余計なアドバイス

なあ、固形石鹸ちゃん、あんた、確かに清潔感ある。そら当たり前やな、石鹸やもの。

でも、それだけやったら、足りひんの! モテたいんやった、先ずちゃんと気遣いが出来な話しにならへんで。小そなったらミカン入れてる赤い網に入って上手に使ってもらうとか、大きいのにペタッとくっついて最後まで生き延びて、無駄を出さんとか色々あるやろ?

あと、やっぱり男は何時でも前向きやないとな。あんた見てたらどっちが前かようわからんもん。それでは彼女も不安になるやろ!?

ええか、せっかく、ええ香りしてんねからもったいないで!  この競争社会で勝ち抜いていくにはな、「選択と集中」がほんま大事やねん。「洗濯と焼酎」ちゃうで!   そこんとこわかってんのかいな、あんた!

つまりな、無駄な戦いは避けて戦わずにナンバーワンになれそうな場所で勝負するっちゅうこっちゃ。粉石鹸とか、液体石鹸とかと、無理に張り合わんでもええの。

あたしら蚕(かいこ)見てみ!  桑の葉っぱなんか苦うて誰も見向きせえへんから、桑畑やったらナンバーワンや。

ちっぽけな虫やとおもて、馬鹿にしたらあかんで。こう見えても人間の味覚で最も感度が高い「苦味」においてはな、うちら蚕は、その10億倍以上低い濃度から桑の葉っぱの味を感じることが出来んねんから、あんたの苦渋に満ちた人生が、誰よりもようわかる。苦い葉っぱ噛み締めてこそ皆が憧れる綺麗な絹が出来るっちゅうこともな。

なあ、あんたもここらで、人生変えてみいへんか? 

あんた、見込みあんねんから、大丈夫。このオセッカイコにまかせといて!



なんと、ありがたいことでしょう。あなたの、優しいお心に感謝