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自転車とヒヤシンス

ヒヤシンスの球根を買った。
フラワーベースに置いて娘と水を入れる。
11月生まれの娘は少し早い誕生日プレゼントに黄色い自転車を買ってもらって嬉しそうだ。

早々に昼寝から起きて、いても経ってもいられずに練習に行く。午前中降っていた雨は止み、地面は乾いていた。
弟は風邪を引いているのでママと留守番。
近くの川沿いを紫のヘルメットに黒いサポーターを付けた娘と、黄色い補助輪の付いた自転車が走る。
ストライダーで調子良さそうに走っていた頃と比べて、自転車は乗りにくそうだ。
右、左とペダルを前に回して車輪を駆動させる機構が理解できないのか、利き足の右で漕いでは後ろに戻してまた右足で漕いでいく。
漕ぎ始めに一番力を要することや交互に足を使って漕ぎ続けながらハンドルとブレーキの操作を行わなければならないことに頭と体が慣れないのだろう。
思うように進んでいかないストレスで娘の声に怒気が孕む。

僕は中一まで自転車に乗れなかった。運動神経が悪い上にプライドが高く、外で練習するのを嫌がった。周りの目を気にして言い訳をしては乗らない期間が続いたのち、親も教えることを諦めてしまった。
幼少期に自転車に乗れていたらもっと楽しかっただろうに。自業自得だがそんな思いを自分の子供にさせるのは嫌だった。

すぐに根を上げるだろうと思っていたが、娘は諦めなかった。思うようにいかない怒りを表出させるが、真っ暗になるまで自転車を降りなかった。まだ4歳なのに君はすごいなぁ。
素直に頭が下がる。

保育園の運動会では最前列で踊りを任されていた。先生が踊りを教えると一番に理解を示して取り組むそうだ。
きっとすぐに補助輪も取れるだろう。
ヒヤシンスが咲くのとどちらが先になるか楽しみだ。

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