深い海のデメニギス

太陽の光がかすかな海の
そのまた下の深い海
そこが僕のいるところ

僕、デメニギス
出目のニギスだよ

頭が透明なのは
わずかな光を感じるため

ここ深海では
仲間にもなかなか会えない
他の深海魚にもあまり会えないけど
友だちもいるよ

デ「やあ、ラブカくん」
ラ「やあ、デメニギスくん」
デ「久しぶり、どのくらい経ったっけ」
ラ「どのくらいだっけねぇ」
デ「何してたの?」
ラ「うふふ秘密、何してたの?」
デ「うふふ秘密」

暗い深海では時間もゆっくり
その時明るいライトが見えた

ラ「潜水艦だ」
デ「人間だね」
ラ「ずいぶん上だね」
デ「まだまだだね」
ラ「まだまだだねぇここまでは」

潜水艦は何かを捕まえた
リュウグウノツカイくんらしい

デ「捕まった」
ラ「ここには届かないよ」
デ「怖い?」
ラ「怖くないけど」
デ「人間の世界」
ラ「行ってもいいけど」
デ「あんなに上に行ったら僕たち」
ラ「そのまま天国に行っちゃうもんね」

あそこは浅すぎて生きられないんだ
デ「人間は僕たちを捕まえたいって

ラ「なんでだろう、光るからかな」
デ「大きな目が光るからかな」

深海は光が弱いから
目は大きくなるか
無くなっちゃう

ラ「なんで人間のこと知ってるの?」
デ「うふふ秘密」

横をラブカが通りすぎた
メスのラブカだ、しりびれの間がつるんとしている。

ラ「女の子だ!僕、行くね」
デ「またね」
ラ「またいつかね」

出会ったらそれは運命の相手
ラブカくんは追いかけて行った

僕の相手のデメニギスはどこかな
いつ会えるかな
遥か上で小さく光る太陽が
(うふふ秘密)
と言った気がした

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