一路前行 EP2 その1

胡歌,刘涛(劉涛),陈龙(陳龍)

胡歌、劉涛、陳龍 3人が現地を訪れ、中国の環境問題について考えるシリーズ

一路前行 EP2
3人は野生動物の生息地可可西里に赴く
人類は自然とどのように共生して行くべきなのか?

青海省 崑崙山口
とある人物の記念碑にカタを捧げる3人。
 注:カタとは、チベット仏教の習慣で、出会いや別れの時に掛ける布のことです。

可可西里とは、モンゴル語で「青い稜線」を意味し、美しい少女の呼称でもある。
90年代、ここでチベットカモシカが大量に虐殺される。
巡視隊と密猟者の戦いは激しく、多くの命が犠牲になった。

1997年12月国務院は可可西里国家級自然保護地区を設け、
チベットカモシカの数は徐々に数を増やしている。

 注:可可西里 の読み方は カカシリ もしくは ココシリ 

可可西里保護区
海抜は4600メートルを超え、「生命の聖域」と呼ばれる。

胡歌はある年10月末に青海省に来たことがあるとか。
その時は高山病の症状が酷かった。植物が生えてないので、酸素が薄くなる時期らしい。

可可西里保護区 国道109号線
道端には多くのゴミが捨てられている。
ゴミを拾う人がいるが、到底追いつかない。

国道109青藏線 藏北の重要な生命線。標高が高く寒い。凍土が主な道を成している。可可西里保護区の縁を沿うように走る。

可可西里保護区 不凍結泉保護ステーション
ここで翌日一緒に山に入る保護監視員達と会う。

この時点で3人にはまだ高山病の症状は出ていない。

可可西里保護区 五道梁保護ステーション

秋培扎西 可可西里保護監視員
チベットカモシカは食物連鎖の低い位置にいるため、
その数が増えるとほかの野生動物の数も増える。

可可西里保護区 索南達傑保護ステーション

可可西里  郭雪虎保護監視員
卓乃湖周囲にはこの時期、新彊、チベット、青海からチベットカモシカが出産のために集まってくる。

劉涛 以前と今の監視活動と違うところはある?
才索加 以前は密猟が多かった。今はこっそり入ってくる人が多い。
劉涛 好奇心旺盛な人がね
才索加 今はそういう人が多い。
劉涛 どんどん増えている?じゃ、その人たちに何て言いたい?
才索加 迷惑だから来ないでほしい。疲れるから、本当に。


胡歌 実はとても心配している。
   我々が撮影に来たことで、ここに来る人がどんどん増えるんじゃないかって。(保護活動の)邪魔になるんじゃないかと。
秋培扎西 叔父は虐殺や密猟を発見した時にそれを止めるために犠牲になった。父は封鎖式管理を行いその方法をさらに発展させながら保護活動を行ってきた。先を見る目があったと思う。自分が可可西里に来たとき、家族愛の一種で来た。でも年を取るにつれ、事態はそんなに簡単なものじゃないと気が付いた。
胡歌 そうだね、僕も経験あるよ。母が2019年に亡くなり、亡くなった後、母のことをもっと理解できるようになった。父と母が生きている時には
2人がやったこと、やっていることを見たとき、時には彼らの目的が理解できなかった。
亡くなった後、自分で彼らのやっていたことをやってみて初めてどうしてこう行動していたのかが分かり始める。
秋培扎西 本当にその通り

秋培扎西とバイクに乗る胡歌

秋培扎西 現在の可可西里の状況は依然と比べると良くなっている。
チベットカモシカの数の増加と野生動物の生息域の変容以外にも
理念を人に与えている。
多くの人に自分の生きている場所で実行して欲しい。

胡歌 複雑な気持ちなのは、我々は皆さんに「ここに来ないで」と言わなければいけないこと。可可西里保護区は人が立ち入ってはいけない場所だから。

戻った胡歌は保護監視員たちの写真を撮りたいと言って、撮影する。
27歳、29歳、31歳、24歳、秋培扎西は41歳、活動歴28年。

胡歌は秋培扎西と一緒に家族とビデオ通話。

胡歌 報告しなきゃ。「领导」がいるんだ。家族なんだけどね。
 奥さんのことを「领导」と・・・笑
 指導者とか、上司のこと。尻に敷かれてそうね!
秋培扎西 「领导」、こんにちは!
胡歌 (健康)状態問題ないよ、安心して。
秋培扎西 こちらは全く問題ないよ!山に入っても、問題なく帰れるはず。
胡歌 山に入ったら3日4日通信できないよね?
秋培扎西 圏外だね
胡歌 心配しないで!

