見出し画像

樋口婚(切腹婚)のすすめ#13みんな変わってて、みんないい!


この物語は、バナナがポッドキャストを通じて愛を知り、幸せに気がつくノンフィクションストーリーです。



5月15日

今回は半日一緒にドライブデートをした。

前回の反省もいかし、Rさんの事を聞きまくった結果
分かったことがあった。



私とRさんは驚くほど共通点が少ない。



生きてきた環境も

趣味も、得意不得意なことも

友達との付き合い方も、仕事の内容も

今までの恋愛の状況も

共通点がほぼ皆無だった。


例えば、Rさんの趣味は旅行とスポーツだったけど
私は社会人になって行った旅行は片手で足りる程度で
さらに超運動音痴でスポーツ知識も皆無・・・

などなど。


ただ唯一
食の趣味がものすごく合うようだった。

あと、お互い「嫌われる勇気」を読破してて
「課題の分離」という共通言語があるくらい。

それでも不思議と半日一緒にいて会話は途切れず
楽しい時間を過ごした。


Rさんもとっても楽しかったようで
また顔文字たくさんの喜びLINEを送ってくれた。



そして迎えた5月22日。

3回目のデートだ。

食事を終えると、綺麗な景色を見に行こうとなり
着いたのは、とある漁港沿いの小さな公園。



その公園にいたのは3組だけだった。


デート中の私たち2人と

釣りをしてるおじさん1人

そして、ラップバトルしてる中学生くらいの少年3人


綺麗な景色を見に行こうと言われた時点で
告白されることを覚悟していたが

Rさんが色々話してくれるものの
返事もどこか上の空で
私は、いい感じの雰囲気を作れずにいた。






どう考えても、ラップバトルが気になりすぎる。





おじさんもさっきから全く微動だにしないから
絶対ラップバトルに耳傾けてると思う。


なんでRさんはこの環境で全く気にしないで喋れるの。


余談だが
私は学生時代エミネムを聞き
休日の朝はAK-69を流し
ヒプノシスマイクでは池袋を応援してきた女だ。

一方Rさんは
今まで音楽に縁も興味もなく
ラップって何?というレベルだった。

そんなRさんにとって少年達の繰り出すリリックは
奥様方の井戸端会議のそれと同じに聞こえるのだろう。


触れてきた文化が違うと、同じ空間にいても
こうも聞こえる環境が違うんだなあ〜と
メタ認知的な気付きを得ていた時

その瞬間は訪れた。



「・・・今後、バナナさん以上の人は、
      僕の人生で現れないと思う。
      だから、僕と付き合ってください。」



びっくりした。


なんて、なんて、なんて

素敵な事をいってくれるんだろう。

間違いなく
今までの人生で一番嬉しい告白の言葉だった。


でも・・・
趣味も生き方も違っている私で本当にいいのかな

すごく良い人だけど
まだめっちゃ好き!!とかじゃないしな・・・




とか何とか思ったその時






バナナは思い出した。






「結婚出来なければ切腹」ということを






最近色々ありすぎて、すっかり頭から飛んでいた。

気後れしてる場合じゃねえ。

本当に好きかどうかなんて
付き合ってみなきゃわかんないのに
何をちんたら考えてるんだ。


・・・っていうか、大事な事を確認しなきゃ!!!


「えーと、私35歳だし、正直結婚を考えてない人とは
 お付き合いできなくて・・・
 付き合うなら、結婚前提じゃないと・・・」


「僕も同じ気持ちだよ。
 それを考えられない人に付き合おうって言わない。」



よかったーーーー(^o^)!!!!!!



「・・・はい、じゃあ、お願いします!」


OKの返事を聞いたRさんは、明らかに肩の力が抜け

「安心した・・・なんか、反応があんまりだし
 断られる流れかと思った・・・」

と言いながら手を握ってくれた。


「え〜!断わるわけないよ〜」



あなたの話より、ラップバトルが気になってたの


なんて、とても言えなかった。



「ちなみに、私のどこが良かったの?」


「初めて会った時「前世は武士」って言ってたでしょ
 変わってて、すごくいいなあと思って」



あ れ を ?



「Rさんも充分変わってるやん」

と、笑ってしまった。




今までの恋愛は「違う」ということが
悪いことの様に思えて

必死に共通点を見つけてそこを押し出したり

自分の感性を押し殺して
相手の好みに自分を合わせていたけど

Rさんといると
ありのままの自分でいいんだ、と安心できたし

お互い「違う」ということは刺激があって
面白いことなんだと思えた。


なんだかすごく幸せな気持ちになって

握られた手を、つよく握りかえした。






少年達は、いつの間にかいなくなっていた。

(続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?