =√{OC²−OH²}=HC が成り立つからである.
・対数$${ \log_{a}(b) }$$の定義は$${ a^{\log_{a}(b)} = b }$$であり,これと指数法則からあらゆる対数法則が証明される.
・$${\displaystyle \log_{a}(M) + \log_{a}(N) = \log_{a}(MN) }$$
なぜなら,$${\displaystyle a^{ \log_{a}(M) + \log_{a}(N) } = a^{ \log_{a}(M) } \cdot a^{ \log_{a}(N) } = MN = a^{ \log_{a}(MN) } }$$であるから.
・同様に,$${\displaystyle \log_{a}(M) - \log_{a}(N) = \log_{a} \left( \frac{M}{N} \right) }$$
・$${\displaystyle \log_{a}(M^{r}) = r \cdot \log_{a}(M) }$$
なぜなら,$${\displaystyle a^{ \log_{a}(M^{r}) } = M^{r} = ( a^{ \log_{a}(M) } )^{r} = a^{ r \cdot \log_{a}(M) } }$$であるから.
・桁数を考える問題も,例えば$${ 2^{100} }$$の桁数なら,「十進法なのだから底を$${ 10 }$$に揃えよう!」と考えて,「$${ 2^{100} = \left( 10^{ \log_{10}(2) } \right)^{100} = 10^{100 \cdot \log_{10}(2) } ≒ 10^{100・0.3010} = 10^{30.10} }$$より,$${ 10^{30} < 2^{100} ≒ 10^{30.10} < 10^{31} }$$であるから,$${ 2^{100} }$$は$${ 31 }$$桁の自然数である」と解くと良い.
・$${ y = a^{x} \iff x = \log_{a}(y) }$$だから,$${ y = \log_{a}(x) }$$のグラフは$${ y = a^{x} }$$のグラフを直線$${ y = x}$$に関して対称移動したものになる.
・微分係数は接線の傾き:
x → t のとき {f(x)−f(t)}/(x−t) → f′(t)
h → 0 のとき {f(t+h)−f(t)}/h → f′(t)
・導関数 f′(x) は,x に t を入力すると微分係数 f′(t) を出力する関数.
・(xⁿ)′=nxⁿ⁻¹
・{(ax+b)ⁿ}′=n(ax+b)ⁿ⁻¹・a
・不定積分 ∫ f(x)dx は微分の逆演算:
∫ f(x)dx=F(x)+C.
∴ {∫ f(x)dx}′ ={F(x)+C}′=f(x).
ただし,F(x) は F′(x)=f(x) を満たすある関数( f(x) の原始関数).
・定積分 ∫ₐᵇ f(x)dx は,高さ f(x),微小幅 dx の極細な長方形の面積 f(x)dx を x=a から x=b まで連続的に足し上げたものであり,その値は F(b)−F(a) である.
・面積=∫_{左}^{右} (上−下) dx
(x=左 から x=右 までの,y=上 と y=下 によって挟まれた部分の面積)