可可西里保護区 索南達傑保護ステーション

秋培扎西 可可西里は新彊、チベット、青海 三つの河の源流が交わる場所。
    注:三つの河とは、黄河・長江・メコン川のこと
面積は4.5万㎢
山へ入る道はいくつかあり、これは崑崙山脈に沿って入る道。
胡歌 この辺り全部行ったことある?
秋培扎西 行ってない所の方が多いよ。もし行ったとしたら人類最初の一歩になるんじゃないかな。13歳で可可西里に来た自分から言わせてもらうと、出来るだけ本来の自然の状態を乱してはいけない。
この場所の価値は野生動物の天国ということ。
胡歌 今回我々があなた方と一緒に行き、巡回の過程を見て勉強したいと思っています。我々も帰ってきたら言うと思う。絶対に来ないで、と。

翌日朝

劉涛 夕べ2人も鎮痛剤飲んだの。

2日目朝、撮影隊全員が高山病となり、計画を見直すことに。

同行したお医者さん 酸素が少ないので、心臓にかなりの負担が掛かっている。

劉涛 高度順化のために、もう一日必要だと思う。
みんな体調不良だし。本当のところ、一緒に山に入っていいか悩んでる。
胡歌も考えてるみたいだし。

チャット画面
胡歌 午後3時にみんなで会おう。我々4人のほかにあなたと頼監督も入れて
考えていることがあって
秦博(監督) 分かった。秋培扎西も呼ぼう。
胡歌 了解

会議
胡歌 始めていいかな?
誰か いいよ
胡歌 じゃ、始めるね
やっぱり本来の問題に戻るべきじゃないかと思ってる。
我々が行くか行かないか。
頼瑗 実は最初のころ悩んでた。人類の痕跡もない、動物の天国になぜ行かなくてはならないのか、って。今は隊員と一緒に行って帰ってきてどう感じるのか。それが彼らの仕事に対する意義じゃないかと感じている。
秦博 可可西里は保護する必要がある。沢山の人が来たことのない場所。だからどうやって保護するのか知る必要がある。そうすればもっと保護されるはず。
胡歌 昨日オートバイに乗って可可西里に入ってみた。ほんの一端だけど、入ってみた。帰ってきてからずっと考えてた。
この行動は果たして正しいのか、間違っているのか。
自分は何の資格があって監視員のヘルメットを被って、彼らのオートバイに乗って可可西里に入ったのか。
何か根本的な間違いを犯してる気がするんだ。扎さんはどう思う?
秋培扎西 この仕事はもう引き受けたんだ
胡歌 じゃ、もしこの3人じゃなかったら?ただの旅行客だったら?
断ってたでしょう?
秋培扎西 許可できない。
胡歌 そうでしょう、許可しない。
秋培扎西 一緒に山に入って山腹から撮影したことがあるメディアは覚えている限りだと、数社しかない。だから彼らもその時に自分たちの考えがあったと思う。
秦博 (秋培扎西に向けて)この4人が代表してると思わないで。みんなと沢山話し合って、考えを知りたいんだ。
陳龍 どちらの立場にしろ、各々それぞれに思うことがあると思う。我々が入ったのを見た視聴者はどう思うのか?
秦博 その辺りが自信がない?
陳龍 そう
劉涛 聞かれたらもちろん行きたい。好奇心で一杯だし、得難い機会だもの、もちろん行きたい。でもここに来たからには何をしたいかを考えたの。
自然を乱していいのか?これは確かに良い議題だと思う。
秦博 (胡歌に向かって)10年青海に来てるけど、行ったことある?
胡歌 行ったことないよ
秦博 なぜ?本当のところ、自分は行きたい。
韓李李(環境芸術家)機会があれば行きたいと思っていたけど、今は行かないことを選ぶわ。守るべき場所だと思ったから。これは私の最大の愛情表現。
秦博 よく分かるよ。考えは十分理解したよ。もし誰にも撮影されていない、撮影できなかったというのであれば今のような情況は起きなかったと思う。
胡歌 でも、もうすでに第一人者が居る。
秦博 分かってる。僕が言いたいのは、撮影する意義だよ。
秋培扎西 宣伝という角度から見ると、ボランティアに来てもらうきっかけになると思う。
胡歌 我々が最大限に生かされることは何かと考えた時に、それは放送する事だと思う。でも今日の状況からすると自分は間違った方向に誘導してしまうと思ってる。我々が行かない方が、行くよりもっと良いんじゃない?
頼瑗 行くには行く意義があると私は思ってる。これは本当よ。
胡歌 それがこの番組の意義なの?多くの人が行きたいと思ってるのに、
我々は「行ってはだめ」と訴えないといけないんだよ?
頼瑗 記録には2種類あって、一つは客観的な記録。もう一つは3人が参加している記録。さらに外から来た視点で見てみるというのも得難いことだと思ってる。
胡歌 監督。十分理解してる。大部分の視聴者や可可西里に行ってみたい人が考えなくちゃいけない問題だと思う。そうでしょう?
行っちゃいけないと言う為に個人的に特別な体験するなんて、間違ったことをやりに行ってる。
秦博 僕は頼瑗の考えと同じだよ。3人の感じたことがとても重要なんだ。感じたことは視聴者にとって・・・
胡歌 分かる。同意するよ。でも、行って帰ってきて、自分たちは間違ってたって・・・


