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【ハッピー・マニア】田嶋という男

田嶋とは安野モヨコ氏の漫画「ハッピー・マニア」に登場する男だ。一言で言えば女たらし

田嶋は編集社に勤める28歳。イケメン。
田島は編集社の代表マリちゃんと関係を持っている。同じ編集社に勤めるシゲタ(主人公)は田嶋のイケメンな雰囲気(これは後ほど解説する)に「絶対騙されない!」と強い意志を持って田嶋と接する。そしてシゲタの親友でありマリちゃんとも友人であるフクちゃんまでも彼の魅力に墜ちてしまう。その後結局意地を張っていたシゲタもあっさり田嶋の魅力に墜ちセックスしてしまうのだ。

シゲタ、フクちゃん、マリちゃんの3人は友人同士で、こんな近場の女3人とヤるかね田嶋?!?!
でもそこがこの田嶋のすごいところ!
そして多分私もする!寂しいアラサー全員する!!

ということで、なぜみんな田嶋のトリコになってしまうのか?!

田嶋の恋人会話力

田嶋は誰とでも恋人のように話す。「あれ?私たち付き合ってた?」っていうくらい自然な会話をする。そしてちょっぴり甘く居心地のいい距離感。田嶋は一瞬にしてその空気を作ってしまう。田嶋のすごいところはあくまでも「ちょうどよく」馴れ馴れしいところだ。馴れ馴れしいだけだと空気読めない勘違い男になってしまう。田嶋の馴れ馴れしさは絶妙で、こっちが(付き合ってると)勘違いしてしまう距離感なのだ。小洒落たご飯屋さんに連れてゆき、2件目も迷うことなく決まってて、更には隣の席に自然に座る。ずるい。こんなスマートなのずるい。

含みをもたせる田嶋

田嶋は相手に妄想させるのがとにかく上手い。それは上記の恋人会話力もあってのことだが、とにかく上手い。ただ口説くのではなく、含みをもった顔や会話で相手を惑わせる。決定的なことは言わない。相手に妄想させるのだ。
私が一番刺さった田嶋は帰ろうとするシゲタを呼び止めたこの台詞。

「あ、ちょっとまって。今日ひきとめるの2回目ってしってた?」

「帰るなよ」とか「もう1件行こう」じゃないよ。2回引き止めた事実を伝えただけだよ。なのになんか色々考えちゃうこの台詞。
さらに田嶋はここから追い打ちをかける。

「なんでこんなふうに何度もひきとめてしまうのか考えてた。でもわからない。」

さて問題です。田嶋はなんでか分からないけどなんか2回も引き止めちゃいました。さてなんででしょう?

、、、こんなクイズあるかよ???
そんなのもう私のことすきだから!一緒にいたいから!その答え以外出てこないよね?

またしても田嶋は決定的なことは言わず、相手に妄想させて女を落とすのだ。

田嶋は白々しく持ち上げない

田嶋はただ甘いだけではない。素直だ。時には相手を傷つけるようなこともさらっと言うし、食事に行けばしっかり割り勘したりする。下手に白々しく女を持ち上げない。わざとらしく媚びたりしない。
田嶋は突然家に来られるのはきらいだと言っている。だけどすぐに家には連れ込む。それは田嶋の素直さでずるいところだ。
シゲタ、フクちゃん、マリの3人とバッティングした夜も田嶋は嘘をつかず、正直にすべてを話してその場を切り上げている。恐るべし田嶋。

なにより余裕がある田嶋

結局これだ。自信があるひとはかっこいい。

この1コマで田嶋の余裕が伺える。自分のことがすき前提の話を田嶋は淡々と顔色ひとつ変えず、なんなら相手のことも見ずに言い放つ。「明日晴れるかな」「今晩なに食べようかな」くらいのテンションで言う。

(田嶋の中ではもう勝ち確なんだろうな、、、)

フクちゃんは「よく女たらしを男はバカにするけどたらされる気持ち良さときたら」と言っている。みんな田嶋にたらされているのは分かっているのだ。分かった上でトリコになっているのだ。怒るでも呆れるでもなく受け入れてしまう気持ち、なんか分かる気がする。

おわりに

「ハッピー・マニア」めちゃめちゃ面白いから読んでない人はぜひ読んでほしい。20年前の漫画だがまったく色褪せない。ただし、少女漫画ではないから注意が必要だ。少女漫画だと思ってトキメキ!一途!ハッピーエンド!を期待していると期待を裏切られる。これは20代、30代女子のリアルだ。馬鹿馬鹿しいし、大袈裟だ。だけどこれは私たちが普段恥ずかしくて隠しているような心をおっぴろげにさらけ出しているすごい漫画なのだ!!!そして是非田嶋の空気に酔ってほしい。

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