あの日

岸和田さんは、修学旅行で広島にいったそうだ。 

原爆ドームの近くで記念写真を撮った。

フラッシュが瞬いたその途端、岸和田さんはかるいめまいを覚えた。 

急にあたりがすすけたフィルムのようにぼやけると、つんと鼻をつく臭いがして、辺りの景色が二重写しになり、やがてたくさんの人々が現れた。 

皮膚がめくれて、ふくれあがった顔・顔・顔。焦げて固まっているもの、はいずるもの、なにかにつかまろうとするもの。あたり一面の焼け野原。異臭。 

吐き気を覚えてうずくまると、また急に明るくなってそこは秋晴れの広島だった。 

記念館で写真を見ていたら、さっき見た光景と同じ写真を見つけた。あれは焦土の広島だった。 

写真を見ていると、悲しいわけでもないのに涙が流れて止まらなかった、という。 

【完】   

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ご購入ありがとうございます!  

せっかくご購入いただいたのですが、続きが何もなくてすみません。 

この作品は、2006年の「超-1」と言うコンテストに応募したものです。 ブログに公開されて批評される形式のものだったんですが、ブログは残っているのですけれど、作品は削除されていました。  応募規定に、「著作権は著者にある」と書かれているし、もうブログにも載っていないのなら、自分の手元に戻してもいいのかなぁ、と、思い、noteに上げさせていただきました。

以上で、あとがきに代えさせていただきます。ご購入ありがとうございました。

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