秦博 じゃあ、頼瑗が行って撮影しよう。撮影したものを我々に見せる。
ドキュメンタリー方式で少ない人数で客観的な記録を取り可能な限り編集する。
3人は各保護ステーションでボランティア活動を行う。その後その記録を見ながらこの回をどうするか話そう。
胡歌 この討論だって一部分だよ。矛盾が生じて、いいや矛盾じゃなくて自分に違う考えがあって
秦博 葛藤
胡歌 そう

秋培扎西 少しいいかな?本当のことを言うよ、心から3人に行ってほしい。
自分の様な一般人からすると、(3人が行くことで)もっと関心を持ってもらえるかもしれない。でもそう言われると確かにそうだな、と思う。
胡歌 扎導、こんな話をすると、気分を悪くするかもしれない。
より多くの視聴者に可可西里を保護してもらうには、保護監視員がどんなに苦労して可可西里を守っているかという事じゃなくて・・・
保護監視員が苦労していること、それは私たちが可可西里を保護する理由の一つ。
つまり、我々は保護監視員が払っている努力に対して顔向けができるかどうか。
でももっと重要なのは視聴者が正確に自然と人との関係を理解するかどうか。すべての自然界の生態系について。自然界には自然界の決まりがある。
そうでしょ?
つまり、我々が自然を乱さない、それが一番の保護だっていう事。
この保護ステーションで自分の能力の範囲内で行動する。これは全く問題ないと思う。
秋培扎西 分かった
秦博 正直に言ってくれてありがとう。
(秋培扎西へ向かって)普段どんな活動を行っているの?
秋培扎西 一緒に食べて、寝て、働く
胡歌 今欠けてるのは労働だね

台所でご飯作り。
陳龍も一品作る。

陳龍 知的な戦争に勝った感じがする。行かないと言うのは正しい。行かない方がいい。我々には行くべき所がある。

胡歌 ご飯だよー

皆で食卓を囲む

秋培扎西 今回、卓乃湖に連れていけないのは少し残念。チベットカモシカの出産や赤ちゃんや、あちこち移動する様子を見て欲しかった。
我々からすると・・・
胡歌 そうなるよね
秋培扎西 本当にありがとう。109号線沿いの保護ステーションに駐在する隊員と一緒にいつもの作業をお願いします。
3人 分かった
秋培扎西 では、食べましょう

陳龍は自分が作った料理のジャガイモが煮えているか気になるよう。
胡歌 さっきのより美味しいよ

21:56まで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?